スピッツ ありがとうと言われるバンド | 今日も花曇り

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読んだ本や考えたこと、仕事について。

ここ1ヶ月ばかり、6年か7年ぶりくらいに、ひどく体調が悪化しました。

症状のなかでもアトピーと不眠がひどく、ここまでひどいのは本当に久々。

なぜここまで悪くなったのか・・・年齢も上がり、苦痛に対する耐性が低下したのか、過去に比べて苦しさが大きい。

 

そんななかで、遅ればせながらスピッツの新しいアルバム「ひみつスタジオ」を買いました。

これが素晴らしいアルバムで・・・。

自分が弱っているからか、いつにもましてスピッツの音楽か沁み入ります。

 

草野さんのボーカル含めた4人の演奏も、詞も曲もアレンジも、どこにも無理がなく繊細で柔軟で、スピッツそのものです。

最近のスピッツを聴いていると、後期のベートーヴェンの曲を思い浮かべたりします。

長い探求の結果、アーティストが素材を完全に自由に扱っているという感じ、開放感のような。

 

30年以上、メンバー交代もなく活動し続け、たくさんのファンが支持し続けているだけでも奇跡的です。

もう、売れるとか売れないとか、自分がその曲が好きとか嫌いとか、それすら関係ない気がしてきます(もちろん活動を続けてもらうために売れてくれないと現実にはファンも困るのですが)。

 

でも、スピッツが作品を作ってくれるということは、その度に確実に、世界に何か優しくて善いものが少し加えられることだと思えます。

もうヒットするかどうかなど関係ないという気になります。

 

 

 

YouTubeでスピッツのPVのコメントを見ると、たくさんの感謝の言葉が並んでいます。

そう、もうありがとうという気持ちしかない。

こんなに長い間、いい音楽を作り続けてくれてありがとう、ずっと元気で活動を続けてほしい、本当にそういう気持ち。

 

 

 

それにしても、草野さんほど、シンガーソングライターとしての才能を完全に備えた人はいないのではないかと感じます。

声質、詞、曲の全部が完全に草野さんの世界と一致していて、もう本当に奇跡としか・・・。

 

でもスピッツは草野さんのバンドではなく、どこまでも三輪さん、田村さん、﨑山さんを加えた4人のバンドです。

スピッツには、草野さんの以外の3人の演奏と人柄がなければ・・・。

 

「旅の途中」という本には、デビュー当時、草野さんの突出した才能に田村さんと三輪さんの技術が追いつかず、プロデューサーから「草野をソロで売るという選択もあり得るんだぞ」と発破をかけられたというエピソードがありました。

 

でも草野さん自身は、同じ本の中で「スピッツが装甲車のように自分を守ってくれたおかげでここまてやってこられた」と話していました。

確かに、草野さんほど繊細な人は仲間と一緒でなければつらいことが多すぎるだろうと思えてしまいます。

 

スピッツが彼ら4人でよかった。

それと、スピッツが日本のバンドでよかった。

日本語以外では、あの詞の世界の表現は難しかったでしょうから。

 

この「ひみつスタジオ」の1曲目が「i-o(修理の歌)」という曲なのですが、曲の終わりは「ちょっと得意げに鼻歌うたってる 頼もしい君に会えてよかった」と静かに閉じられます。

 

スピッツに会えてよかった。

この「よかった」という気持ちも、スピッツの作品がいつも与えてくれる感覚です。