Nコンブログ【NHK全国学校音楽コンクール合唱ファンブログ】 -99ページ目

Nコン2014を振り返り、Nコン2015を展望する。

もうすぐ今年も終わりますが、
今年のNコン2014を少し振り返ります。
課題曲・自由曲・番組進行の分野で
特に印象が残ったことを。


課題曲の中で、3部門で印象に残ったのは
演出家の小林香さん提供の「共演者」。
近年で一番良い化学反応が起きたと思います。

ご本人がブログで、

彼らが何カ月も練習しても減らない歌、
熱い想いを傾けるのに値する強い歌、
歌うことで心に力が湧いてくるような歌、
そういうものになっているかどうかずっと自問自答しておりました。
小林香オフィシャルブログ「Caori Covayashi」より一部抜粋)


とおっしゃっていましたが、
まさにそんな課題曲になりました。

初見で面食らった高校生も多いと思いますが、
舞台演出界のトップランナーからのメッセージを
練習するごとに感じ取り、共感し、
「ゆうき」が湧いたのではないでしょうか?


自由曲の中で、3部門で印象に残ったのは、
豊島岡女子学園中学校の「朝あけに」。
Nコンでここまで感極まったのは久しぶりで、
コンクールであることを忘れさせてくれました。
昨年の「たましいのスケジュール」も名演でしたが、
この学校の選曲のセンスはお見事です。


番組の進行の中で印象に残ったのは小学校の部。
特に司会の芦田愛菜ちゃんの「ゆうき」を
会場全体で歌うシーンは心に残りました。

そして敢闘賞をあげたいのはニッチェのお二人。
小学生の素を引き出すのが上手かったです。
毎年、インタビューする側もされる側も緊張で
ぎこちない進行になることがほとんどですが、
まったくそんなことなく楽しめました。

今年から司会を担当された二宮アナの進行も
爽やかで好印象でした。



そして来年のNコン。
どうなるのでしょうか?
戦後70年で、テーマが「ピース♪」。
想いの割にやや軽い感じがしますが(汗)、
主催者側の意図があるのでしょう。

一昨年から1ヶ月ほど前倒しで課題曲も発表されます。
今年は年明け早々に初演番組の詳細や、
課題曲のタイトルが発表されています。
Nコン2015も同様の感じになると思います。

小学校の部は103歳の最年長の作詞者。
作曲は「証」「桜の季節」の編曲や
自由曲が数々歌われている加藤昌則さん。

中学校の部は若者に人気のSEKAI NO OWARI。
紅白歌合戦にも出場します。
編曲者は未発表です。

高等学校の部は久々に歌人が課題曲を担当。
俵万智さんが歌人として何度か担当していますが、
他に歌人っていましたっけ?
作曲は「Fight」を編曲した松本望さん。

課題曲発表は2月です。


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暁星小学校 蓮沼勇一先生「心に響く歌唱指導の言葉がけ」を読む

久々に合唱指導書を読みました。
蓮沼勇一先生の今年8月発刊の本
「心に響く歌唱指導の言葉がけ」(音楽之友社)。

わかりやすい言葉と実例ばかりで、
すらすら読めました。

蓮沼先生といえば、Nコンでは
東京の暁星小学校を率いて
何度も全国金賞を受賞した先生。
今では珍しい少年合唱団ということで、
音源を聴きながらその指導法が気になり、
「教育音楽」等での連載によく目を通しています。

「こうしなさい!」というのではなく、
「こうするとどうかな?」というような、
よくなるためのヒントを与えて、
そこから自身で体得してもらう指導法が
全編に散りばめられています。


その中で「コンクールに参加してみよう」の項から。
「コンクールが育てた、子どもたちの人間性」。
一部要約抜粋します。

出場人数制限があるNコンで、
どうしてもメンバーが決められない年があった。

努力はしているものの、音域の狭い6年生。
→その子を通せば音域の広い子の枠が減る。

その子が「僕は課題曲だけでいいです。
○くんに自由曲を歌わせてあげてください」

子どもたちの人間性の向上が嬉しかった。
→大変な練習とメンバー選びで
コンクールの意義を考えたこともあったが、
真剣勝負があったからこその成長だった。



よくコンクールで「打倒○○小学校!」と
目標を掲げる学校があることについて、
こういう例が他校の例で挙げられていました。

コンクールの結果がよくなかった翌日、
黒板に審査員の悪口が殴り書きがされていた。
→「子どもたちがこうなってしまうなら
コンクールにはもう出ない!」と思った先生。

それを機に子どもたちと先生でよく話し合い、
子どもたちは大切なことをたくさん学んだ。



要約なので、ぜひ書籍で
ご覧になってみてください。
参考になることばかりです。


最後に、蓮沼先生のメッセージの中から
心に残るメッセージを1つ紹介します。

みなさん、芸術をしましょうね。
苦しいと思うまで練習しないと、人には感動は与えられません。
芸術とは、そういうものです。



【出典】
白ひげ先生の 心に響く
●歌唱指導の言葉がけ
蓮沼勇一 著


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【Nコン2014】児童合唱で、審査側が求める「子どもらしさ」と、参加側が求める「向上心・探究心」

(訂正)初出で「教育音楽11月号」と記載しましたが、正しくは「教育音楽12月号」の誤りです。

小学校の部の審査といえば、
昭和の時代から「子どもらしさ」で
議論になることが多々あったようですが、
現在のコンクールでも議論になっていることが
今年の総評から垣間見れます。

「教育音楽」(音楽之友社、12月号)から
一部要約してまとめてみます。
全部門の総評と各校への講評が掲載されています。
正確な全体の内容は「教育音楽」をご覧ください。


  • 審査側の「子どもらしさ」への希望的観測と、参加側の向上心・探究心とのすれ違いがある。
  • 難曲な曲に挑んだ学校に「見事」と感嘆する審査員もいれば、「なぜこんな難曲を歌わせるのか」と批判する審査員もいる。
  • 「素直だけでは全国までコマを進めない」と諭す審査員もいれば、「課題曲で不自然な工夫が多すぎて残念だ」という審査員もおり、「工夫で他校を退けてこの場にいる」という審査員もいる有り様だった。
  • 子どもらしさを失わずに、最大限の力を発揮した金賞校はある意味、「中道をゆく演奏」とも言えなくない。



相反する両者の意見がどちらもよくわかります。
「審査員が変われば結果もガラリと変わる」
と言われる状況が生まれるのも納得です。
ちなみに金賞校には多くの審査員が最上位をつけたそうです。

中学校の部でも昨今、難曲志向に注文がついていましたが、
今年の総評では
「“挑戦する姿勢の強調”のような演奏や選曲は少なかった」
と評されています。


ちなみに昭和62年全国大会小学校の部終了後にも
同様の議論がなされたと言われています。

  • 「子どもらしい発声であるべきだ」という審査員対し、「そういう枠は限定しにくい」という審査員がいた。
  • 「子どもの発達段階にあった選曲を」という審査員に対し、「あらゆる可能性を引き出すべきだ」という審査員もいた。



過去のある作曲家の審査員がこうおっしゃってました。

自分の曲を、正確な音程と表現で歌ってくれる演奏と、
子どもらしく、めいっぱいに歌ってくれる演奏、
どちらを評価すべきなのか私にはわからない。


とても印象的で、考えさせられました。
実際のコンクールでもこう感じることがあります。


昭和56年の課題曲作曲の小林亜星さんもコンクール後に
「もっと地声発声でも良かったのではないか?」
「もっとノった感じが良かった」とコメントされてます。

昭和57年の課題曲作曲の坂田晃さんも、
Nコン終了後にコメントを残しています。

  • コンクールが子ども不在になっている。
  • 子どもらしさのある演奏は少数派で、そういう演奏は全国に残れない。
  • 不自然な歌わせ方が多い反面、基本がなおざりになっている。
  • コンクールが目的であってはならない。
  • 大人びた発声が良いという審査員がいて驚いた。



この問題に関して明確な答えは出せないと思いますが、
今年の総評の最後にはこのようにも述べられています。

  • 金賞校は自分たちの技術で演奏可能な曲を多くの楽曲から選び、正しい音程とリズム、センスの良いエッセンスを加えて演奏し、涼風のような演奏をやってのけた。
  • 審査員は皆違う感性を持っており、演奏会ではなくコンクールという場では、凄い演奏・見事な演奏以上にバランスの良い演奏こそを目指すべきではないかと感じた。それこそが「真の意味で合唱文化を育むコンクール」だ。



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