歳をとると、世界のことがどんどんわからなくなってきます。
知れば知るほど、どんなに自分が取るに足らない存在で、世界が複雑で難しいかを、ますます思い知るばかりです。
歳をとれば、もう少しは世界のことがわかるかと思っていたのですが。
人間は時間は移動できないので、一生は宇宙の歴史に比べてあまりに短すぎます。
もっとも、空間を移動する能力はあるのに、宇宙どころか日本さえ広すぎるのですが・・・
伸び縮みする時空や、確率でしかわからない量子の振る舞いは、私の直感の理解を全く超えています。
かといって、直感によらず数式で理解する能力もありません。
他人と深く付き合うと、自分がいかに他人を理解していないか、完全な理解は不可能と思えるくらい互いに分かり合うことが難しいかを感じます。
自分自身についてさえ、脳の反応に意識の反応が遅れているとか(意識は現実を時間差で後から見ているだけ)、脳を分割すると人格も分割されるとか(分離脳)、事実を知るほど、自分についての認識が揺らぎます。
そして当然、自分が生まれる前のことも死んだあとのことも知ることができません。
自分が生きている前提条件のほとんど全てがわからないのに、なぜ皆んなは目の前のゲームに疑いを持たずに集中できるのだろう?
どうして自分はこんなゲームを強要されているのだろう?
普段は生活に精いっぱいで忘れてしまっているのですが、ふと我に返ると、あまりの不合理に呆然となってしまいます。