とりあえず、ダイヤルが正常に動いてくれないとどうしようもないので、真っ先にダイヤル軸とスプリング関係を清掃給油したが、コレにはワケがあって、ダイヤルが一定のスピードで定位置に戻らないとパルス信号が正しく出せない恐れがあるので、ダイヤル周りの整備を初めに行った。
機械的な問題は無さそうなので、次は電気的にスイッチが生きてるかの確認をする必要があるので、テスターでスイッチの開閉状況を簡易判定する。

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本来ならオシロで波形を見るのが理想だが・・・・・・取り合えずOKとする。
何度かダイヤル操作をするとグリスが馴染んできたのか音が静かになってきた。

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この辺で、外装のクタビレ具合を何とかしようと・・・・・・・・。
上の写真は、本体側の受話器を置く場所だが、撮影者の手の写り込みに注目。
受話器と擦れる所は完全にスリガラスの状態になってしまっているので、傷消しの為に軽く磨きを入れる。

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スリガラスから曇りガラス程度まで傷を目立たないようにしている。
完全研磨はかなりキツイ作業になるので、傷も「古物の味わい」ということで・・・・・。

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古い電気製品のレストアで必ずぶつかる問題の一つは、劣化した配線である。
絶縁被覆は硬くなって割れてしまっている場合の交換は当然として、今回は被覆に柔軟性を持たせるために被覆材に配合されていた可塑剤が析出してベタベタになってしまっている。
よりによって、昭和47年以前の製品なので可塑剤に有毒物質が含まれている懸念があり、依頼者には話をしたのだが、オリジナリティということでそのまま続行となる。
一応手袋をしたうえで、アルコールとベンジンを使い、ベタベタとこびり付いた埃を擦り落とす。

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いよいよ制御部に取り掛かるが、ココも基板がリベット固定なので、清掃と端子の磨きに留める。

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荒組途中。

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ダイヤル機構とフック機構の組み込みと結線。

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一丁上がり。

メン手前後の見栄えは余り変わりませんが、ダイヤルの操作感やフックの動作などはかなり滑らかな作動をしており、実用機としては必要充分な仕上がりとなりました。
久方ぶりの更新ですが、テレビの次は電話。
何ともアナログですが、今回の電話のメンテナンスは依頼品で、近頃は昭和レトロなどと称して売れているらしい。

そんな余波が当方にもやってきたという感じですが、私にとっては小さい頃の記憶と重なる部分が多く感慨に耽りつつドライバを握った感じです。

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そんな感慨を吹き飛ばすがごとくの汚さ。
どこで調達してきたのかは「敢えて聞かぬが花」といういでたちのクタビレっぷり。
ですが、当時の黒電話はリース品で「日の丸公社」でしたから、モノとしての素性はすこぶる良く、今だに現役で使われる頑丈さを持っていますので、清掃、給油だけで実用品として使用できると思います。

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鎮座する公社マーク、1967年製。
こりゃ、再生品ではなく、新造当時から故障していない機体だなと推測。

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今じゃ考えられませんが、当時は回路図添付の電化製品がフツーでしたので、コレにも入ってます。
後日の修理や点検に使う目的なのですが、実にシンプルな回路です。

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で、でサクっと解体開始。
ホコリが凄いので、全分解する事としたが、構造が単純なだけに分解がラク。
金属部品、電装、外装とに分け、プラ外装は水洗いをすることにする。

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この写真では汚れっぷりが判るかと思います。
消耗度の大きなパーツ類たち。
ダイヤルユニットとマイク(右上)、レシーバ(右下)。

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ひとまず、ダイヤルユニットのプラパーツを水洗いして、機構部本体を分解にかかります。
機構部(右)の中心部にはカップ状の部品があり、この中にゼンマイバネが巻いてあります。
ゼンマイバネはダイヤルを廻して指を離したときに定位置に自動で戻るための動力源として使われています。
グリスがほとんど乾いているのに、錆びずに「白磨き」のツヤを保っているので素材はステンレス鋼と思われます。
時計にも同様の機構があり(香箱)、時計用冶具が使えるかとも思いましたが無理なので手巻きで収めましたが、何度か失敗してビヨーンと飛んでいった事はヒミツで。

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裏返したダイヤルユニット。
パルス発信のスイッチ機構とドラムブレーキ機構が見える。
繊細なパーツ類なので、ダストカバーが付いている。
これらギア類を洗浄、給油しようと思いましたが、ギア類はサブフレームに組み込まれ、そのサブフレームは丸いダイヤル機構の円形金属板にリベット固定され、サブフレームの支柱もカシメ固定してあるので、完全な非分解構造にしてありました。

この非分解構造には驚きましたが、当時の黒電話はリース品で壊れると修理ではなく電話機を交換してしまうので、コレも有りだと思います。
下手に社外分解や個人修理でオカシナ仕様の電話を回線に繋いで交換機の故障なんて洒落になりませんからね。
これら故障機は専門工場で修理され、再生品として新規リース先に還流してゆくという仕組み。

仕方なく、ギア類の軸受けに給油するに留めました。

今時、アナログTVの修理なんて・・・・な感じですが、当方はCATVでしてデジタルをアナログ変換して配信しているので、アナログでも問題はなく、快適でした。

ところが、製造後17年目でトラブルが発生しまして、修理を決意したのですが、当方はCRT(ブラウン管パソコンモニタ)の修理経験はあるものの、テレビの経験はない。

故障とは、通称「横一」と呼ばれるもので、比較的ポピュラーなトラブル。
製造メーカーも補修用パーツをセットにしてラインアップしていたようです。

参考画像1

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コレはネットで拾ってきたものですが、現象はまったく同一です。
内部に残る高電圧を下げるために電源を入れるのを控えているので代用画像です。

輝線は横一本に出るので、かような名前がついたようです、専門的には垂直偏向不良。
この状態で「バンバン」とテレビ本体を叩くと、マトモに映る場合も有りますが、根治はしません。
原因は接触不良か部品の不良で、一般的な部品なら交換できますが専用部品になるとお手上げ。

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大抵は、ハンダ付けが割れてしまい接触不良になったことで起きる現象ですが、テレビを叩いて使い続けた場合は、パーツが壊れてしまうので、早めの処置が要ります。
ハンダの割れは、動作中の熱によって暖められ、使わないときには冷えることによって熱膨張と収縮の繰り返しによる金属疲労が原因。

さて、ここで問題は、TVの内部にはかなりの高圧がかかっているということ。
ブラウン管には数千ボルトから万単位の電圧が掛かっているので、電源オフと同時に基板をイジリだしたら、感電の危険があります。
そのため、しばらく放置(一週間程度)して自然放電するのを待つか、無理やり放電させる必要があります。
この放置期間も回路の設計によってマチマチなので一概には言えず、当方では一週間の放置程度では電圧は下がらず、検電テスタに反応しました。

取りあえず、やろうということで感電リスクの少ない(配線が込み合っていない)部位から手をつける。

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初っ端から思いっきり高圧部ですが、配線パターンがゆったりと配置されている電子銃(電子を放射)基板からハンダ割れ対策として、ハンダの再加熱とハンダを追加で流し込む処置をする。
画像右上には「高圧注意」の表示が・・・・・・・・・
画面右下には高圧を発生させるフライバックトランスとそこから伸びるアノードコードが見える。
高圧注意の表示より、アノードコードに付けられている白い円形の三つの部品に高圧の実感が湧く。
コードは絶縁されているのですが、確実に絶縁させショートや漏電を防ぐため、コードを他部品に接触しないようにするスペーサーが白い円形の部品です。
ケーブルの劣化等で絶縁低下が起きたときの安全確保の意味合いも含めて取り付けられているのでしょうけど、1ミリの間隔(空気層)があれば、3000ボルトまでの絶縁が出来るのですが、この白い円形の部品は半径20ミリはありますので、結構な高圧が掛かっているのでしょうね・・・・・・

気休めの手袋と、ショート時に飛び散ったハンダなどが目に入らないよう、ゴーグルを使う。
再ハンダをすると、鈍い鉛色からキラリとした金属性の輝きに戻る。

次はパターンの込み入ったメイン基板を処置する。
ありがたいことに、日本語で基板構成が書いてあるので、何処を重点的にチェックすればいいのかが一目でわかるのがありがたい。

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問題の垂直偏向区域のハンダを処置する。
右半分が再ハンダ、左半分が未処置の状態である。

IC部品などは熱に弱いので手早く加熱して、ハンダを追加してゆく。
どの部品が垂直偏向を司っているのかが判らないので、基板の表示部とその他目視で怪しげな全てのハンダをやり直す。

後は、ハンダ付け作業の際に出る「半田ヤニ」をアルコールで清掃してから、組み込む。
さて、ハンダ不良かパーツの破損か・・・・・・・・


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画像に乱れは無く、キレイに表示されている。
軽く揺すると画像が少し乱れるので、どこかやり残しがあるのだろうが、それはいずれにでも・・・・・。

温まってくると新品の家電が放つ独特の臭気が微かに漂う。
2015年まで頑張っておくれ。

今回は2006年より以前の製品なので、RoHSなぞ気にせず鉛ハンダを使用したが、RoHS対応製品の再ハンダはなかなか面倒だ。
鉛フリーハンダは代用金属の組成により数種類あるのだが、これが混ざると数年後にどうなるか判らないので、必ず吸い取り線で除去してから鉛フリーハンダを使う。
このようなひと手間は数年後にしか評価されないと思うが、同じ箇所で同じトラブルを起こさないが為の配慮である。



そろそろ夏対策が必要な時期になってきましたね。
平均気温が25度位になってくると、パソコンの内部温度も上がります(当たり前ですが・・・・・)

構造にもよりけりですが、デスクトップで気温+5度程度が大体の内部温度になります。
ノートですと、気温+10度辺りですね。

なぜ、温度管理が必要かというと、アレニウス則という法則があって、温度が10度下がると寿命が2倍に延びるというモノで、この法則によく一致する部品とあまり当てはまらない部品がありますが、熱対策は有効です。

例えば、パソコンに多用されている、電解コンデンサという電気を蓄える部品はこの法則によく一致していて、「85度の環境で使用して2000時間」の寿命と公表されている製品があるとします。
85度で2000時間とすると、連続使用で83日前後で故障する確率がグンと上がってくるということです。
ですが、75度で連続使用すると、4000時間・・・・・・・・・35度で連続使用すると、64000時間の寿命となります。

よりによって、この電解コンデンサはパソコンの発熱しやすい部品の近くに集中して配置されており、経験上では、発熱体に近いコンデンサは、壊れやすいです。
拙宅のパソコンも冷却に気を使い、文字通り24時間無停止で使っていたPCは8年で不調になりましたが、今は電解コンデンサを交換して(ブログ2011年7月6日 続コンデンサ交換 )快調に動いています。

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内臓している電解液が漏れてしまい、パソコンの作動が不安定になります。
正常品は中央、奥は頭頂部からの液漏れ、手前は頭頂部が膨らみ、液漏れ寸前の状態。
この液体は腐食性で、基板や他パーツを痛めてしまうことがあります。

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底部はゴム栓で封止してあるのですが、底から漏れることもあります。
正常品は中央、奥・手前は封止ゴムがせり上がってしまってます。
頭頂部が正常でも、封止部に異常がある場合は、コンデンサが傾きますので、発見の目安になります。

パソコンに限らず、この部品はほとんどの家電製品に使われているので、この部品の寿命が電気製品の寿命を左右するといっても言い過ぎではないと思います。

コレの温度を下げるには、いかなる方法を取るか・・・・・・・PCは空気で冷却しているので、空気の流れを良くする事に尽きます。

先ずは、部品を空気に触れさせること・・・・・埃を溜め込まない。
定期的な内部清掃をお勧めします、夏のクソ暑いときに、埃の毛布をかぶっているような状態です。
メーカーPCなどは、コンパクトに作ってしまうため、熱がこもりやすいので要注意です。
自作PCなら、行き過ぎた「静音」対策をしている場合は要注意です。

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電源ユニット内部の埃が湿気で張り付くと取り除きにくくなるので梅雨前に除去する。
排気口の排気効率を高めるため、形状の良い排気ガードに交換する。
排気口の右に重なるように写っているのが旧排気ガードだが、ユニットの筐体を打ち抜いた「造り付け」モノなので、コレを切り取り、針金で作られたものを取り付ける。

コーラル X-5 は拙宅のメインスピーカとして使っている。

1980年ごろの製品なので、当然中古調達なのだが、なかなか好みの音を出してくれる。
音も好みだが、この会社の製品は製造コストを掛けているようで、造りのよさは解体点検のときに感じた。
まぁ、この時代の製品はどれもコストを掛けているので、現代の目で見れば造りがよいのだが、コーラルは他社と比べて「真面目」に作ってきたと表現するとしっくり来る。

スピーカーなぞ上を見れば切りがないが、好みの音と価格には関連が薄く(高価=高音質ではない)、大切に使いたいので、かねてからの懸案であった近代化改修を行なうことにした。

スピーカには、シングルとマルチという形式があり、当スピーカはマルチ。
スピーカを3本使い、それぞれの音域分担で音を出している。

その音域分担のため、音声信号を高音、中音、低音と選り分けて、それぞれのスピーカに送り込むネットワーク回路が内臓されているのだが、今回はコレのパーツを高品位なものに交換する。

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まじまじと見ると、ウンとうなずいてしまう。
ほとんどがフィルムコンデンサで、電解コンデンサは僅か3本。
この時期の某社製品では、音質に影響のある「電解コンデンサ」を最高級品であってもワンサと使っているのだが・・・・・・・・因みに当スピーカは最高級グレードでもない。

電解コンデンサは、内部に電解液を内蔵しており、コレが漏れたりすると周囲の部品を腐食させたり、電解液の水分が抜け所要の性能を維持できなくなるなどの寿命の短い部品である。
おまけにフィルムコンデンサと比較すると、好ましい音とはいえないので、コレを全数交換する。
近頃は音響用電解コンデンサも出ているが、私はフィルム主義。

内部配線の製造年は1980年、コンデンサは1982年製造のモノが使われている。
癖の無い音が好きなので、交換用部品も癖の無い音と定評のあるパーツを選ぶ。

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海外で定評のあるフィルムコンデンサを使った。
ネットワーク基板へ無改造で組み込みたいので、なるべくサイズはコンパクトなものを選んだのだが、所要の値の部品が無く、複数のコンデンサを組み合わせて所定の値を作ることにする。
複数のコンデンサを組み合わせて無改造で組み込む・・・うーん・・・基板実装用途のパーツなのでリード線も短い・・・・・・汎用基板の出番となる。

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元部品は6.8ufの50ボルトだが、交換用は4.7+2.2で6.9ufの50ボルト・・・・・・多少の誤差は問題ない。
なぜなら、取り外した電解コンデンサの誤差は表示のプラスマイナス10パーセント(誤差表示 K )。
今回のフィルムコンデンサの誤差は表示プラスマイナス5パーセント。
0.1ufの「値違い」は出るが、誤差を比較すれば、値の精度は誤差範囲内である。

汎用基板を用いて、複数のコンデンサを並列に繋いで所要の値を得つつ、オリジナル基板への納まりのいい部品配置を試行錯誤する。
納まりのいい部品配置と部品同士を繋ぐ結線長を最短にして且つオリジナル基板には加工をしないというトレードオフの狭間に「楽しい悩み時間」を費やす。

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出来たのが、コレ。
6.8ufは4.7+2.2で構成し、22ufは10+10+1+1で構成して値を作った。
取り付けのためのリード線が上に伸びているので、実装は裏返し(!)で。

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汎用基板は太目のスズメッキ線を用いて配線パターンを作り、熱に弱いフィルムコンデンサをヒートシンククリップで保護しながらハンダ付けしている。
結果的には何の工夫も無いただの並列配線。
最短経路での結線を太目の線材を用いることで妥協。
なかなかオリジナル基板への納まりが難しい。

現状に戻せない加工は最後の手段なので、出来るだけ避けたいのが私の流儀。
どうしても代用部品しか手に入らなくて、加工が必要ならやむを得ませんが・・・・・。