人生莫恨 | つくば暮らし(隠居日記)

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気が向いたときに更新される日記です。

父親は2005年の師走に92歳でなくなった。晩年は書道に熱中し塾を作り教えていた。書の作品の展示会も地元のあちこちの会場で行っていた。 そのため書の作品を掛け軸や額装に仕立ていた。その数が膨大になり、実家の蔵を改築して、これらの作品を壁一面に飾っていた。 父親が存命中、勤めを退官して実家に帰った時、その中にあった作品になぜか惹かれ貰って帰ることにした。

作品は三浦梅園の詩である。


人生莫恨無人識

幽谷深山華自紅


三浦梅園


三浦梅園は郷土豊後の思想家である。 実家には三浦梅園の本もあったから、父親も関心を持っていたのであろう。 山の中で人知れずしかし凛と咲いている花のように、世間を気にせず自信を持って人生を生きよという姿勢を感じた(自分の解釈で間違っているかもしれません)。 この額は親父の形見として自宅の玄関に飾ってある。

父親が亡くなった時は、インドに旅行に行っていて、葬儀には出られなかった。 ちょうどベナレスの火葬場にいたころ親父がなくなったのも何かの因縁かもしれないが、師走のこの時期には親父を思い出す。