妄想恋愛シミュレーション -40ページ目

FRATELLI 第2章-F

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第2章ーF




(理弥)


ゆうさんはコンビニ袋を手に現れた。


涙の痕は見えなかった。


「なんか今日、いつもと違うね!とってもいいよ!」


髪をおろした、紫のシフォンワンピ姿のゆうさんを褒めると、ゆうさんはちょっとムクれた。


「なんか、からかわれてる感じ」


「そんな事ないよ!ほんと素敵だよ~。お出かけしてたの?」


「そう、友達と食事に行ってたの。お酒臭いでしょ?」


「全然」


僕はゆうさんにソファを譲り、床に腰をおろした。


「冷たくない?」


「ん。ちょっと」


「良かったら、隣にどうぞ」


そう言って、ゆうさんが少しずれてくれた。


「サンキュゥ」


僕たちは並んで缶ビールで乾杯をした。


「ね、ラーメン、作ってくるね」


ゆうさんが立ち上がった。


「実はさ~お腹、空いてなくなちゃった」


「え?」


ゆうさんが拍子抜けした声を上げて、ソファに座りこむ。


「ゆうさんが来る間に、我慢できなくなちゃって菓子パン食べたの」


もちろん嘘だ。


最初からお腹なんて空いてない。


ゆうさんに来てもらうための作戦。


「ごめんね」


「いいのよ」


ゆうさんがいつものように、ちっちゃな笑くぼを見せてくれた。


「DVDでも観ない?借りてきてあるんだけど」


これも仕込み。


「色々あるけど、どれにする?」


ゆうさんが選んだのは、新作の純愛ハリウッド映画。


夏に大ヒットした1本だ。


「これ、観たかったの!」


「よし、じゃ、観よう!」


これがまた、泣ける映画で。


僕がまた、すぐにもらい泣きしちゃう人で。


いつもなら隣に居る兄弟に寄り掛かって泣くんだけど、今、隣に居るのはちっちゃなゆうさんで。


それに、ゆうさんも泣いてて。


僕は泣きながら、ゆうさんの肩を抱き寄せて、ちょうど僕の肩に乗ったゆうさんの頭に、僕の頭を寄せた。


「泣きたい時は、一緒に泣くよ」


僕が小さく言うと、ゆうさんは「え?」と聞き返した。


「さっき、電話の向こうで泣いてたでしょ」


ゆうさんは答えない。


「一人で泣かないで。僕が一緒に泣くから。半ぶっこしよ」


顔は見えなかったけど、ゆうさんがほほ笑んだのが分かった。


「ありがとう」


自分の言った事に恥ずかしくなって、僕は思わずおちゃらけた。


「いいヤツでしょ?」


「うん」


「大好き?」


「うん。大好き」




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The Happy End