恋は二度目のアネモネ -35ページ目


朝からいきなり愛くるしさをお見舞いされ、
完全に負けて笑ってしまった。
きみの可愛さには完敗だ。
見習いたいくらいだよ。
どうにか戦わずに、
穏便に日々を送ることはできないかしら。

無敵のスターがある場所を
教えてくださいモテモテの女神様。

自分の気持ちや希望を表現するというのは、
こんなにもどきどきして
普通でいられないものなんだなー

あー
もやもや
しくしく
むずむず
うずうず
気持ちわるいけど愉しくもある
これはおそらく、
人生のきらめく一瞬だ。

きみは今、
誰かに恋しているのかしら。
すてきなことだね。





すごい料理をつくってやると息巻いていましたが、
つくったのはロールキャベツ。
ちょっと手間がかかるだけで、
大してすごくはない。
でもレパートリーの中でもまだ洒落てはいる。
ナツメグとオレガノのトマトソースロールキャベツ赤ワイン仕立。
いやいやいや。
あほちゃうか。
長いし気取ってる。鼻につく。
ただ肉をキャベツで巻いただけなのだ。
そんな気取らんでよろしい。


ロールキャベツを頬張りながら気づいたことは、
あなたと自分への愛だ。
きみはなんて言うか、スパイス。
きみのスパイスのおかげで、
透き通って潤んでいく肌や、
世界のきらきらや、
効果的なダイエットが、欲しいだけなの。
つまりは、
自分自信に恋してるだけなのよ。

なんてね。
くやしさから出た言葉かな?
自分の心臓のかたちが、
自分でもわからないの。

ハートに火をつけて。

くれて、
ありがとう。

あなたもきみも赤犬だ。


最大限まで美化するの。
そのほうが愉しいから。
世界は虚構なんだから、
地に足なんてつけても、
くらくら蹌踉めくだけだよ。








小説のね、
ただのネタなんですよ。
こんなふうに書きなぐっているのは。

なんて、
味気ないから言わないだけでさ。

なんて。
なんてね。
わたしは嘘つきだ。




きみに会いたいからって、
きみに会いたいと歌うのはあまりに陳腐じゃないかしら。
そんな言葉からいったい何を感じとればいいの。

あーん
今日はつまんない。


帰ったら、
ものすごい料理を作ってやる。
ものすごい料理ってなんだ。

時間を進めるだけのために眠るなんて、
愚かだよねえ
大きな猫の名前がアネモネなのか。
すとんと腑に落ちる。








ピーマンのきんぴら
ウインナー
林檎。

なんてヘルシー。
痩せてしまうじゃない。

先月に比べて、食欲が戻ってきた。
まったくもって勝手な体だ。
せめて当のわたしにだけは、
内訳を見せてみろと言いたい。


朝からのんびり
ワッフルとスープをいただいたことを、
今思い出した。
歩きながらエトワールを聴いたことも。

あー
わたしの時もとめてよ
アラベスク。


鮮やかなその色はメキシコ。
きみの切羽詰まった様子が忘れられない。
思い出はいつだって断片的な詩のようだ。
綴じてしまいたい。
飽きて飽きられてしまう前に。







キッチンで食事をすることを
ベースキャンプと呼んで、最近楽しんでいる。

さっきまでベースキャンプで、
ビールとワインを飲みながら
久々にゆっくりと会話をした。
音楽を流して穏やかに。
彼はパスタとサラミとチーズを食べていた。
わたしはお酒だけ。

ふざけたり、思いやったり。
話をしたり聞いたり。
抱きしめたりキスしたり。
大切なのは、こういうことだ。
そんなことを忘れてしまったら、
人間関係はすぐにおしまい。
わたしはね。
気性が激しいから、
惰性なんかじゃ誰かと一緒にいられない。


棘のない、
ゆるやかな眠気がやってくる。

三日月だろうが満月だろうが、
月は月のまま。
どんな形をしていても、
わたしの愛しい月なんだ。