久方ぶりの更新ですが、テレビの次は電話。
何ともアナログですが、今回の電話のメンテナンスは依頼品で、近頃は昭和レトロなどと称して売れているらしい。

そんな余波が当方にもやってきたという感じですが、私にとっては小さい頃の記憶と重なる部分が多く感慨に耽りつつドライバを握った感じです。

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そんな感慨を吹き飛ばすがごとくの汚さ。
どこで調達してきたのかは「敢えて聞かぬが花」といういでたちのクタビレっぷり。
ですが、当時の黒電話はリース品で「日の丸公社」でしたから、モノとしての素性はすこぶる良く、今だに現役で使われる頑丈さを持っていますので、清掃、給油だけで実用品として使用できると思います。

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鎮座する公社マーク、1967年製。
こりゃ、再生品ではなく、新造当時から故障していない機体だなと推測。

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今じゃ考えられませんが、当時は回路図添付の電化製品がフツーでしたので、コレにも入ってます。
後日の修理や点検に使う目的なのですが、実にシンプルな回路です。

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で、でサクっと解体開始。
ホコリが凄いので、全分解する事としたが、構造が単純なだけに分解がラク。
金属部品、電装、外装とに分け、プラ外装は水洗いをすることにする。

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この写真では汚れっぷりが判るかと思います。
消耗度の大きなパーツ類たち。
ダイヤルユニットとマイク(右上)、レシーバ(右下)。

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ひとまず、ダイヤルユニットのプラパーツを水洗いして、機構部本体を分解にかかります。
機構部(右)の中心部にはカップ状の部品があり、この中にゼンマイバネが巻いてあります。
ゼンマイバネはダイヤルを廻して指を離したときに定位置に自動で戻るための動力源として使われています。
グリスがほとんど乾いているのに、錆びずに「白磨き」のツヤを保っているので素材はステンレス鋼と思われます。
時計にも同様の機構があり(香箱)、時計用冶具が使えるかとも思いましたが無理なので手巻きで収めましたが、何度か失敗してビヨーンと飛んでいった事はヒミツで。

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裏返したダイヤルユニット。
パルス発信のスイッチ機構とドラムブレーキ機構が見える。
繊細なパーツ類なので、ダストカバーが付いている。
これらギア類を洗浄、給油しようと思いましたが、ギア類はサブフレームに組み込まれ、そのサブフレームは丸いダイヤル機構の円形金属板にリベット固定され、サブフレームの支柱もカシメ固定してあるので、完全な非分解構造にしてありました。

この非分解構造には驚きましたが、当時の黒電話はリース品で壊れると修理ではなく電話機を交換してしまうので、コレも有りだと思います。
下手に社外分解や個人修理でオカシナ仕様の電話を回線に繋いで交換機の故障なんて洒落になりませんからね。
これら故障機は専門工場で修理され、再生品として新規リース先に還流してゆくという仕組み。

仕方なく、ギア類の軸受けに給油するに留めました。