- 構造改革の真実 竹中平蔵大臣日誌/竹中 平蔵
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ようやく紹介できました。
竹中平蔵氏の大臣日誌。
竹中氏は小泉内閣において中心的なはたらきをした人で、小泉元首相とのタッグは超強力だったため、奇跡的ともいうべき成果を上げた。既得権益層は大ダメージをくらい、そのためかれらから想像を絶するバッシングを受け、大マスコミを中心とするネガティブキャンペーンが継続的に張られることとなった。昨今の金融危機に便乗し、経済音痴の識者も一緒になって市場原理が悪い、そもそものきっかけを作ったのは小泉と竹中だ、とバッシングするもんだから、多くの人は氏を「アメリカ式自由主義市場経済を日本に持ち込み秩序を破壊した悪人」だと思っているであろう。恥ずかしながら私もその一人だった。ごめんなさい竹中先生。
本書はそんな氏のもっとも忙しく大変だったであろう大臣時代の回顧録(?)である。政策遂行のダイナミズムがよくわかる非常に興味深い本だ。こういうのが本物のポリティクスというのだろう。恥ずかしながら、政治家になりたいと少し思ってしまった。街頭演説で自分の名前を連呼する人たちも少しは見習ったらどうだろう。とはいえ、かれらもまずは目先の票が大切なのだから致し方ないが。。。
(ちなみになぜ街頭演説のかれらが自分の名前を連呼するだけで政策論を語らないのか? こういうことも冷静に疑問に思ってたりしてるとネットに答えが書いてある 。候補者を批判する人はまず、どうしてかれらが政策論争を仕掛けてこないのかを振り返ったほうがいい)
まあわたしのように「(なんだかよくわからないが)構造改革は悪。市場原理は文化と慣習を破壊する悪」などと、素朴に考えている人はぜひ竹中氏の本を読むといい。もちろん竹中氏とて完璧ではないが、そもそも完璧でないと価値がないと考えている人はもう少し基本的なところから人生をやり直したほうがいいかもしれない。
経済を巡るいろいろな議論を一刀両断にする本質的な言葉が思いつかなかったので、本文中にも引用した「アゴラ」池田信夫氏の言葉を借りることにした。
「ゼロ成長で所得の再分配を極端に進めると、みんなが平等に貧しくなるだけで、財政も破綻してしまう。それよりも成長率を上げて経済全体が豊かになることが大事だ」
大前研一流にいうなら「スモールハッピネス志向は亡国」ということだろう。こういうふうに考えると、民主党の言う「最低賃金1000円」とか、瑞穂ちゃんの言う「全員正社員」とかいうのがいかに愚かな政策かわかるだろう。
(まあ瑞穂ちゃんは立場上(社民党党首!)のネタだろうから仕方ないのかもしれないが、民主党は仮にも政権を取ろうというのだから、もう少し考えなければならないだろう。)