前回の記事は、こちら─、
『 人間 vs コンピュータ(2) ~ コンピュータは空気、読まなさ過ぎ!? 』
どこで読んだ記事だったかは、
もう、定かではないが─、
私が大学で本格的に、
コンピュータの勉強を始めるよりも、
さらに前の 1980 年代の初め。
『 リバーシ・チャレンジャー 』というオセロの、
ゲームソフトが、アメリカから輸入された。
これが当時としては画期的なもので、
多少、強い程度の人間では、
負かされてしまうくらいの強さを誇ったらしい。
当時、日本製のソフトは─、
ルール通りに手が指せるレベルに、
多少、"毛が生えた" 程度だったようで、
あらためて─、
アメリカのソフトウェア技術のレベルの高さに、
驚嘆させられた…、
というのが、その記事の要旨だった。
もっとも─、
日本のゲームにおける思考プログラムの研究は、
"まじめ" な人工知能研究の一環というよりは、
一部の熱心な研究者やマニアたちによって、
地道に進められてきたという印象は否めない。
そんな中、『 リバーシ・チャレンジャー 』の衝撃から、
約 25 年の時を経た、
2005 年 6 月─、
突如、ブレークスルーが起きる。
「 プロが平手で餌食になった 」
「 奨励会有段者クラスがコロコロ負けているらしい 」
そう噂される、恐るべき将棋ソフトが登場したのである。
その翌年の 5 月に行われた、
『 第16回 世界コンピュータ将棋選手権大会 』
では─、
高性能ワークステーションで参加する者も多い中、
一般向けのノートパソコンという、
異例の低スペック環境での出場にもかかわらず、
並みいる強豪ソフトを撃破し、
みごと、初優勝。
しかし─、
そんな、プロを負かすまでに進化した、
将棋ソフトの技術も、
タネ明かしを聞けば、アイデア自体は、
以前からあったものだったのである。
ソフトウェア技術の解説については、
本ブログの目的ではないので割愛するが、
たとえ、以前から存在していた技術であったとしても、
その技術に着目し、実用レベルにまで、
昇華させていけるかどうかが、
研究開発の世界では、重要ではある。
しかし─、
誰もが、思いもよらなかった、
斬新な未来の技術によってではなく、
すでに古くから、
目の前に転がっていた技術が、
ここにきて─、
このような形で、
姿を現すことになろうとは…!
やはり─、
"やられた" 感は、倍増である。
もう一度、自分の身の回りを、
見直してみるべきだろう。
ダイヤの原石が、
転がっているやも知れない。
( 次回へつづく... )
『 人間 vs コンピュータ(4) ~ 飛行機は羽ばたかずとも飛ぶ 』