妄想恋愛シミュレーション -41ページ目

FRATELLI 第2章-E

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第2章ーE




(奨弥)


ほんの1分くらいだろうか、僕に身体を預けていたのは。


ゆっくりと僕の胸を押し、ゆうさんは僕から離れていった。


手の甲で頬をぬぐいながら、ゆうさんは恥ずかしそうに笑った。


「さっき、友達と一緒に居る時、目撃しちゃったの、夫を。出張に行ってるはずの夫が青山に居た。女の人とホテルに入って行った」


「え?」


「浮気をしてるのは知ってた。だからそんな事はどうでもいいの。私だって、もう夫には触られたくないし、キスだって嫌。多分ね、泣けちゃったのは・・・」


ゆうさんは少し考えてから小さく言った。


「急に、孤独感に襲われたから。夫も、子供たちも、私から離れて行って。一緒に食事をした友達も、当たり前だけど、家族の元に帰って行ったから。急に寂しくなっちゃって・・・」


ゆうさんがまた、照れたように笑った。


笑いながら、ポロリと涙をこぼした。


「でも、夫は別として、子供は数日後にはうちに戻ってくるし、友達だって会おうと思えばいつだって会える。つまりね、感じたのは一時的な孤独感よ。だから大丈夫」


大丈夫といいながらも、尚、彼女の目からは涙が流れ落ちてくる。


必死で笑顔を作ろうとする姿が堪らなく切なくて、僕は再びゆうさんを抱き寄せた。


腕の中にある小さな肩が、いとおしく感じる。


こんな気持ちは久しぶりだった。


カッコいい事を言えば、守ってやりたい。


ずっとそばにいて、ちょっとの隙だって孤独感を感じさせたりしない。


「寂しくなったら、ここに来ればいい」


ゆうさんが僕を見上げる。


消え入りそうに「ありがとう」とつぶやく。


その唇に僕はキスをした。


ほんの少し抵抗したゆうさんは、その内僕の胸をギュッと握りしめて、僕を受け入れた。


ソファに押し倒して、長い、長いキスをした。


離れては重なり、重なっては離れる。


僕の唇がゆうさんの首筋を這うと、彼女は小さな吐息をもらした。


僕の理性が壊れそうになる。


「あなたが欲しい・・・」


僕は呟いていた。


「・・・抱いてください・・・」


キスを重ねただけなのに、僕たちの呼吸は乱れていた。


「あなたが後で後悔する可能性が少しでもあるなら、罪悪感が残るんだとしたら、僕は我慢する」


ゆうさんは首を横に振った。


「後悔なんかしない。今夜だけでいい。一人じゃないって信じたい・・・明日孤独に苦しんでも」


「絶対、苦しませたりしない」




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