コーラル X-5 は拙宅のメインスピーカとして使っている。

1980年ごろの製品なので、当然中古調達なのだが、なかなか好みの音を出してくれる。
音も好みだが、この会社の製品は製造コストを掛けているようで、造りのよさは解体点検のときに感じた。
まぁ、この時代の製品はどれもコストを掛けているので、現代の目で見れば造りがよいのだが、コーラルは他社と比べて「真面目」に作ってきたと表現するとしっくり来る。

スピーカーなぞ上を見れば切りがないが、好みの音と価格には関連が薄く(高価=高音質ではない)、大切に使いたいので、かねてからの懸案であった近代化改修を行なうことにした。

スピーカには、シングルとマルチという形式があり、当スピーカはマルチ。
スピーカを3本使い、それぞれの音域分担で音を出している。

その音域分担のため、音声信号を高音、中音、低音と選り分けて、それぞれのスピーカに送り込むネットワーク回路が内臓されているのだが、今回はコレのパーツを高品位なものに交換する。

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まじまじと見ると、ウンとうなずいてしまう。
ほとんどがフィルムコンデンサで、電解コンデンサは僅か3本。
この時期の某社製品では、音質に影響のある「電解コンデンサ」を最高級品であってもワンサと使っているのだが・・・・・・・・因みに当スピーカは最高級グレードでもない。

電解コンデンサは、内部に電解液を内蔵しており、コレが漏れたりすると周囲の部品を腐食させたり、電解液の水分が抜け所要の性能を維持できなくなるなどの寿命の短い部品である。
おまけにフィルムコンデンサと比較すると、好ましい音とはいえないので、コレを全数交換する。
近頃は音響用電解コンデンサも出ているが、私はフィルム主義。

内部配線の製造年は1980年、コンデンサは1982年製造のモノが使われている。
癖の無い音が好きなので、交換用部品も癖の無い音と定評のあるパーツを選ぶ。

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海外で定評のあるフィルムコンデンサを使った。
ネットワーク基板へ無改造で組み込みたいので、なるべくサイズはコンパクトなものを選んだのだが、所要の値の部品が無く、複数のコンデンサを組み合わせて所定の値を作ることにする。
複数のコンデンサを組み合わせて無改造で組み込む・・・うーん・・・基板実装用途のパーツなのでリード線も短い・・・・・・汎用基板の出番となる。

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元部品は6.8ufの50ボルトだが、交換用は4.7+2.2で6.9ufの50ボルト・・・・・・多少の誤差は問題ない。
なぜなら、取り外した電解コンデンサの誤差は表示のプラスマイナス10パーセント(誤差表示 K )。
今回のフィルムコンデンサの誤差は表示プラスマイナス5パーセント。
0.1ufの「値違い」は出るが、誤差を比較すれば、値の精度は誤差範囲内である。

汎用基板を用いて、複数のコンデンサを並列に繋いで所要の値を得つつ、オリジナル基板への納まりのいい部品配置を試行錯誤する。
納まりのいい部品配置と部品同士を繋ぐ結線長を最短にして且つオリジナル基板には加工をしないというトレードオフの狭間に「楽しい悩み時間」を費やす。

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出来たのが、コレ。
6.8ufは4.7+2.2で構成し、22ufは10+10+1+1で構成して値を作った。
取り付けのためのリード線が上に伸びているので、実装は裏返し(!)で。

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汎用基板は太目のスズメッキ線を用いて配線パターンを作り、熱に弱いフィルムコンデンサをヒートシンククリップで保護しながらハンダ付けしている。
結果的には何の工夫も無いただの並列配線。
最短経路での結線を太目の線材を用いることで妥協。
なかなかオリジナル基板への納まりが難しい。

現状に戻せない加工は最後の手段なので、出来るだけ避けたいのが私の流儀。
どうしても代用部品しか手に入らなくて、加工が必要ならやむを得ませんが・・・・・。