無賃乗車に対応するコストが大きすぎると感じたこと | 今日も花曇り

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先日、日本に旅行に来た外国人が、新幹線に無賃乗車して逮捕勾留された事件の弁護を担当しました。

そこでつくづく、軽微な犯罪に対応するために社会が負担するコストが理不尽に大きいことを感じました。

 

まず、逮捕段階では、弁護士会が自腹を切って(つまり各弁護士の払った会費から)無料で接見に弁護士を派遣します(当番弁護士制度)。

今回は外国人だったので、通訳人の通訳料も弁護士会が負担。

 

次に、逮捕に続いて勾留されると、国選弁護人が選任されます(弁護士費用は国が負担)。

勾留中の通訳の費用も国が負担する。

 

勾留中は、当然ながら衣食住は保証される。

取り調べにも通訳がつき(当然国の負担)、被疑者(犯人)には裁判官、検察官、警察官らという公務員(要するに税金から給料をもうらう人々)が、そんな無賃乗車のために寄ってたかって取り調べをし、調書を作り、被害者(鉄道会社)から事情聴取する。

 

そして、最後の刑事処分は、最高でもわずか2万円の罰金刑(鉄道営業法違反)。

 

今回、たぶん国選の弁護人報酬が7、8万円くらい。

通訳料が5万円くらい。

裁判官も検察官も高給取りだし、そこに警察官や勾留にかかっているお金も考えれば、この1件を処理するために優に20-30万円くらいはかかっていると思う(もっとか?)。

旅行者だから、社会に戻ったあと日本のために働いてくれることもない。

 

本当に無駄だと思います。

この費用と労力は、もっと必要な人のために振り分けるべきだと思う。

 

厳格な手続はもちろん重要ですが、あまりに無駄すぎる。

実は今回、私が弁護人についてから、本人が持っているキャッシュカードを預かってお金を引き出し、鉄道会社に弁償して釈放されました。

つまり本来、無賃乗車の現場で通訳をつけてちゃんと話をすれば、本人がお金をおろして払えたはずなのです。

どうにかならんかったのか・・・