○○市長 ○○ 様 敬老パス(敬老特別乗車証)制度の現状維持を求める要望 |
日頃の市政への御尽力に敬意を表します。 さて、国民の生活は、依然として厳しさが続いています。特に高齢者の生活は、無年金、低年金者も、年金額も据え置かれたままで、後期高齢者医療保険料などの税・保険料の負担は上がる一方です。 このような中で、横浜市は、財政逼迫を理由にして、敬老パスへの市費の投入額の増大を抑えるため、見直し案(市民負担増3案)を市議会にxx月xx日に提示しました。見直し案は、長寿社会といわれる昨今、年々高齢者が増えるのは、当然であるにもかかわらず、自然増分を認めないで、いずれも市民に負担増を負わせるものです。敬老パス制度の主旨に反するもので、高齢者のさまざまな社会参加にブレーキをかけるもので到底認められません。市費の自然増分は、市の予算規模からして予算の使い方で解決すべき問題です。 敬老パスは、1974年(昭和49年)高齢者の社会参加を支援し、高齢者の福祉の増進を図るために市内在住の70歳以上の方を対象にしてつくられた市の制度で、現在約xx万人の高齢者が利用しています。高齢者の社会参加、いきがい、通院、買い物、生活の足の支えとして、利用者から大変に喜ばれている制度です。見直し案の1案は、市費の投入額で、xx億円を上限に設定し、三年ごとの見直しで、市民負担が増大。第2案は、敬老パスの交付対象者を「70歳以上」から段階的に「75歳以上」に引き上げる。第3案は、フリーパス方式とワンコイン方式(乗車の都度、現金100円を支払う)の選択制となっています。 見直しの日程は、xx年xx月中旬以降の議会での審議を経て、同年xまでに条例案化され、市会第三回定例会(xx月議会)で条例改定後、xx年xx月の乗車更新時から見直しによる制度実施となる計画です。 戦後の日本を築くために貢献された高齢者の方々が安心して敬老パスを利用できるよう以下の点について要望します。 【要望内容】 敬老パス(敬老特別乗車証)制度は、現状を維持してください。 |
すでにわれわれにとっては「世代間対立」が明白であるため、こうしたあからさまな老人の権益維持について協力する気にはとてもなれないわけだが、もし何も情報がなければ、「かわいそうな高齢者の生活の足を奪うなんてひどい」と思ってしまったかもしれない。
もちろん、この負担はわれわれが納める市民税から払われるわけで、むしろ人口比からいえば大変なのは納税する側なのだが、このビラが面白いと思ったのは、書いているひとたちがそのあたりを巧みに混同させている点だ。
長寿社会といわれる昨今、年々高齢者が増えるのは、当然であるにもかかわらず、自然増分を認めないで、いずれも市民に負担増を負わせるものです。 |
見直し案の1案は、市費の投入額で、xx億円を上限に設定し、三年ごとの見直しで、市民負担が増大。 |
言うまでもなく負担が増えるのはこの制度を利用している高齢者のみだ。決して市民全体の負担が増えるわけではない。だがここでは明らかに「市民負担」として主語を混同し、意図的に印象操作しようとしていることがうかがえる。
自然増」なのだから逆らうな、というのは、非常にエキセントリックな論理だが、政治的にはかなり本質を衝いている。日本でボンヤリ生きていると、この理屈に正面切って反論するのはなかなか難しいだろう。社会主義者は、ある意味で主義主張が一貫しており、政治的にも立ち回り方がうまく、見習うべきところは非常に多い。
ところで3案ある見直し案をざっとながめると、いずれも現行制度を維持しつつ、段階的にソフトランディングしようとしている点で非常に現実的な解だと思える。たしか現市長は民主党推薦だったと思うが、実業家出身だけあってまともな経済感覚をお持ちのようだ。