妖怪無職猫男 -13ページ目

三者三様

春ですなぁ・・・。
散歩中、道端には水仙やムスカリの花が咲いています。
最近、歩いていると暑くなるため、薄着で出てきたものの、
今日は風が冷たかった。
・・・・・・世間の風当たりを身に感じる今日この頃・・・・・・。
暗転。

どんよりとしてきた空の下、どんよりとした気持ちで歩いていると、
御堀端で、鯉に餌をあげている、おばさんを見かけた。
ここ、五~六年、やってくるようになった鴨も、寄ってたかって餌をついばんでいる。
と、小太りの男性が通りかかる。
その格好と、この場所から、市の職員だと推測される。
歩いてきた方向からして、別棟にある福祉課から市役所本舎へ行くと思われ。

「あ。」

あっという間に、手に持っていた書類が堀の中へ・・・。
おじさん、なぜかおれの顔を見る。なんで?
前記の通り、彼が市の職員ならば、失くしてはいけない大切な書類のはず・・・。
おれは、
「あ、」と、声に出さない声を口で表現して、おじさんから目を逸らし、
向い側にある酒屋の自動販売機へ。
どうするのかな・・・・・・などと思いつつ、煙草を買う。
受け取り口から煙草を拾い、振り向くと、

   _, ._
  (;゚ Д゚) …?!
「あちゃ、」

思わず声を出してしまった。
なぜなら、おじさんが裸足になり、ズボンを捲り上げている。
・・・・・・余程、大切な書類らしい・・・・・・。
・・・・・・しかし、目の前の市役所の中には、マジックハンドは無くても、
竹竿など、何かしら水に入らなくても書類を拾える道具があるだろうに・・・・・・と、思うが、

口にせず、おじさんを温かく見守ることにした( ̄ー ̄)ニヤリ

どぼん、
・・・・・・・・・・・・・・・・
ちゃぷちゃぷ

「はぁ~、」
と、岸に上がったおじさんが溜息。
捲り上げたズボンの裾は、ずぶ濡れだ。
・・・・・・当然だ。
一見、浅く見えるこの掘。
底には泥が積もり、浅く見えるだけなのだから。

と、
「かもさん、かもさ~ん、」
と、鯉に餌をあげていたおばさんが、鴨に手を振って大声で叫び始めた。
・・・・・・普通のおばさんだと思っていたが、そうでは無かったらしい・・・・・・。
ま、おじさんの行動を気にも留めていなかったから、おかしいとは思っていたがね・・・・・・。

世の中は面白い。
一人は、生真面目だが機転が利かない公務員のおじさん。
一人は、少々煩ってらっしゃる風のおばさん。
一人は、昼間ッから、ぶらぶらと散歩している無職の男。
世の中には、いろんな人がいるものだ、と、思いつつ帰路についた。

回転灯

午後、散歩の途中、とある商店の前でアルバイト募集の張り紙を発見。
速攻で店内へ。
が、店員ではなく、外回りの営業だった・・・。

まあ、こんなものだ、と、散歩に戻り、公園のベンチで一休み。
ふと、もよおし、公衆トイレへ。
すると、回転灯が回っている。
個室で異常があった際の押しボタン式警報装置、あれである。
公園内の広場に面した公衆トイレ。
辺りには、いつもたむろっている、酔っ払いのおじさんおばさんの一群。
回転灯を見上げていると、中から酔っ払ったおっさんが一人出てきた。
十数人いる、おじさんおばさんは、気に留める様子はない。

(いたずらかよ・・・。)

いたずら、もしくは故障だろう・・・。
明日あたりに、殺人事件のニュースでもあったらびっくりだけど・・・。
用を足そうと、男子トイレへ。

酒臭ぇぇぇぇぇぇッ!

息を止めながら用を足す。
児童公園で酒飲んでんじゃねぇよ・・・。
と、言いつつも、十年後、ああなっていたりしてとか思ったり思わなかったり。

帰宅する。
昨夜、例の義兄の父の訃報があった。
一週間もたなかったらしい。
父と母が、お悔やみに出かける。
おれも明日の通夜には出席するつもり。
二~三度ちょっとだけ顔を合わせただけで、話したこともないので、
葬式には出なくてもいいらしい・・・。

・・・・・・コーヒーでも飲むか・・・。

植木

父と共通の趣味が”植木”である。
ガーデニングではなく、植木である。
猫の額ほどの庭に植木鉢が並ぶ。

穀潰しのおれには癒されるの時間だ。
今年は早々と水仙の芽が出てきている。

室内ではシンゴニウムの株分けも成功。
こんなにどうすんだってほど増えた・・・。

だが、こんな時でも暗い考えが浮かぶのが穀潰し。

(この花が咲く頃までには、仕事見つかるかなぁ・・・。)

暗くなる・・・。
春の陽だまりが一気に暗転。

花屋がいいんじゃない? と思ったあなた、
花屋は男ってだけで断られるのだよッ!
それとも、うちの近所だけか?
男女差別だ・・・。
むっさい男の店員がいてもいいじゃないかッ!(ほんとは良くない)