人生で初の入院。
 
がんの検査で入院するというのに、なぜだか、オラちょっとワクワクしてきたぞ。
 
検査の入院なので、至って身体は元気。
 
すでに昨日のうちにCT検査と胃カメラ検査は終わっている。
 
あとは大腸がん検査のための絶食+排便があるが、まあこれは大丈夫。
問題はやっぱり2日後の検査手術。
 
お腹に3,4カ所穴を空けて、カメラを突っ込んで腹膜の中を見るらしい。
見た目に転移がなく、腹水にがんがなければ、手術OK!→胃の全摘。
 
ワイルドな主治医はとっても人が良い。
看護師さんもみんな優しくて、親切。
 
しかし、何もすることがない。検査とか、長くたって1時間。後の時間どうするの?
 
結局、youtube見たり、映画見たり、ドラマ見たり、本読んだり・・・。
 
今思えば、あんなお気楽な入院はなかった。
この後3回入院することになったが、すべて壮絶だったのだから(笑)。
 
手術の日。
 
朝、9時からの手術。
 
嫁さんと、母親が付き添っている。
 
脳天気な私とは違って、ものすごい緊張感がある。
 
そりゃそうだ。この手術次第で、私の残りの人生が大幅に変わるのだから。
 
私はといえば、手術室をしっかり見ておこうとか、機材とか器具とかどうなってるのだろうかとか、滅多にない手術の機会を逃さない構え(笑)。
 
大体、全身麻酔なんてやったこともないし、イメージわかない。
 
あんなドラマみたいに「コテッ」って寝られるの?
 
手術のフロアに入ってから、何度も氏名の確認をされ、10以上ある手術室の一つに歩いて入っていく。
手術台にも自分で上る。
 
手術室は思ったよりも広くて、ドラマのセットのよう。
大きなモニターがとても印象的。
 
最後の氏名の確認を終え、点滴や注射が打たれる。
 
手術台って固いんだなというのが一番の思い出(笑)。
 
今回の手術は背中の麻酔はないので準備は簡単。
 
「それでは麻酔をかけますよ」
 
といわれ、例のあのマスクを付けられる。
 
いや、興奮してて眠れないって。うたた寝の状態で手術しちゃったらどうするの?
目が覚めちゃうぜ?
 
って思った瞬間、肩を叩かれた。
 
「momizoさん、わかりますか?声が聞こえますか?」
 
??
 
ベッドのまま廊下を運ばれている。
 
あれ?どうした?手術してないの?
 
視界がグニャグニャと廻っていく。ああ、映画みたいだ、と思った。
 
声は出ないけど、話し声は聞こえるので、大きくうなずいてみる。
 
すると、嫁さんが隣で泣きながら言った。
 
「見える範囲にがんは無かったって。手術できそう」
 
ああ、そうか、それはよかったな・・・
 
他人事の様に、そう思いながらまた眠りについたのです。
 
<つづく>