やっとの事で手術室へ運ばれるmomizo。ついにこの苦しみから解放されるのか?そして人工肛門は!?
再びベッドで運ばれていく私。名前と生年月日の確認があったかどうかも覚えていない。
そういえば、この手術室に運ばれたのは4年半前。胃の全摘手術をした時。
あの時は何の痛みもなく、のんびりとしたものだった。手術室を隅々まで観察したし、スタッフの人たちとも会話をしたものだ。
そして今、苦しみ悶絶する私。手術室に到着すると、今度は自力で手術台に移動する。
横に寝かされ、いくつかの確認があったと思うが、覚えていることはただ一つ。
早く眠らせてください!【ハヤクネムラセテクダサイ】①苦痛から逃れようとするさま。②毛利小五郎に対するコナンへの応援。〈語法〉限界を超えたときの言葉の終端につく。〈同義語〉逃げるは恥だが役に立つ[ハンガリー]
と私が叫んだこと。
麻酔。なんと甘美な響き。
あの苦しみから一瞬で解放され、おまけに目が覚めたときにはその原因もなくなっているという、魔法の様な存在。
麻酔によって意識を飛ばされるまで、手術室に入ってから2,3分の出来事だったのではないかと思う。
そして、その次の瞬間、私はICUにいたのです。
主治医から説明を受けました。
1mに渡って腸が黒くなり、血流がほとんどない状態だったが、取り出した途端に血液が流れ、正常な働きをしてくれたこと。
腸を切る必要がなく、またお腹に腸を詰め込んだこと。
あと数時間で命の危機だったこと。
こうして、命は救われ、人工肛門を付けることもなく手術は終了したのです。
ただし、術中に発見したシコリ、つまり転移の可能性については、家族だけに知らされたのでした。
~シリーズ「momizoの災難」~ 終劇