[予習・復習]

 ・予習

 ①にも書いたようにある程度数学的素養(特に数Ⅲの微積分)を高めておく必要があるので数学の進みがまだの人はそちらを優先しておくとよい。予習は主に次の授業で扱う内容の確認とテキストなどの問題を解くことになると思われる。「予習はしてこなくてよい」という人がおられるが、基本的にはやっておくほうが良い。もちろん予習の時点で完璧に理解をしてくる必要はなく、ある程度理解が進めておくぐらいでよい(余裕があれば傍用問題集の問題を解いてくるのを勧める)。

 

 ・復習

 先生の授業は提供される情報量が尋常じゃないのでかなり復習に時間がかかるものの、がんばってものにしていって欲しい。復習は理論解説が自分でできるか(板書を紙にすぐ書き出せるレベルを目指したい)と問題研究をしておくのが良い。問題研究は例えば力学では、運動方程式を立てて時間追跡していくor保存則あるいはその関係から解くなどである。駿台から出ている東大入試詳解では次のように書かれている(一部引用する)。

 「演習問題は、解いて答が出たところからがスタートである。自分の導いた答は正しいのか正しくないのか、次元を確認したり、グラフや図を描いて考察してみる。答を導くのに手間がかかったならもっと簡潔に答を見つける筋道を探す、逆に敢えてもっと遠回りをして答を探してみる、与えられた物理量を一つのパラメータにしてそれを変化させたときの振る舞いを調べる等々、一つの問題をいろいろな側面から考察してみるのが揺るぎない学力をつけるための最短経路である。」

このような問題研究をテキストや補充問題で行うようにしてほしい。

 

 ・参考書籍

 ここでは師の授業を受けるにあたって役に立つと思われる書籍を紹介する。

 1⃣one point advice集&微積分資料集 (SEG)

     SEGが校内生用に配布している数学本。執筆者の内山先生が授業で配布したプリントこの本の原型となっている。前者で複素平面と二次曲線を含むⅠAⅡBを、後者は名前の通り微積分を扱っている。どちらも数学的事実や解法の原理を徹底的に解説しており、高校数学の勉強をするならまず手元に置いておくべきと思うほどの名著。微積の方では微分方程式まで扱っているのでこちらだけでも入手しておくのを勧める。ただし、市販ではないので譲り受けるかSEGが出版していた時の書籍を購入するしかない。

 

 2⃣ハイパー物理 自習用テキスト (河合塾)

  河合塾高卒生用のテキスト。このテキストが配られるコースの授業用テキストで扱えなかった問題とその解答・解説が掲載されている。執筆は苑田先生であるため解説というよりはほとんど解答のみであるが、師の授業を受けている人であれば理解がいちばん進みやすい思われる。また、問題量もそれなりにあるので問題研究の対象として非常にオススメ。

 

 3⃣新・物理入門 (山本義隆著 駿台文庫)

  駿台物理科の山本義隆先生執筆の講義本。師が授業で行う理論解説がそのまま紙面になったもの。慣性質量の測り方など細かい内容も掲載されており非常に読みごたえがある。これの問題集verもあり、そちらも問題研究によい。

 

[感想]

 私自身、師の授業を受けて勉強とはどのようなものか、勉強している人が目指すべき姿とは何かを教わり非常に感銘を受けた。正直、学生の時にこの授業を受けれて本当によかったと思えるほどである。また物理に対する認識も大きく変わり、物理が大好きになった。非常に内容が濃く身につけるのに苦労するが、分かったと実感したときの充実感はとてつもなく心地の良いものになるので、是非とも果敢に挑戦していって欲しい。

 

 来春以降、苑田尚之先生の通期や講習での受講を考えている人に向けて解説していく。

[概要]

 苑田先生の授業は大学以降のことを念頭に、古典物理学を(高校数学のレベル+αで語れない部分を除き)一切の妥協なく語る授業を展開する。対称性の話から始まり、物理モデル、そして力学・熱力学・波動・電磁気・前期量子論へと続いていく(生授業の場合、年度によって熱力学などの順番が変更されることがある)。

 対象層は”自然科学に興味があり、本格的な勉強をしたい人”である。これは先生自身が一番最初の授業で述べており、例え文系の学生であろうとも構わないとのこと。

 

「授業」

 ・全般的な部分

 古典物理学をゼロから大学教養レベルの内容までを膨大な量の板書と口頭説明をもって説明する。その為、物理に費やす時間と労力はそれ相応になるが、最終的な到達レベルは大学入学後の物理学にすんなり入っていける段階まで行く。授業は基本的に原理・基本法則解説→簡単な現象例で基本事項の説明→入試問題解説という順に進んでいく。理論解説は非常に体系的かつ整理されており、基本法則の成り立ちや解釈、定義を細かく正確に解説する。基本事項の説明は、典型的な現象例を用いて物理法則を確認していく(衝突を例にとると、平面上での一次元・二次元衝突、固定面・可動面衝突の典型パターンを解説する)。入試問題解説はテキストや配られた補充問題の解説。上記の内容はほぼすべて板書してくださる。しかし、口頭でより身近な具体例や注意点、物理における常識などを述べるので聞き逃さないようにしたい。また、授業の度に学問に対する向き合い方や高いレベルの世界にいる人とはどういう人なのかを力説される。

 

 ・Newton力学

 対称性の話から必要最低限の微積分解説そして物理モデルについて話した後、運動学、運動方程式で力学の構造を説明し、二体問題(Kepler問題なども含む)や単振動、剛体、流体に関する力学を解説していく。力の見つけ方あるいは束縛条件の話、衝突におけるベクトル図、さらに力学における時間反転対称性などの高校や参考書等ではなおざりにされている、または載っていないものまで徹底的に解説してくれるので非常に実りの多い内容となっている。また師の授業を受ける前に学生が必ず履修している為、理解が進みやすく、最大の目標ともいえる”基本法則から考えるという姿勢”を身につけるのに最も適している。なお、先生も「力学は満点以外お話にならない」と述べている。個人的に最も受講を勧める分野である。

 

 ・熱力学

 熱力学とはどのような分野なのかから始めて、気体分子運動論、気体の状態変化(断熱変化や熱サイクル、熱気球の原理など)を解説する。熱力学は”現象論”の立場をとっていること、高校数学の制約から内容は初等的な範囲(高校レベル+α)にとどまる。先生曰く「熱力学は学生さんが最も早く自分で議論できるようになることが多い」とのこと。とはいえ、他の分野と違わず非常に厳密かつ正確に議論していくので、こちらも充実した授業になる。(現象論≔物質のミクロな内部構造や内部運動には立ち入らず、マクロに観測される諸物理量の間の関係を、経験的に得られた原理・法則をもとにして定式化して論ずる立場 「新・物理学辞典」 講談社ブルーバックスより)

 

 ・波動

 波動の表現(波の式)から力学的波動、そして光(場の振動の一例)の順に講義していく。こちらも熱力学と同様に現象論的側面が強く、一次元波動の範囲の議論にとどまるが、波動方程式の簡単な解説などもある。斜めDoppler効果やレンズ設計の部分などで近似計算を、波方程式のところで偏微分を使うことになるので、微積の数学的素養をかなり高めておかないと躓く。

 

  ・Maxwell電磁気学

 苑田先生の授業でおそらく最も難易度の高い分野。電荷や場、電磁気力の定義を確認した後、Maxwell方程式全体を定性的に議論し、各式を一つ一つ定量的に見ていく。具体的には電磁場のGaussの法則、ポテンシャルエネルギー、コンデンサー、電磁場中の荷電粒子の運動、Ampere-Maxwellの法則、電磁誘導、交流回路を講義する。電磁気は他の項目に比べても扱う数学のレベルが高い。線積分・面積分(名前は出していなったがStokesの定理など)、偏微分、広義積分、外積(力学の際に解説される)に関しある程度理解してないと板書を取るだけで終わってしまいかねない。余談だが、Maxwell方程式は積分系で表される。

 この分野はおそらく理解するのに相当時間がかかり苦労するだろうが、参考書等では替えがきかないので積極的な受講を勧めたい。

 

 ・前期量子論

 光電効果、Compton効果、de Broglie波、原子の構造、放射性崩壊を講義する。今まで学習してきた古典物理と対比させながら、かなり物理の歴史を絡めて解説される。この物理学史はかなり面白い。数学的なレベルは電磁気を乗り越えれば既習範囲になり、また内容も量子力学の入り口なのでゆとりをもって受講しやすい。

 スーパーα英語総合完成 担当:小林俊昭

[概要]

 駿台英語科のcore講座。夏期と同様で講師の色が出やすいので、誰で受講するかは熟慮したほうが良いと思われる。

[テキスト]

 夏と同じで文法・読解・作文の4セットで構成されているが、冬のテキストでは作文の設問が2セット程読解の中に組み込まれている。また、夏よりも難易度が上がっている。

[授業]

 夏と同様に各セットの文法テーマについて解説していくが、通期授業および春夏の講習で習ったことの確認と言える講座なので新規事項はほぼない。純粋に新しい知識や掘り下げをしたいなら、この講座ではなくインテグを受講するべきである。むしろ、「これ前にやったな」と感じられるが、自分で内容を書き出せるレベルに達していない人や単に演習として利用したい人向けである。テキストの分量も多くはないので延長は5分程度である。

[予習・復習]
 予習では文法テーマの発見と問題に答えるの二点が主である。時期的に共通テスト対策などの比重が高まるので全訳は余裕のある場合や自身が躓いた部分に絞るとよい。復習は文章や設問解説が自分でできるかどうかを確かめるとよい。
「感想」

 自分の文法知識がどの程度定着しているのかを確かめるにはよい講座。しかし、小林先生の講習にしては今までに比べてストレートに内容が薄くなるので、自身の学力状況をよく考慮して受講したほうが良いと思う。

[予習・復習]

 小林先生は全訳を勧めてくるのだが、時期的にも正答率やスピードが求められてくるので

予習の場合は問題を解いてくるだけでもいいと思う(共通テスト後の全訳もよい復習になる)。

以下、役立つ参考書籍を紹介する。

 ・英文読解のグラマティカ/英文要約のグラマティカ(著:富士哲也 論創社)

   夏期のインテグでも紹介した本。There is構文や話法(リポート構造)などの機能面に  

   ついて深い解説がされているので非常におすすめ(小林先生はあまり機能面の解説が

   ない為)。

 

 ・インテグ(春・夏)のテキスト

  通期に比べ講習会は復習が疎かになりやすいので、冬期の予習とかねて復習しておく

  といいだろう。意外と穴のある部分が残っているので、より万全の状態で講座に臨める。

 

[感想]

 いつも通りの深い文法解説でやっぱり学ぶことの多い講座だった。個人的には”話法”のところは「やれらた!」といい刺激を受けた。年末の忙しい時期に英作文の添削を見ていただけて本当にありがたかったです(そしてテキストへのサインありがとうございました!!!)。体力的にもきつい講座ではあったけれども、すごく楽しい授業でした。

  integrative英語(冬期) 担当:小林俊昭

[概要]

 駿台英語科小林俊昭先生のオリジナル講座。夏期と同様に最難関大学の過去問を用いて文法を深く追求していく講座。夏期が「通常は教えられないが、知っておくべきこと」に重点があるのに対し、冬期は「知ってはいるが、通常教えられないこと」(既習事項の掘り下げ)に重点が置かれている。

[テキスト]

 テキストは夏と同じく講義問題とFor review(本文再掲)から構成される。問題は文法事項を基準に選ばれていると思われるので、夏と難易度は大きく変わらない(個人差あり)。ただ、自由英作文が2問になる、東大からの出典が少し多いなど若干の違いがある。

[授業]

 冬期ではThere is構文、but、進行形、話法+α(副詞節などの通期で扱ったものなど)を中心に扱う。通常通り、高速の板書と口頭説明で解説する。必然的に情報量は多くなるので、共通テスト対策や他教科の兼ね合いも考えると、なるべく早い期間での受講をお勧めする(余談だが、夏期ほどまでは締めきりにならない)。しかし、既習事項の掘り下げのみならず、前後期で扱った範囲の演習には丁度いい講座だと思う。

 こちらもHG講座で延長は毎日20分ほど。ただ質問および英作文の添削をお願いする人が増加する(特に最終日)ので、添削はきちんと予習して2日目または3日目辺りに事前にお願いしておくといいだろう(「他の期間に持ってきて」と言われてしまうことがあるため)。