GLAYのFC会報『HAPPY SWING vol.77』(2015年6月下旬発行)でのYOSHIKIさんとTAKUROさんの対談は、「すみれ組幻想④」でも触れました。

 

このインタビューの別の箇所でYOSHIKIさんは、10年後(GLAY30周年)も東京ドームでやれる体力を持ち続けるのは尋常ではないと語るTAKUROさんに対して、「まあ、X JAPANの場合は、10年後なんてかなりあり得ないけど……」と言っています。

 

綺麗に終わらせるための再結成だったのが、その後も続けることになったのは、旧運営と袂を分かち、YOSHIKIさんの事務所が運営を司るようになったのが大きいのでしょう(「すみれ組幻想①」)。

 

しかし、健康上の理由や体力面などで、遠からずX JAPANを続けられなくなるということは、YOSHIKIさんも想定済みだったようですね。

それまでは自分の世界進出のためにもバンドを動かしておこうと、ある程度割り切っていたように見えます。

 

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そして、2018年7月8日(LA時間)、『進撃の巨人』の主題歌にX JAPAN feat. HYDEのRed Swanが決定したと発表されてから、もうすぐ3年が経ちます。

 

私は「JASRACに登録されているX JAPAN feat. HYDE(Red Swan)」(2020年2月25日)で、「現実には諦めざるを得ない場合が多いだけであって、どんな問題も月日が経てば勝手に終わったことになる訳ではありません」と書きましたが、この件も有耶無耶にされたままですね。

 

 

YOSHIKIさんは同年7月20日のYOSHIKI CHANNELで、Toshlさんからなかなか返事を貰えなかった時期に、前から一緒にやりたいと思っていたHYDEさんに話を持ち掛けたところ、快諾してくれたからこうなったのだと説明していました。

この言い分の矛盾は既に何人もの方が言及していますので、この記事では省略します。

 

現在のYOSHIKIさん擁護論は、「Toshlの返事が遅かったせいだ」とする声(Toshlさんの事務所悪玉論、都度契約説を含む)と、「コラボの何が悪い、海外では当たり前だ」という論点逸らしが中心なのでしょうか。

(特に調べていないので、特定の方を念頭に置いている訳ではありませんが)

前者だけでなく後者も、YOSHIKIさん自身が率先して行っていましたね。

 

人格者・友情アピールをするワンマンリーダー(『ヘドバン』Vol.30の津田直士氏によれば「誤解」だそうですが)による、正規ボーカル外し・外部ボーカル採用のコラボで、大型タイアップ付き。

正規ボーカルには10年もレコーディングに付き合わせておきながら、アルバムを出さない。

 

そうしたコラボが海外ではポピュラーでまったく批判がないというのなら、枚挙に暇がないほど多数の事例が存在しているはずですから、是非拝見してみたいところです。

仮に海外(大体、欧米)では当たり前だったとしても、何でも真似しなければいけない訳ではありませんが。

 

Red Swanが発表された時、TwitterのToshlさんファンは、第一報の時点で「Toshlさんが外された」と動揺する様子が見られました。

それに対して、「YOSHIKIがToshlを外すはずがない。ツインボーカルに決まってるのに、これだからToshloveは」的な反応も幾つもありましたが、その後の展開は言わずもがなです。

 

あまり表に出さないだけで、3年前の時点でも、Toshlさんファンの多くはYOSHIKIさんに不信感を抱いていたのでしょうか。

私も当初は静観していましたが、YOSHIKIさんには微塵も幻想を抱いていないので、Toshlさん外しくらい当たり前にやるだろうと考えていました。

 

YOSHIKIさん関連の事柄は、早いうちに疑問を呈すると「まだ何も分かっていないのに憶測で文句を言うな」と怒られ、おおよその事実が判明してから言うと「いつまで過去のことにこだわってるんだ」と口を塞がれるようですね。

どうやらYOSHIKIさんに不都合なことはいつ言っても駄目なようなので、忖度せずにそのつど発言したほうが良さそうです。

 

余談ですが、普段の私は主に近世~近代について調べ物をすることが多いです。

歴史の世界でも、「現代の価値観で過去を裁くな」「双方の言い分がある」で、支配者や加害者とされる側が熱烈に擁護される光景はよく目にします(歴史相対主義の弊害)。

 

ある人物や事物が事実ではないのに美化される、負の面を隠蔽される、被害者と言っても良い側が悪者にされる、などといったことも珍しくありません。

それを指摘すると、支持者がまともな論拠も出さずに怒り出すところも含めて、既視感がありますね。

 

なお、過去の問題が許され得るのは、本人が自分の過ちを認め、それを保ち続ける場合でしょう。

Japan Expo(2019年7月)でのインタビューからしても、YOSHIKIさんはRed Swanの件では自分は悪くない、コラボに理解がないファンが悪いというスタンスのようですので、当てはまりませんね。

 

※コメント欄にインタビューの書き起こしと和訳あり。

インタビューにはRed Swanボーカル選定についての重要情報も。

 

 

そういえば、ある人によって私とMeYouさんが同一人物だと断定されていると聞かされましたが、記事作成には私も協力しておりますので……。

逆にアメブロ運営さんに訊いたほうが別人だと分かるような。相手にされないかもしれませんが。

 

レコーディングにしてもToshlさんへの当たりがマシになったくらいで、特に海外では過去の件での責任転嫁が目立ちます。
 

解散をToshlさんの洗脳のせいにする洗脳されたのも本人の発音の悪さや個人的なプレッシャーのせいにする(この場合の「洗脳」はセミナーよりも元妻の影響、ひいては脱退理由を指しているはず)などといった調子ですので、やはり時間の経過は言い訳になりませんね。

 

「“He could hit the notes, but he couldn’t pronounce the words and it damaged his confidence,” Yoshiki says. “You play the Tokyo Dome and everybody loves you. You go overseas and nobody knows who you are. It caused a bad frame of mind that allowed Toshi to be manipulated.”」

 

(訳)

「彼は歌うことはできたが、英語の発音はそうはいかなかった。それで自信を失ってしまった」

YOSHIKIは言う。

「東京ドームで演奏して歌えば、皆から愛される。だけど、海外に出てみたら誰にも知られてない。それらが原因となって、Toshlは操られるような悪い精神状態になってしまった」

 

【The world’s unluckiest band: the bizarre story of X Japan】

「ロンドン・タイムズ」(2017年10月13日)

 

 

※アーカイブなら登録しなくても読めます。
https://archive.md/teNHq
 

【『ロンドン・タイムズ』表紙にX JAPANが登場日本のバンドとして創刊以来初の快挙!】

「YOSHIKI PR事務局」(2017年10月14日)

 

 

(同列に扱う訳ではないとはいえ)ToshlさんがHOHから脱会して11年半以上が経ちますが、MASAYAを免罪できないのは当然のことです。

そして、カルトの支持者が追及の声を封殺しようとすればするほど、言及する必要性は高まるのでしょう。

 

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前置きが長くなりました。

 

「YOSHIKIはToshlを「待っていた」のか?」に続く「YOSHIKIにとってToshlはX JAPAN唯一無二のVoだったのか?」。

この項目ではYOSHIKIさん自身がアピールし、ファンも信じていたほどには、YOSHIKIさんはToshlさんのボーカルを絶対視していなかったのではないかということを当時の資料を元に見ていく予定でした。

 

ただ、他にも載せなければならない情報があるので、この項目は3つに分割し、当初の内容は(3)に回すことにしました。

(2)では、アルバムのゲストボーカル案はいつ頃からあったのかについて見ていきます(Red Swanについては割愛)。

 

少し前に、ToshlさんがX JAPANから離れる様子を見せた(都度契約への変更や、ボーカルとしての役割を果たしたという気持ちなど)ため、2017年末~2018年に突然YOSHIKIさんがゲストボーカル等を決めたのでは、的な文章を見かけたからですね。

 

「Blue verse」のれいこさんが、2018年2月24日YOSHIKI CHANNELでの「ゲストミュージシャンがいるんですね」発言を初の正式発表としたからかもしれませんが(「事の発端 その2」)、これは事実ではありません。

 

YOSHIKIさんはもっと前から、アルバムにはサプライズがあると言っていただけでなく(2017年7月23日のYch)、「2人ほど素晴らしいアーティストがフィーチャリングで登場します」と明言していました(10月15日のYch)。

別の有名人の声を入れるという点では、コーラスですがDIR EN GREYの名前も出していましたね(2016年3月のReddit)。

 

某文章には、週刊誌報道によるとToshlさんは2017年10月に都度契約になったとの記述もありましたが、こちらも違います。

第一報の『女性セブン』8月2日号(2018年7月19日発売)では、「Toshlは昨年、契約が切れた後、契約を更新していません。ギャランティーの未払いなどがあったためといわれています」となっており、他の媒体でも具体的な月日は書かれていませんでした。

 

【X JAPAN新曲にToshl不在“方向性の違い”以上に深刻な問題】

https://www.news-postseven.com/archives/20180719_722455.html?DETAIL

 

仮にToshlさんが自分の道を求めるようになったのだとしても、非難するのは無理がありますし、(何度となく歌わせた正規ボーカルの曲を削って?)ゲストボーカルの曲を入れても良いとする理由にはなりませんが。

 

Toshlさんに同情的であれ批判的であれ、YOSHIKIさんがゲストボーカルやX JAPAN feat. HYDEを推し進めようとした理由に、Toshlさんの世界進出へのモチベーションの低さや都度契約(事実であれば)を挙げる声は少なくありません。

 

その当否は別として、これらの人々はToshlさんの行動を原因として先に置くので、ゲストボーカルやX JAPAN feat. HYDEの決定を遅めに見る傾向があるようです。

そのため、分かる範囲内で正確な情報を提示することは大事だと言えます。

 

YOSHIKIさんもX JAPANにはToshlさんが必要だということは分かっていたでしょうし、完全に排除しようとした訳ではないでしょう。

そこにすみれ組幻想を抱いてしまう方もいるようですが、Toshlさんを排除すれば困るのはYOSHIKIさんです。

 

自分が批判される覚悟で離れるのではなく、正規ボーカルを確保したまま別のボーカルを採用して「美味しいとこ取り」を狙ったのであって、誠実さとは正反対ですね。

 

言うまでもないことですが、「本人のアピールやファンの幻想、関係者の持ち上げなどによって美化されたYOSHIKIさん像を指摘する=YOSHIKIさんに過大な要求をしてそれが叶わないからと非難する」ではありません。

YOSHIKIさんに求めても、殆どがないものねだりになってしまうのは自明ですし。

 

また、私は修行が足りないのかYOSHIKIさんが人格者だとは思っておらず、X JAPANの活動も求めていません。

(アルバムがお蔵入りになってしまうのは問題ですけれども)

洗脳いじりは許されないといった程度のことでも過大な要求になってしまうくらい、擁護者にとってのYOSHIKIさんは救いようがない存在なのかもしれませんが。