暇人速報はこういうネタを取り上げないはずなのだが、なぜかこういう経済不況ネタが上がっていた。
このコメントを眺めていると、なんだか悲しい気持ちになる。
わたしもかつてそうだったから彼らの気持はよくわかる。わたしも湯浅氏らの本を読んでずいぶんと考えさせられたものだ。だがわたしには、どうしても湯浅氏の言っていることが理解できなかった。湯浅氏は色々と「やさしい」理論で耳触りのいいことを言うのだが、「では、どうすればいいのか?」という問いに答えてくれない。
結局、わたし個人は(池田先生に感化されて)「競争を肯定して過去の成功体験そのものであるかつての産業構造を捨て、労働市場を改革して成長産業にシフトしていくしかない」という結論に達したわけだが、ここまで来るのには相当、精神的な葛藤があった。池田先生も言うように、こうした発想は直観的に理解しにくいし、第一、コモディティ化しているのが「自分自身」であることを認めなければいけない。これは相当に辛い自己認識である。したがって、どうしても「経済学無用論」とか、「インタゲやリフレによる一発逆転」とか、「中国や韓国を排他して日本のものつくり産業を守る」とかいうような論理(?)に傾いてしまいがちだ。こうした保護主義的な政策はこれまでの常識を否定しないでうまく自意識をくすぐってくれるから、よほど自戒しないと、つい「そうなのかな」と思ってしまう。
さて冒頭の引用記事をざっと読んで、ここにある「空気」をあえてわたしの拙い文章で言語化すると、こうなる:
・デフレによる物価の下落が不況の原因だと思っている
だから、100円ショップやユニクロなどの「価格破壊」が元凶だと固く信じている
・「新自由主義」という言葉に脊髄反射的な嫌悪を感じている
特に、小泉+竹中の構造改革によって日本経済が悪くなったという強烈な認識がある(金持ち優遇、貧乏人の切り捨て)
・潜在的なリフレもしくはインタゲ期待がある
(日銀の金融政策によって物価上昇率が操作可能で、それによって一気にデフレが解消できると思っている)
・低成長産業から成長産業へのシフトに対する恐怖感がある
・グローバルな経済活動に対する全般的な無知と、保護主義的な性向
基本的には内需がすべてだと思っている
・セーフティネットに対する不信感、モラルハザード
(セーフティネットの利用者が”フリーライダー”に見える)
・企業の雇用はできれば保護的であるべきと思っている
恐ろしいくらいにマスコミの論調とマッチしている。亀井大臣が救世主に見えるのもむべなるかな、であろう。マルクスが復活するのもわかる気がする。これらは残念ながらすべて日本を停滞させる、その主な原因となっている。彼らは大手メディアを「マスゴミ」と呼んで非難するが、残念ながら確実に情報統制されている。いくらネットを使いこなしていても、情報のフィルタリングがうまくいっていなければ、簡単に既得権益層に取り込まれてしまう。情報格差は確実に存在していると思う。貧困ビジネスが隆盛するのもこのへんに原因があるのだろう。
おそらく彼らには湯浅氏やモリタクのような人たちが放つ言葉のほうが届くのだろう。だがそうした言葉が彼らに届いたとしても、きっと幸せにはなれない。その先に待っているのは緩やかな衰退だ。何度も言うがそれをあえて選択するのは否定しない。だが覚悟なき「貧しさ」は不幸になるだけだ。もし、このまま停滞する社会を厭うており、失われた活力を取り戻したいと思うのなら、一見「強者の論理」「回り道」にしか見えない「新自由主義者(?)」の提言を読んでみてはどうだろうか。
「信者」と揶揄されてもいいのでw 池田先生の著作を再度紹介しておこう。もしテレビばっかり見ているのなら、騙されたと思って一度読んでみてほしい。
- 希望を捨てる勇気―停滞と成長の経済学/池田 信夫
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