さて、前回問題となった防衛省の大量処分事案は、海上自衛隊の物が2件でした。
これは、2件が同時に出て来る事も不可解でした。
それは、普通に二件別々に出せばいいものを、同時に出す事で、海上自衛隊のトップは辞任せざるを得なくなってしまうからです。
ここまで書いてしまえば、今回の件が、誰から誰に向けたメッセージであるか、なんとなく見えてくると思うのです。
そして、更に不可解なのが、今回4件上がった問題の、残り2件の方です。
もう一度、その内容を載せます。
○「特定秘密」情報の取り扱い→適性評価を受けていない新人隊員などを、艦船の秘密情報を扱う「戦闘指揮所(CIC)」で勤務させた。113人を処分。
○潜水手当の不正受給→架空の訓練を行ったことにしたほか、訓練の時間や深さを水増し請求していた。74人を処分。
○無料支給の食事を不正に飲食→基地内に居住する隊員のみに無料提供される食事を、基地外に住む隊員が代金を払わずに飲食。22人を処分。
○パワーハラスメント→内部部局の幹部が、部下に暴言を浴びせるなどのパワハラ。3人を処分。
最後の二つ、○無料支給の食事を不正に飲食 ○パワーハラスメント これです。
もちろん、2件とも問題ではありますが、間違えて食べても同じ罪ですし、22人が仮にそうだとしても、パワハラの方は事務方の内容ですよね、内部部局って、制服組、ほとんどいませんから・・・・。
にもかかわらず、何故か陸上自衛隊と航空自衛隊のトップである、陸幕長と空幕長も処分されているのです。
これは、例えば、タダで食べられると思って警察官が災害派遣の現場で、お弁当を間違って食べてしまい、警視総監が処分を受けた、というレベルの話です。
え?、そんな事、有り得ます?。
陸海空を束ねる統合幕僚長と情報本部長が処分されるのは、監督責任として止むを得ないと100歩譲ったとしても、陸と空って、トップが処分されるような重い罪を犯していますか?、ということなのです。
ましてや、この文では「基地外に住む隊員が代金を払わずに飲食」とありますので、これは航空自衛隊を指していると思われます、基地と言う概念は、陸では稀で、通常は「駐屯地」とされます。海と空の敷地で「基地」と呼ばれることが多く、逆に空と海では「駐屯地」と敷地の事を呼ぶことはありません。
(・・・・では、陸幕長って、何の罪で処分を受けたのでしょうか・・・・?)
極論から言えば、子供が他人の家のおやつを食べちゃって村長が死刑とか、さすがに無いですよね、それくらいチグハグな印象を受ける、ということなのです。
これは、統合幕僚長と陸海空幕僚長と言う、トップ全員を処分したいから、罪状は後付け、と言わんばかりなのです。
そして象徴的であったのが、このニュースが出た当日、もう一つ大きな案件があった事を、覚えているでしょうか?
それが、「海自護衛艦が中国領海を航行」事案なのです。
(以下、報道内容↓)
海上自衛隊の護衛艦「すずつき」が今月4日、中国浙江省沖の中国領海を一時航行したことが10日分かった。自衛隊の艦船が中国領海を航行するのは極めて異例。中国側から退去勧告を受けていたという。周辺では中国軍の実弾射撃訓練が予告されていた。中国政府は日本側に深刻な懸念を伝達。日本政府は経緯を調べると外交・防衛ルートで伝えた。防衛省は艦長に聞き取りを実施するなど調査を始めた。外交筋が明らかにした。
・・・・えっ?
私は、この記事を見た時、実は腰が抜けるほど驚いたのです。
ちなみに、すずつきと言う護衛艦は、海上自衛隊の中でも比較的新しく、謎の多い護衛艦です。
世界最強と言われる「イージス艦」のように、フェーズドアレイレーダーが搭載されている事が写真からも解ります。
これは国産イージス艦とも呼ばれていますが、本当の意味での「イージス艦」は、アメリカからライセンスされたイージスシステムのブラックボックスを含む軍艦だけで、海上自衛隊にはこれが8隻あります。
この数は、米国に次ぐ世界第2位の多さですが、問題はこの「すずつき」のタイプがイージス艦と比較して、どの程度の性能を発揮するのかが、ほとんど公表されていないため、実力が不明なのです。
色々言う人はいますが、何しろイージス艦に関する事項は、全てトップシークレットであるため、これを論ずるのは的外れです。
唯一、性能を証明するためには、一戦交えるしか方法が無いのです。
海上自衛隊って、そう言う艦が実際多いと感じます。
隣国から見たら、この護衛艦、どう映るんでしょう?
問題はそこにあるのです。
この護衛艦の評価を誤ると、南シナ海と東シナ海の勢力図も大きく変わります。
この護衛艦「すずつき」、同型艦が全部で4隻存在します。
また、この「あきづき型」(すずつきもあきづき型)護衛艦は、外見がほとんど同じ「あさひ型」護衛艦も存在し、こちらも2隻あります。
つまり、イージス護衛艦8隻に、この謎の多い護衛艦が6隻もある、周辺国からするとかなり厄介な存在、それが海上自衛隊です。
この合計14隻の最強護衛艦が、いかに注目を集めているか、もうお解りだと思います。
今回中国領海に進入したのは、この14隻の内の1隻だという事です。
当然、日本政府が関与したとは報道されていませんから、護衛艦すずつきの艦長以下は、処分対象です。
いや、本来なら、海上幕僚長が更迭されてもおかしくないレベル・・・・。
しかし、これだけ政治色の強い、またメッセージ性の強い行為が、本当に護衛艦の艦長レベルの英断によるものなのでしょうか?
当然、違うと考えるのが妥当です。
高度に政治的意図が感じられます。
これだけの事案、先の潜水手当の不正受給や戦闘指揮所に新兵が入っちゃった事案とは、比べものにならないくらいの重要案件ですし、それだけ罪の重さも桁違いです。
ましてや「食堂で食べちゃった」事案と比較しても、国際問題級のこの事件、同じ日に公表されているのに、海上自衛隊のトップへの訴追は一切無いのです。
・・・・食べちゃった方の事案は、何故か陸自トップも処分されているのに、です。
少し整理してみましょう。
防衛省の大量処分、特に、処分される必要も疑わしい陸と空のトップに対する処分が下された日に、海上自衛隊の新鋭護衛艦1隻が、中国海軍がミサイル演習を行うから危険なので近づくな、と警告しているそのど真ん中の領海に進入した事実が公表された。これが事実です。
常識的に考えて、これは海上自衛隊の護衛艦の方が挑発していますし、先方が仮に護衛艦を撃沈しても言い訳が通るレベルです。
・・・・これは、ある意味先制攻撃に近い案件です、あの慎重で有名な海上自衛隊が、よりにもよって。
意のままに動かない自衛隊。それを、言う事を効かせるために、誰かが下した罰・・・・。
そして、意のままに動く自衛隊もいるという、強烈なメッセージ。日本人がどんなに嫌がっても、自衛隊は実行せざるを得ない。
普通では考えられないような事が、同日に公表されたのです。
パリオリンピックの裏で、恐ろしく力関係が動きました。
準備は万端、あとは実行あるのみ、そこまで来ています。
今回は、複数同時に火を点けようと力点が動きました。
中東情勢、イランの参戦可否、ウクライナのロシア領への越境攻撃・占領、海上自衛隊護衛艦による中国領海進入、地震と南海トラフ警戒情報、台風10号、11号、豪雨災害、トランプ前大統領暗殺未遂、岸首相の次期党首選不出馬、憲法改正、地方自治法改正、そして自衛隊の大量処分。
どうですか、全部並べてみると、とても短期間に起こった出来事には見えません。この上に更にパリオリンピックが開催されていたのですから。
それでも、戦争に抗い、未だ平和を模索する人達の声が聞こえます。
この事件の中にも、そんな声が聞こえてなりません。
私達も、彼らの叫びを無駄にすることなく、共に祈るしか無いようです。