01467
雨に濡れた草木の匂いを嗅ぐと、あの夏の日を想い出すんだ。ねぇ、君は、覚えてるだろうか、あの暑い夏の午後の事を。突然の雨に君は喜んで、アスファルトに寝転んだ。雨が降ってくるのをアスファルトに寝転んで真上から降ってる来る雨を見るのが好きだと笑った。でも、その笑い顔がとても切なそうで、苦しそうだったのを僕は覚えてる。風邪引いちゃうからって言っても君はじっと空を見てた。僕はそんな君をただただ、ぼんやり見つめてる事しか出来なかった。だって、まだその頃の僕は今よりも、うんと青かったのだから。そして君は、ねぇ、今日はカメラ持ってないのと、聞いたっけ。あと10分もしたら、きっとあたしの人の形だけがアスファルトに残るから、それを撮って欲しいって言ったっけ。起き上がるとすぐに僕はその人の形を撮った。雨で濡れた地面に浮かぶ君の形を。あの日の君はなんだか寂しそうで、悲しそうだった。雨の日に、想い出すんだよ。君の事。もうきっと君は覚えていないかもしれない。あの日の事を。もう随分時間が経ってしまったから。あの日の君を想い出すと、僕はなんだか寂しい気分に、なるんだ。
元気で、いますか。僕は、元気だよ。また、雨の日に、いつかどこかで偶然に逢えたら良いな。
01466
日曜日の、冷たい雨の中、僕は傘を差して出かけたんだ。特別何も予定なんかないけれど、なんだかじっとしてられなくなってしまった。だけど、どこに行く予定もないままでかけて向かった先は、カフェ。そこで煙草と、珈琲を愉しんだ。珈琲の匂いが充満する店内で、僕は静かに本を読んだ。目の前のカップの中、珈琲が空になった頃、さて、次はどこに行こうか。なんてぼんやり考えながら煙草に火をつけたんだ。傘が邪魔をして、買い物をする気分にもなれない。結局僕は、そのまま、帰宅した。
やっぱりこんな日は、ゆっくり過ごすのが良いに決まってる。雨の音を聴きながら、君の事を想いながら、ゆっくりゆっくり、過ごそうと想うんだ。残り少ない日曜日の時間ってやつを。6月最後の日曜日は、なんだか、君を恋しく想ったんだ。
01465
僕の涙を、君は知らない。そして、君の涙も、僕は知らない。知らなくても良い事も、あるかもしれない。知ったところでどうにも出来ない事もある。隠すわけじゃない。言わないだけで、ただ、それだけ。男だって、時には涙を、流す時だってあるよ。人間だからね。僕は、結構、流す方かもしれないけれど。感動しては、涙が、出て。嬉しくなったら涙が出て。哀しくなったら、涙が出る。あくびをしたって出てくるし。涙腺、緩んでるわけじゃないと想うんだけどね。格好悪い事じゃないと、想うんだ。涙を流す事ってさ。赤ちゃんなんか、いつも泣いてる。それも物凄いパワーを使って。ありのままの、姿を、曝け出してさ。
もしも、一人で涙が流れてしまって、傍に誰でも良いから居て欲しいって、想った時、いつだって僕を呼んで良いんだよ。もしも、嫌な事があって、どうしても言葉を吐き出したい時、僕に言ってくれて良いんだよ。もしも、嬉しい事があって、伝えたくなったら、教えてよ。いつだって、いくらでも、僕で良いなら。


