有馬温泉では、
赤い色をした
「金泉(きんせん)」と
透明な
「銀泉(ぎんせん)」を
楽しめるといいます。
金泉は
有馬温泉古来の湯らしく、
鉄分をおおく含むために
赤くなるといいます。
また、
塩分もおおく含むそうで
海水の2倍ともいうようです。
銀泉のほうは、
二酸化炭素を含む
炭酸泉(たんさんせん)と
ラドンを含む
放射能泉(ほうしゃのうせん)が
あるようです。
有馬温泉の湯は
療養として指定される
9つの成分のうち
7つもの成分が湧くという
世界でも珍しい湯なのだそうです。
また、そのなかに
硫黄泉は含まれていないので
有馬温泉では
硫黄臭はしないようですね。
さて、
有馬温泉でおもしろいのは
なぜ湯が湧くのか?
ということのようです。
これには、
近畿・中国地方特有の
理由があるといいます。
温泉には、
火山性温泉と
非火山性温泉が
あるようです。
火山性温泉は、
火山のマグマに
温められた地下水であり
あさい深度から湧く温泉で
高温なものがおおいようです。
非火山性温泉は、
地球の地熱によって
温められた地下水であり
ふかい深度から湧く温泉で
低温なものがおおいようです。
有馬温泉の泉源は、
地下300m程度という
あさい深度から湧く温泉で
高温だといいますから
火山性温泉に
とてもちかいのですが、
近畿圏には活火山はない
といわれているようです。
活火山というのは、
過去1万年間に
火山活動があった山のことで
日本国内では
111か所あるといいます。
ところが、
越の
白山(はくさん)から
出雲の
三瓶山(さんべさん)まで
活火山はないのだそうです。
近畿・四国地方に
活火山はなく
中国地方にも
三瓶山と
阿武(あぶ)火山群の
2つだけだといいます。
九州以南や中部・関東以北に
活火山が密集しているのに
近畿・中国エリアだけ
火山活動が収まっている
というのです。
【参照】
日本全国の活火山マップ
これには、
プレートと海水の動きが
関わっているのだそうです。
日本列島の中部以南では
ユーラシアプレートに
フィリピン海プレートが
沈んでいるといいますが、
なかでも、
中部・近畿・四国の南あたりを
南海トラフ(海溝)といい
九州の以南を
琉球海溝というようですね。
これらの海溝では、
プレートが沈むとともに
海水もいっしょに
取りこまれているといいます。
琉球海溝のあたりでは、
冷たいプレートが沈むといわれ
そのため深部にまで
海水が流入して
岩盤と混ざり合い
マグマを生みだすようです。
マグマによって
火山活動が起こるため
九州以南には
活火山がおおいのだそうです。
しかし、
南海トラフのあたりでは
熱いプレートが沈むといわれ
海水はあさいところで
地上にむけて放出されるため
マグマがあまり生まれない
のだといいます。
火山活動を起こす
マグマが少ないため
活火山もできにくいようです。
「地上にむけて放出された水」が
断層を伝って湧き出るのが
有馬温泉だといいます。
つまり、有馬温泉とは
プレートに取りこまれた
海水なのだといいます。
こうした温泉を
有馬型温泉というようです。
近畿・中国・四国地方では
火山がないのにお湯が沸くという
有馬型温泉がおおいようですね。
【参照】
神戸大学研究ニュース 2020/09/14
温泉が湧くことで
活火山ができないというのも
とても面白いですよね。
この循環の周期は
とてもながく
有馬温泉では
「600万年前の海水が湧く」
というようですね。
さらに、
有馬温泉のあたりには
有馬-高槻断層帯
(ありま‐たかつきだんそうたい)
という活断層帯があり
東西や南北にいくつかの断層が
交わっているようです。
プレートから、
かたい岩盤の傷をとおってきた
海水由来の湯は
断層帯にしみ込んだ
雨水由来の地下水と混ざりあい
湧出するのだそうです。
金泉は、
海水由来の湯にちかく
銀泉は、
副産物でもあるようですが
六甲山をつくりだす
花崗岩(かこうがん)の影響によって
ラドン泉になるといいますから
どちらも、
この地でしか味わえない
奇跡の湯なのでしょう。
六甲山は、
過去1万年間に活動していないので
活火山ではないですが、
7千万年前の白亜紀には
火山活動が活発だったといわれ
六甲山の花崗岩は
そのときのものだといいます。
7つの泉源があり
それぞれ
天神泉源
極楽泉源
御所泉源
有明泉源
妬(うわなり)泉源
太閤泉
炭酸泉源
というようですが、
そのうちのひとつ
天神泉源にいってきました。
戦後まもない
昭和23年に掘られた泉源で
有馬天神社(ありまてんじんじゃ)
の境内にあることから
天神泉源というようですね。
地下200メートルから
98度の含鉄塩化物泉が湧くらしく
有馬温泉をささえる
金泉の泉源のひとつのようですね。
湯が赤くなるのは
酸化によるものですから
地中では
無色透明なのだといいます。
有馬天神社は、
平安時代の979年に
京都・北野(きたの)天満宮から
勧請されたようですね。
ご祭神は
だといいます。
有馬温泉地の
鬼門(北東)の方位守護だった
といいますが、いまでは
有馬温泉街の中心地にもなっていて
観光スポットにもなっているようです。
天神信仰がはじまったころに
勧請されたようですから
こちらも、もともとは
天神地祇を祀る社だった
のかもしれませんね。
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摂津国の有馬温泉めぐり① ~有間~
摂津国の有馬温泉めぐり② ~有馬天神社~
摂津国の有馬温泉めぐり③ ~水天神社~