NiziUのダンスパフォーマンスMVが公開されるたびに「アヤカ、ダンスうまくなった」というコメントがつきます。アヤカのダンスをほめてるつもりなんでしょう。でも、「前は下手だった」前提で語られてるようで、なんかあまりしっくりきません。

 

マコやリオのダンスに対しては「うまい!」「さすが!」「魅せるダンス!」など、普通にそのダンスをほめることが多く、前と比べて「うまくなった」と書く人はあまりいませんね。マコやリオだって、虹プロのときよりもレベルアップしていますが、それを言うとしても、「うまくなった」じゃなくて、「さらにレベルアップした」とか「ますます磨きがかかってきた」とか「一段と魅力が増した」とか、つまり「元から上手かったけど、もっと上手くなった」という意味のことを言うんじゃないでしょうか。

 

だから、「アヤカ、ダンスうまくなった」と書く人はアヤカがダンスが下手だったときの残像が残っていて、それと比べて言ってるわけですよね?でも、それっていつのどのダンス?そんなに下手くそなとき、ありましたっけ?

おそらくですが、「アヤカのダンスが下手だった」と思っている人は虹プロでJ.Y.Park氏にダンスを酷評された印象が残っているのでしょう。映像を見て検証しましょう。

 

[Nizi Project] Part 1 #4-1

10:04 地域予選東京会場でのアヤカのダンス(2019年6月)
ここでアヤカのダンスは10秒程度しか映っていないので、よくわかりませんね。

もっとも、本当に上手い人はたったの10秒でも上手いとわかりますから、このアヤカがそうではないことは確かです。でも、だからといって、この10秒が後々まで「下手なダンスの残像」になるほどひどいかというと、そうでもないと思いませんか?

むしろ印象に残ったのはそのあとのJ.Y.Park氏の酷評です。
--------------------------------------------------------------
10:14

J.Y.Park: (9年も)ダンスを習ってこのレベルということは練習を全くしていないということ。このままデビューしても歌手を長く続けられないと思います。実力で判断したら不合格にするのが当然。
--------------------------------------------------------------
確かに1万人(地域予選)からわずか26人(東京合宿)に残るほどのハイレベルではなかったのでしょう。1万人のなかで上位1%の100人には入れたとしても、それだけではまだダメで、上位26人に残らなければならない。そこまでのレベルではなかったということでしょう。でもそこに何かスター性の片鱗を見たからJ.Y.Park氏はアヤカを26人の一人として残す決断をする。残すからには敢えて厳しく酷評して、どの程度奮起して練習し、実力を伸ばしてくるかを見ようとしたのではないかと思うのです。だから、そのような教育的な意図をもって発されたアヤカのダンスへの酷評を、ぼくら素人がそのまま真に受けて本当にすごく下手だったかのように言うのはどうなのかなと思います。

 

では、東京合宿のときはどうだったでしょうか。

 

12:14 東京合宿ダンスレベルテストでのアヤカのダンス(2019年9月、Dalla Dalla/ITZY)

今度は1分以上流れるのではっきりと見て取れます。確かに今のアヤカのダンスに比べるとまだ手足の可動域が小さいし、関節の動きも今ほど柔軟ではない。一つ一つの動きがプロとして人に見せるレベルまでには洗練されていないのかもしれない。

 

でも、振りのリズムはちゃんと取れていて運動神経は悪くなさそうです。ずぶの素人でこれだけ踊れる人はなかなかいないでしょう。練習を積み重ねればもっときれいに踊れそうなポテンシャルを既に感じさせます。だから、この映像が「下手なダンスの残像」になるとはやはり思えないのです。

 

 

ここでも、J.Y.Park氏の評価が非常に複雑なものでした。

--------------------------------------------------------------

13:52
J.Y.Park: ダンスブレイクの前で止めたのは、ダンスブレイクで下手さが目立ってしまいそうで心配になったから。アヤカさんはダンスが苦手です。でも、なぜ僕が笑っているかと言うと、この前に比べるとかなり上手くなっていたからです。皆さん、アヤカさんは本当に上手くなりました(一同拍手)。アヤカさんはダンスを踊っても歌を歌ってもアヤカさんそのままです。良いことです。自然体の魅力が本当に人を惹きつけます。でもこの実力では歌手になれないです。他の人よりも何倍も頑張らないといけないです。
--------------------------------------------------------------

J.Y.Park氏は、ほめ言葉ダメ出しとを織り交ぜて語っていて、この言葉だけを見ても、よかったのか悪かったのかよくわかりません。きっとこういう気持ちなんでしょう。「決して下手ではないし、地域予選で見たときよりもよくなっている。でも、このレベルに留まってほしくはない。もっと上手くなって、アーティストとして人に見せるレベルまで上がってほしい」と。地域予選からの伸びを見て、きっとこの子は厳しい言葉をかけても受け止められる強い子だと確信したのでしょう。だから、今のアヤカをほめつつも、もっと向上させるために厳しい言葉を投げかけたのだと思います。そして、ダンスレベルテストの順位でアヤカは26人中16位でした。

 

               虹プロ東京合宿ダンスレベルテスト順位


このアヤカまでがギリギリで追加キューブを獲得します。「下手なダンスの残像」になるほどひどかったらキューブは与えないと思うのです。そう言えば、17位の次点でキューブをもらえなかったミウ(櫻井美羽)が悔し泣きしていましたね。ちなみにマユカは21位、ニナは24位。ニナへの酷評はもっとひどいものでした。


アヤカは中高とテニスをやっていて、大会で優勝したこともあるらしく、運動神経はもともと悪くなかったのです。だからいわゆる「ダンスが下手」な人にありがちの動きの鈍さや遅さもなく、振りを覚えられないとか間違えてしまうとかいうこともありませんでした。ちょっと動きに癖があったのと、美しいダンスのノウハウを知らなかっただけなんです。J.Y.Parkには「動きが硬かった」と言われています。長い手足を存分に振り回すだけの筋力がまだついていなかったのかもしれません。

 

ピコピコNiziUさんのYouTubeでは東京合宿でのショーケース・グループバトルの練習風景の動画をアップされています。リズム通りにターンができているのは前列のアヤカと後列のマコの二人だけです。

 

【ピコピコNiziU】意外と体幹がしっかりしている彩花

 

東京合宿でのアヤカは最終順位が26名中の14位となり、韓国合宿行きの切符をこれもギリギリ最下位で手にすることになります。では韓国合宿でのアヤカのダンスはどうだったでしょうか。

 

注目したいのはチームミッションでミイヒ、リマと3人で組んだ「Sun Rise」チーム。"Very Very Very"に挑戦します。J.Y.Park氏が作曲したI.O.Iのヒット曲です。

 

虹プロ韓国合宿 チームミッション(2020年3月頃か)

Very Very Very - Sun Rise (ミイヒ 미이히 リマ 리마 アヤカ 아야카)

 

とても魅力的な3人のパフォーマンスです。さほどダンスの難易度が高い曲ではないとは言え、アヤカは、JYP練習生経験のあるミイヒ・リマと全く遜色なく踊れています。表情や表現力にも富んでいて、この時のアヤカのダンスを「下手なダンスの残像」だと言う人はもういないんじゃないかと思います。

このパフォーマンスを見終えたJ.Y.Park氏はこう言います。
--------------------------------------------------------------
20:47

J.Y.Park: アヤカさんは僕が知っているアヤカさんと同一人物かな?と思いました。アヤカさんは本当に頑張っているのが見えます。ミッションを重ねるごとに成長が見えます。ガールズグループのメンバーとしてスターになれるのではないかという確信が初めて持てました。

--------------------------------------------------------------

このとき初めてJ.Y.Park氏はダメ出し無しのほめ言葉のみの評価をします。この子はいくらでも努力して伸びる子だ。どんどん素質を開花させていく子だという確信が本当に持てたのでしょう。

 

 

このチームミッションでのアヤカの個人順位は13人中の7位。真ん中でした。同じチームでは見事な歌とラップを見せたリマが2位、ミイヒは6位でした。ミイヒとの少しの差はボーカル能力の差でした。最高のパフォーマンスを見せたマドンニチームでもマヤ1位、マコ3位、リオ8位でしたから、何とあのリオよりもアヤカのほうが順位が上だったのです。これが2020年3月だとすれば、アヤカは約2年前には既にこのレベルに達していたことになります。

 

虹プロ韓国合宿では最終順位8位でNiziUのデビューメンバーとなったアヤカ。ボーカルにまだまだ欠点を抱えていたアヤカが、高いボーカル能力を持つニナよりも上の順位で合格したのは驚きでもありましたが、それだけJ. Y. Park氏がダンス・表情・ヴィジュアルといった「見せる」部分で、アヤカに高い評価を与えていたと考えられます。ボーカルが苦手なメンバーは歌割を少なくすることで目立たせなくすることが可能だけれども、ダンスは全員がフルで踊らなければならないからごまかしが利きません。その意味でボーカルよりもダンスをより重視した順位だったのだと思われます。

 

NiziUとしてデビューが決まったのが2020年6月。この月に17歳の誕生日を迎えたアヤカはその後も猛練習を続けます。驚いたのは2020年8月にYouTubeにアップされた、先輩TWICEのヒット曲"Dance The Night Away"のダンスカバーでした。

 

NiziU "Dance The Night Away (TWICE)" DANCE COVER(2020年8月)

 

デビュー前の練習の一環でもあり、NiziUのデビューを心待ちにするファンへのサービスでもありました。本家TWICEの"Dance The Night Away"ダンスプラクティスのシンクロ率の高さや魅力的な表現力にはまだまだ敵いませんが、それでもNiziUの可能性を感じさせる楽しいダンスカバーとなっています。そして、特に目を惹くのがアヤカです。このときのアヤカは既に長い手足をしなやかに動かしていて、虹プロ東京合宿のときの動きの硬さはなくなっています。まだまだ伸びしろはあったし、実際、今のアヤカはもっと上手くなっていますが、このときのアヤカを「下手なダンスの残像」と言う人はいないんじゃないかと思います。いや、既に「ダンサー・アヤカ」になっていると言うべきじゃないでしょうか🐱

 

最初の話に戻しましょう。「アヤカ、ダンスうまくなった」とコメントを書く人はいったいいつのアヤカと比べて言っているのでしょう。虹プロの"Very Very Very"が2020年3月、"Dance The Night Away" が2020年8月。アヤカはつい最近ダンスがようやく上手くなったようなメンバーではないのです。いったいいつまでアヤカに「ダンスうまくなった」と言い続けるつもりなのでしょう。そろそろ、ほめるならハードルを下げた感じの「前と比べて」ではなく、今のアヤカだけを見て「アヤカのダンスは本当に上手い!」、「魅力的だ」、「ずっと見ていたいダンス」のようにほめませんか。

 

レベルアップしてきたことをほめるにしても、ただ「うまくなった」ではなく、

アヤカのダンス、ますます魅力的になってきたね!🌷🌈
アヤカ、ダンスの美しさに磨きがかかってきたね!🌷🌈
アヤカ、ダンスがどんどんレベルアップしているね!🌷🌈
と言ってあげてほしいです。前からうまいけど、もっとうまくなったと伝わるように。

賛同していただける方、ぜひ「いいね」を押してください。↓

 

(つづく)

 

NiziUアヤカ ダンスの魅力(その2)Take a picture

NiziUアヤカ ダンスの魅力(その3)Poppin' Shakin'
NiziUアヤカ ダンスの魅力(その4)Chopstick

 

ネコバスのTwitterはこちら⇒ネコバス