かつて、ジェームズ・クラーク氏が、
シリコングラフィックス社の設立に当たり、
投資家たちからの資金集めに奔走していた時、
ある投資家から─、
「 コンピュータに絵を描かせて何が面白いのかね? 」
と、一笑に付されたというエピソードを、
聞いたことがある。
今となっては笑い話だが、
当時は、まだそういう時代だったのだ。
しかし─、
今日、コンピュータの応用分野として、
コンピュータグラフィックスが、
最も成功した事例の1つだと言うことは、
誰もが認めるところだろう。
好みの問題は、あったとしても─、
コンピュータグラフィックスの出現により、
映像表現の技術は、飛躍的に進歩し、
今なお、発展を続けている。
コンピュータグラフィックスが、
視覚面におけるコンピュータの応用例であるとするなら、
聴覚面におけるコンピュータの応用例として、
コンピュータミュージックを挙げたとしても、
異存はないだろう。
しかし─、
コンピュータグラフィックスに比べて、
コンピュータミュージックが、
どちらかと言えば、マイナーな存在である、
という印象においても、
異存を差しはさむ者は、少ないのではないだろうか…。
確かに人間は、9割以上を視覚の情報に頼って、
生きているという話を聞いたことがある。
その割合からいけば、
妥当な結果と言えるかも知れない。
しかし─、
私が思うに、コンピュータグラフィックスと、
コンピュータミュージックとの決定的な違いは、
扱っている "対象" にあると思われる。
コンピュータグラフィックスが扱うのは、
もっぱら…、
( 次回へつづく... )
『 もしアマチュアのバンドマンが音楽スタジオを手に入れたら 』