棘とわがままは反比例する。 | 恋は二度目のアネモネ



眠りすぎたとき。
お湯に長く浸かりすぎたとき。
わたしの頭が痛むのはそのときくらい。
今日はそのどちらをもやらかしてしまって、
久々の頭痛に見舞われている。
ああ。
マイネームイズブルー。
眠るも浸かるも、
本当なら快適な行為なのに、
自分のからだひとつ、ままならない。


普段すこぶる健康体のわたしは、
頭痛薬を飲むということに考えが及ばず、
頭痛薬あるよ、と彼に言われて初めてその存在に気づく始末。
ラムネのような平べったい丸を、胃に流し込む。
鎮痛剤はすごいんだ。
きっとすぐに痛みなどなくなってしまう。
便利だ、この世の中は。


潮がひいていくみたいに、
じわじわ頭痛が後退していく。
それと同時に、
忘れていたわがままがパチパチ覚醒して、
はしたなく増えてくよ。

あなたが、おなかをすかせて帰ってくる。
頭が痛いわたしのためのごはんを携えて。
ああ、だけど。
苦痛を失ったわたしは、
いま猛烈に料理をしたいのだ。
何種類もの野菜と肉を切り刻んで、
からだの中を満たしたい。
ほら。ね。
からだも意識も行動も、
何ひとつとして、ままならない。

あなたが帰ってくる。
おなかをすかせて。
わたしへの思いやりをかかげて。
幸せだ。
わたしが築いて、
わたしが維持した幸せだ。

ああ。
だけど。
目の奥に、
重い痛みが残ったまま、
いつまでも消えない。