満たされていると、
言葉から遠ざかってしまう。
なにも補う必要がない状態のときは、
単語ひとつだってうまれてこない。
幸福はぬるま湯だ。
沸騰も、凍えもしない。
幸福はもうそれだけで完結していて、
そこからは何もうまれない。
ゆらっと、ぐらっと、
するまでは。
だからいつだって、
ほんのすこしだけ憂鬱でいたいのだ。
のみすぎたり、
悲しすぎたり、
憤ったりすると、
途端に饒舌になるのは、
ゆらっと、ぐらっと、で、できた空洞を
もうとことん埋め尽くしたいから。
理不尽に対峙して、
言葉で武装して、戦って、
そうやって
納得したいのだ。
おそらくは。
すこしの憂鬱にぴったりなこと。
知っているけどなかなかできない。




