恋は二度目のアネモネ -16ページ目



好きな人に会えたけど、
もっと好きな人には会えなかった。
だけど、
会いたい人がいるって、幸福だ。
生きていれば会える。
何度だって。


あなたが
どんどん薄まっていく。
真水のように、
薄くなる。
ごくごく飲み干して、
何事もなかったようにできそう。
胃の中でゆっくり、
静かに思い出すことさえできそうだよ。
楽しかったことだけ。
嬉しかったことだけ。
悲しいことなんて、
ひとつもなかったみたいに。

そうやって、
変わっていく。
変わらずにもいられたのに。
そういうふうに廻っているの。
仕方のないことだよ。


ああ。
うまく言葉にならない。
絶句だ。

















これまでと同じいきものとしてあなたを愛するには、
きちんと愛する努力をしなければいけないことに気づいた
と、
あなたに打ち明けたとき、
あなたはよくわからない顔をしていた。
その表情から何も読み取れなかったわたしは、
読解力が乏しいのかもしれない。
でもこれだけは言える。
抽象的表現は、
男女の話し合いに用いるべきでは
ない
ある
! 

わたしとあなたは似ている。
きっと似ていたのではなくて、
似てしまったのだ。
ストライプではなく、
マーブルに混じり合う。
皮肉や毒も、
おそろいなんだよ。


水路に流れていった三日月が、
午前3時の紅茶の中に浮かんでた。
真夜中はいつも、
わたしを先回りして、したり顔だ。







きらきら、
東京の光の中を
通りすぎる。
きみとのランデブー。
わたしの胸もきらきら。
思い出になって、
甘くにじむ。
切り取って、
額に入れて、
ずっと持っときたい。
日常から
連れ出してくれてありがとう。
今になって、どきどき。
嬉しいの。
きみのおかげでわたし、
今夜もきらきら。
夢をみている。


最悪、とつぶやく声が聞こえる。
あなたにとっての最悪は、
これからだよー
とか、
思ってみるけど、
口には出さない。
馬鹿馬鹿しいものに夢中で、
呑気でいいよねえ。
あなたの横でわたし、
別のいきものに変身しているというのに。

悲しくなくなればこっちのもの。
世界はわたしのものだよ。

















ピンクのもやと、うたかた。
4月のヒーローは、
エクスクラメーションが邪魔をして
詩になりそこなったの。


この宇宙にいる間は、
わたしたちは同じ方舟のなか。
もう二度と会えなくても、
長生きして、幸せでいてね、
って、
心からそう思うよ。

わたしはほんの少しだけ、
また大人になってしまった。

この浮世で、
どこまでも自由でいたいの。
愉快に暮らして、
恋したり
ときめいたり
出会ったり別れたりしながら、
酔っていたいのよ。
この、ままならない人生に。







カルピスソーダを飲みたくなるのは、
きみの中にまだ少し
子どものきみがいるからだよ。


残さないで
わたしのそこかしこに。
嘘。
残してほしい。
ここにも
ここにも。

やり過ごすように1日がすぎる。
ちいさなことから、
少しずつ、
でもきちんと、
終わっていってしまう。
きっと、
取り返しがつかないことになる。
でももう、
そうなるならそうなるしかないのだ。

冷静になって
目覚めるのが
嫌だったの。
気づきたくなかった。
夢の中にいたかった。
だって、
ひとりぼっちは淋しいよ。


ジュースは普段飲まないけど、
カルピスソーダ、
わたしもちょっとだけ飲みたい。

子どもの頃、わたしは大人だったから
いま、
子どものように甘やかされたい。
いいでしょ。
ちょっと甘えたりするくらい。
泣いたり笑ったりするくらい。

いいでしょ。