大宮さんの恋物語です。
毎日20時更新予定です。
ではでは・・・どぞ・・・。
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Side.N
なんで。
どうして女装しなくちゃいけないの?
おーのさんに問いただしている僕。
ここは・・・どこ・・・?
・・・夢?
声がやけに響く。
女装だなんてひどい。
僕との事をおーのさんは隠すの?
ついさっき思ったことを言っている僕。
おーのさんは。
困った顔していたのに。
でも急に真顔になって。
隠さないよ・・・と。
俺は。
ニノとのことは。
誰にも隠したくないよ・・・と。
優しく・・・僕の髪をなでながら言う。
ホント?と言う僕に。
ホントだよ・・・と。
ニノさえいれば俺はいいんだ・・・と。
優しくいい・・・きゅと抱き締められる。
満足する心。
いらだちが消えて。
穏やかになっていく。
そうよ。
おーのさんはそういう人だもん。
僕の存在を。
ないようには扱わない。
きっと。
隠さない。
「お・・・-のさん・・・。」
「・・・ん。」
「・・・ぁ・・・れ・・・?」
「今運んでるから。ベッドへ。」
「・・・ぇ・・・。」
「具合悪そうだよ。」
「・・・そ・・・う・・・?」
「ん。明日。撮影は休みだけど。なんかあるんでしょ?コンサートの打合せだっけ?」
「・・・ぁ・・・る。」
「俺のマネージャーに連絡取ってもらってるから。シルバーウルフに。可能なら明日は休むといいよ。」
「・・・。」
すとん・・・と。
柔らかい感触。
ベッドへ運ばれた・・・と気づく。
ついさっきのは・・・夢。
髪をなで・・・抱きしめてくれたのは夢のおーのさん。
そんな夢・・・どうして見たの・・・?
僕。
具合が悪いの・・・?
「熱。計れる?これ体温計。」
「・・・計れ・・・る。」
「・・・。」
「ピピって・・・言った・・・?」
「まだ。」
「・・・。」
「・・・。」
「言った・・・ピピって。」
「・・・ん。」
「・・何度・・・?」
「・・・37度。」
「ビミョー・・・。」
「安心はできないな。」
「・・・。」
「薬飲む?」
「飲む・・・。」
「なんか食べた方がいいよね。ヨーグルト食える?」
「・・・ぅん・・・。」
「準備してくる。」
「・・・ぁ・・・。」
「・・・ん?」
「女装・・・。」
「・・・?」
「しろなんて・・・言わない・・・?」
「・・・。」
「僕・・・に。」
「言わないよ。ニノはニノままだから。」
「・・・。」
「俺は誰にも隠さないよ。ニノとのこと。」
「・・・。」
ほら。
やっぱり。
おーのさんはこういう人。
女装しろとも言わないし。
僕のこと・・・絶対に隠さない。
僕の存在を否定なんてする人じゃないんだ。
安心する。
驚くほど安心して・・・全部おーのさんに任せようって思えた。
「あ・・・りがと。」
「・・・ん。」
そっと。
頬が包み込まれる。
おーのさんの優しい手。
そして。
すっと・・・髪をなでられた。
さっきの。
夢でなでられたのよりも何倍も優しく。
僕を・・・本当に気遣うような手。
うっすらと開いた目で。
おーのさんを見つめる。
すごい心配そうな顔。
大丈夫・・・と言おうとしたけど。
睡魔の方が強くて。
そのまま・・・目を閉じた。
触れられる手が気持ちいい。
そうだよ。
おーのさんなら。
リアルならちゃんと・・・全部。
隠さず僕との事を言ってくれるんだ。
もしも。
付き合いが本当なら・・・ね。
・・・。
・・・。
付き合いが・・・本当なら・・・?
ぁ・・・そっか。
今は。
嘘の付き合いだった。
・・・。
・・・。
なに・・・?
嘘の付き合いって・・・。
なんだっけ。
・・・。
・・・。
思考が・・・ちょっとおかしい。
なんか・・・グルグルしている。
おとなしくしていよう。
僕は・・・大きく深呼吸をすると。
考えを手放した。
.
つづく