WHITE ALBUM | One of 泡沫書評ブログ

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WHITE ALBUM アニメ公式ホームページ


驚くべきことにアニメ放映がはじまっていた。


やたらと豪勢な声優陣が、微妙に絵柄の異なる河田絵のキャラを熱演している・・・ようだ(見てないからわからない)。


WHITE ALBUMといえば「ここがあの女の・・・ハウスね 」しか思い浮かばないが、いちおう説明せねばなるまい。「WHITE ALBUM」とは、老舗エロゲーメーカー(?)の一角であるLeafが、大ヒット作「To Heart」の人気を背景に、満を持して発売した恋愛アドベンチャーゲームである。それまでのノベル形式を一新し、わりと本格的なアドベンチャー風味にモデルチェンジしたわけだが、残念ながら商業的には成功とはいえなかったようだ。しかし、わたしのような少々後ろ暗い過去を持った、90年代後半に大学生活を送っていた人間なら一度は耳にしたことがあるだろう。


このゲーム、彼女がアイドルになってしまい、疎遠になってしまう中、いろんな女性と浮気をするという、あらすじだけ見ると「なんだこれ」と思うようなシロモノである。具体的なデータがないのを承知で印象だけを語ると、当時の仲間内での反応は「うーん・・・」というものであった。やはり、「To Heart」の「陽」のイメージからすると程遠い、じつに陰鬱なストーリィだったからであろう。また、やっぱりウダルの世界観と文章が重く、とてもじゃないがエロゲの雰囲気に合ってないからだったからに違いない。さらに、システムが未成熟だったせいか、分岐でうまくフラグが立たない(いくらやってもコンプリートできない)ような記憶がある。じっさい、何度やっても森川由綺のフラグが立たなかったので、途中でプレイするのをやめた。


ひとことでいえば、中途半端なゲームであった。


今でもそう思うが、こういうチャレンジングな企画が通るあたり、当時の業界が勃興期にあったことをうかがわせる。当時のクリエイタは、さぞ、楽しかっただろうなぁ・・・。今のように数が多すぎることもなく、2ちゃんねる的なところもそれほど発達していなかった。ある意味牧歌的な時代だったといえる。「To Heart」の成功体験にこだわらず、あえて次作でこれをもってくるあたりは、評価したい。


それにしても、この「鬱」ゲー具合は、今にして思えば「君が望む永遠」への壮大なプロローグだったのかもしれない。主人公のヘタレ具合といい、爽快感のなさといい・・・