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もう題名からして色モノ臭がプンプンする。著者の最新作『マッチポンプ売りの少女』がAmazonでレコメンドされており、そのリンクからこの本の存在を知ったのだが、この狙い過ぎのタイトルに不覚にも吹いてしまったw 即座に書店にダッシュしたのだが、立ち読みしたところ『マッチポンプ売りの少女』はいまいち入り込めなかったので、値段も1000円ぽっきりのこちらを買ってみた、というわけである。
基本的にわたしはこういう斜に構えて世の中を風刺する作風が大好きである。露悪的というのか偽悪的というのか、あえて善意を排したところに本当の善がふっと現れるという感じ。中身はまあ初歩的な金融リテラシといった感じで、これまでに山崎元氏をはじめとする「金融強者」が教えてくれた内容をさらにわかりやすく、本質的なところだけをパロディにしたというところか。「童話」と謳っているだけあってさくさく読める。
著者は「小難しいことを簡単に」と言っているが、作中のパロディが難解すぎる。ある程度のリテラシがないと何をパロっているのかまったくわからないだろう。「カネヘルン・ミセス・インディ」はまだしも、「サニー目玉焼き」とか「ドラゴン・ヴィレッジ」はやり過ぎだろう。「灯篭をつくる」に至ってはひねりすぎにもほどがある。他にもいくつかネタ元がわからないものがあったが、こうまでして元ネタをいじろうとする作者の悪意(笑)には本当に頭が下がる思いだ。
個人的には「アホスギンちゃん」がいちばん胸に刺さった。わたしは「猿猴捉月(えんこうそくげつ;えんこうつきをとらふ)※」という故事が好き、というより、常に心しているのだが、まさにその現代版アレンジといえるだろう。心が痛い…。
マッチポンプ売りの少女 ~童話が教える本当に怖いお金のこと~/マネー・ヘッタ・チャン

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※猿猴捉月:心やさしい猿の王様が、池に映った月を助けようとして池に落ち溺死するという故事にちなみ、「いくら誠意やまごころがあっても本当の知恵がないとまったく意味がないどころか、むしろ有害である」という見も蓋もない教えのこと。(インターネットで検索すると「身の程を弁えず身を滅ぼすの意」とありますがw、わたしは井沢教信者なのでこちらの意で理解しています c.f.『逆説の日本史』)