妄想恋愛シミュレーション -110ページ目

FRATELLI ~ Prologue 2 ~

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プロローグ2



(尋弥)


俺たち6人は多卵生多胎児で、尾東家に生まれた。


いや、ただのサラリーマンの父と専業主婦の母と祖母ちゃんのいる、平凡極まりない家庭。


同時に生まれた俺たちだったけど、面白いほど容姿も性格も違っていた。




長男・智弥(ともや)。


空ばっか見上げてる。


お皿の上の唐揚げを盗まれても気付かない。


みんなの一番後ろから、のろのろと着いてくる。


でも幼稚園の時から、絵と粘土細工に関しては、大人の度肝を抜いてきた。


それに、俺たちは気付いてる。


智弥はああ見えても、俺たち兄弟の芯だってこと。




次男・奨弥(しょうや)。


智弥の代わりに、なんでも責任を持ってやってくれる頼れる兄貴。


頭がよくて、


礼儀正しくて、


先生に良く褒められてた。


でも優等生、って感じじゃない。


友達を笑わす事ばっか考えてて


でもすべる事多くて。


結構、お調子者なんだ。




三男・理弥(まさや)。


こいつがさ、ホントにハチャメチャな奴で。


てか、奨弥に脳みそ全部持ってかれちゃったんじゃない?って位おバカで。


でも、こいつが一番優しいんだよ。


すぐ気付いちゃう。


気持ちが落ちてるとか、なんか悩んでるとか。


さりげなくそばに寄ってきて、バカみたいな笑顔で癒してくれてる。




四男・和弥(かずや)。


器用なんだよな。


何やらせてもさ、ちゃんとこなすんだよ。


悔しいくらいにさ。


縄跳びが飛べるようになったのも、


逆上がりができるようになったのも、


逆立ちで歩けるようになったのも、


俺よりずっと早かった。


今でもそうだよ、


ギターでも、ピアノでも、英会話でも、


どこで練習してんだよ!って思うくらい、飄々とやってのける。


くそっ。





長女・亜弥子(あやこ)。


六人の中の唯一の女の子だった。


そのせいか、妙にしっかり者で、曲がった事が大嫌い。


手を洗えとか、


こぼすなとか、


先生の話を聞けとか、


俺たちの監視役だよ。


離れて暮らすようになってから、


なんだか静かになっちゃったなって思ってたけど、

きっと悩んでたんだろうな、何かに。


今となっては誰にも分からないけど。


12歳で死んじゃったから。


橋から川に飛び込んだ。


雪がぼたぼた落ちてる冬の寒い早朝。





そして俺、五男・尋弥(じゅんや)。


五男って言ってもさ、同じ日に生まれてるわけだし。


あんまり一番下だって意識はないよ。


むしろ、結構上から見てる気分。

結構冷静に色んなものを見てるつもり。


嫌いな事はいい加減な事。


自分じゃその程度の分析しかできないや。






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