コクランのマスクのメタ解析論文がコロナ禍での知見も含めた2023年度版にアップデートされ、編集長の謝罪と著者の抗議事件があった後に纏めたスレッドを上げておく。
— 藤川賢治 (FUJIKAWA Kenji) @ 医療統計情報通信研究所 (@hudikaha) May 4, 2024
メタ解析論文の読み方から、(編集長が何を言おうと)マスクに効果が無いと言える、ということも書いてある。 https://t.co/oc0aaeIjjf
コクランのマスクのメタ解析論文において、
編集長が何と言おうと、
著者は「マスクに効果が無いと言える」と書いている。
2023/01/30
コクランのRCTのメタ解析論文で効果無し
・2023年1月、マスクに効果は認められなかったとする
RCTメタ解析論文公開
・何十年もインフルエンザや新型コロナなどの
呼吸器系疾患に対するマスクRCTで、
効果が認められないのだから、効果は無い
・「結論は出ていない、今後の研究が必要」というのは、
現実を認めたくない人の詭弁
・ 少なくとも、害もあるマスクを推奨してよい理由にはならない
「結論は出ていない、今後の研究が必要」というのは、
「効果があるという結果が出るまで続ける。
その間は効果があるかどうかは不明であって、
効果が無いと結論できない」
と言っているのに等しく、
つまり「効果が無い」と言えるタイミングは、永遠に来ない。
・SOARES-WEISER 編集長は、
コクランレビューが誤解を起こしたとして謝罪
・この決定は筆者らに知らされてなく、
筆者らはコクラン幹部に苦情することを決めている
・編集長が何と言おうが、
何十年分のRCTメタ解析で効果を示せてないのだから、効果無し
リスクバイアス図
・43のRCT論文のリスクバイアスを評価。以下例
・AIELLO2010は、どのようにランダム化がしているか分からない
・AIELLO2010は、ランダム割付が被験者や研究者に隱蔽されず
・AIELLO2012は、ランダム化の手法が書かれている
・AIELLO2012は、ランダム割付が被験者や研究者に隱蔽
Aiello氏の論文が2010年と2012年とあり、
これは今の後の解説でも重要な役割を果たすので、
例にとって、ここではコクランでどのようなバイアスの評価となっているか、
上に少し解説しました。
Aiello論文、それ自体については別途、解説します。
このようにRCT論文ごとに質を評価し、
質の高いものだけどメタ解析に組込みます。
AIELLO2012は質が高いという評価となりメタ解析に組込まれていますが、AIELLO2010は評価が低くメタ解析には組込まれていません。
この判断は、他のRCTメタ解析論文を読む上で重要な情報となるので、
強調しておきます。
メタ解析のフォレストプロット
・インフルエンザやコロナ感染症では、
AIELLO2012 の Risk Ratio は 1.10 (95%信頼区間 0.88〜1.38)
・マスクの方が10%悪く有意差無し
・その他の論文も纏めて解析した結果は 0.95(0.84〜1.09)と、
マスクの方が5%良く有意差無し
・AIELLO2010は組込まれず、
AIELLO2012は全体に対するWeightは19.8%
AIELLO2012 の論文では、
インフルエンザやコロナ感染症の様な症状では、
Risk Ratio は 1.10 (95%信頼区間 0.88〜1.38)となっており、
マスクの方が10%悪く有意差無しと読めます。
そして、その他の論文も纏めて解析した結果は、
Risk Raito 0.95(0.84〜1.09)と、
マスクの方が5%良く有意差無しということになります。
また、AIELLO2012は、
全体に対するWeightは19.8%となっています。
繰返しになりますが、前述の通りAIELLO2012は組込まれていません。
AIELLO2012論文は、それ単体でマスクの有効性は示せておらず、
全体の19.8%としてメタ解析に組込まれています。
強調しておきます。