全く眠った覚えも、手術を受けた覚えもないけど、手術は終わったらしい。
 
開腹したわけではないので、ICUにも行かず、そのまま病室に戻っていた。
 
目が覚めてしばらくすると、嫁さんと母親と先生がやってきた。
 
そして、今度は先生の口から、ちゃんと説明を受けたのです。
 
曰く、見える範囲にはがんは見当たらなかった。
ただ、カメラが入れない場所があるので、絶対とは言い切れない。
腹水にがんがあったら手術はできない。
 
検査結果は来週だが、胃全摘の手術と、入院の予定を入れる。
 
問題なければ、来週末に入院、その2日後には全摘手術。
 
ただし、手術が始まって、やっぱりダメでした、ということはよくある。
手術が始まって1時間経てば、摘出手術をしていると思っていい。
 
う〜ん。展開が早い。
 
早すぎる。
 
考える時間も何もない。
まあ、多分時間があっても何も考えない(笑)。
 
もう親兄弟や、部下には言わなきゃならないな。とてもごまかしきれん。
あ〜どうやって説明するかな〜。
 
がんのことよりも、説明する方法をずっと必死で考えてた気がします(笑)。
 
それにしても、まだがんと分かって一週間。
この時はこのスピード感が普通なのかと思ってたけど、実は普通じゃあり得ない日程で進んでいたことを後から知りました。
 
それほどに一刻の猶予もない状況だったのだと知ったのは一年後のことです。
 
主治医がポロッと言ったんです。
 
いや〜あの時はどうなることかと思った。
まだ若いし、ちょっと感情移入しちゃったからね。
いろんな所に迷惑かけちゃったよ。
 
そうして、運良く私は、スキルス胃がんと「一度は」お別れすることができたわけです。
 
腹膜でコソコソと生き残ったがんがいるとも知らずに。
 
あ、このシリーズ、スキルスとの出会いなのに、出会ってないな。まあ、その話はまた今度(笑)。
 
シリーズ「スキルスとの出会い」終劇