大宮さんの恋物語です。
あちらからの移行分です///。
楽しんでいただけたら嬉しいです♡
では・・・どぞ・・・///。
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「あのね。」
「・・・。」
「和は海が嫌いなんだ。」
「・・・ぇ・・・。」
「っていうか怖いんだよ・・・水が。」
「・・・。」
「昔溺れた事があって・・・。」
「・・・。」
「だから俺とじゃないと・・・絶対に海へは入らないんだ。」
「・・・。」
シン・・・となる部屋。
急に心臓がバクバク言い始める。
海が・・・嫌い?
水が怖くて・・・溺れた事があったって?
・・・そんな・・・。
俺。
・・・。
・・・。
なんて事・・・しちゃったんだろう。
そう言えば。
海へ入る直前に。
和は・・・引っ張る俺から逃れようと。
必死になっていた。
何か言っていたのは。
あれは。
怖い・・・と言っていたんじゃないか。
・・・。
・・・。
なんでもっとちゃんと。
聞いてやらなかったのか。
何を言っていたのか。
言葉は思い出せないけど。
その時の和の必死さを思うと。
心が痛む。
自己嫌悪になる。
っていうか。
最低じゃん・・・俺。
何・・・やってんだ。
思い出す・・・和を。
沖へ出て二人でいた時の和を思い出す。
怖がっていた様子はなかったか。
そんなそぶりは・・・なかったか。
・・・。
・・・。
うん。
深そう・・・と言っていた。
それに。
マットに乗った時に。
怖い・・・と。
言っていたような気もする。
あれは・・・マットに乗ることが怖いのかと思っていたんだけど。
そうじゃ・・・なかったんだ。
どうして。
気付いてあげられなかったんだろう。
なんで。
・・・。
・・・。
俺。
何やってんだ。
もう。
潤の顔なんか・・・見れなくて。
ただ・・・下を向いて。
うなだれていた。
「智。」
「・・・。」
「なんで和は・・・智と入ったのか・・・。」
「・・・。」
「・・・わかんないの?」
「・・・。」
少しだけ柔らかくなった潤の口調に。
かろうじて。
小さくうなずく。
自分のしてしまった事に。
もう。
後悔しかない。
しばらく続く沈黙。
翔君も雅紀も。
もう・・・何も言わない。
俺は。
俺こそ。
何も言えない。
和だって答えられないだろう・・・この質問には。
「和・・・。」
「・・・。」
「熱出したから。」
「ぇ。」
驚いて。
反射的に顔を上げた。
見上げると。
潤が。
さっきと変わらず眉間にしわを寄せたまま。
俺を見ている。
「日差しにも弱いんだよね・・・あいつ。」
「・・・。」
「あんな長時間・・・直射日光にあたってたら・・・。」
「・・・。」
「熱出すに決まってるのに・・・。」
「・・・。」
「日焼け止めだってちゃんと塗ってなかったみたいだし・・・。」
「・・・。」
うなだれる俺。
もう。
顎とお腹がくっつきそうなくらい。
うなだれる。
心が痛くて。
痛くて痛くてたまらなくなる。
日焼け止めなんて。
塗る暇すら与えなかった俺。
和をマットの上に乗せ。
体全部を・・・日の光に浴びさせたのも俺だ。
和は。
俺に気を使って。
・・・。
・・・。
何も・・・言わなかったのか。
・・・。
・・・。
もう。
へこみすぎて。
潤が何か言っていたけど。
耳に何も入ってこなかった。
かろうじて聞こえたのは。
「明日は和を休ませるから。」
その言葉だけだった。
潤が出て行った後。
翔君と雅紀の安堵のため息が同時に聞こえた。
二人とも・・・こわっ・・・とか言っていて。
でも。
俺には声をかけなかった。
ただ。
雅紀が・・・ひとこと。
「ブラコンは・・・潤の方かも。」
そう言った言葉に。
心の中で俺も大いに頷いた。
つづく