大宮さんの恋物語です。
毎日20時更新予定です。
ではでは・・・どぞ・・・。
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Side.O
それにしても。
今日の撮影は。
自分的には・・・散々だった。
とにかく意識しすぎてしまって。
ふと・・・ニノに触れられた瞬間に。
ちょっとだけ・・・ホントにちょとだけビクッてなったり。
ニノに見つめられて。
でも俺が見つめ続けられなくて。
監督さんから・・・あと少し見つめ合ってください・・・って言われちゃったりして。
それでもなんとかやっと撮影が終わった。
自分の中ではずっと。
とまどいとぎこちなさがあったんだけど。
付き合い始めの二人・・・を撮った今日。
そのぎこちなさが上手く作用したようで。
初々しい・・・と監督に判断され。
無事に時間内で今日の分が撮り終わった。
でも。
当然・・・ニノには全部ばれていたみたいで。
撮影中・・・時々じっと。
俺を見つめる視線を感じていて。
だから。
帰ったら。
なんか言われるだろうな・・・と。
でもなんて答えたらいいのか。
どうしたらいいのか。
わからないままに・・・それぞれのマネージャーの車で帰路へついた。
今日はずっと・・・ニノの車について行ったから。
て言うか多分シルバーウルフが少しスピードを控えてくれたんだと思うけど。
同じタイミングで駐車場へ到着した。
車から降りて・・・一緒に歩き始めるけど・・・ニノは無言。
エレベーターも・・・廊下も。
無言で前を行くニノを。
ただひたすらに早足で追いかける俺。
こみ上げてくる罪悪感と。
じんわりとにじむ汗。
ニノは。
どう思っているだろうか。
どう思われてもしかたのないくらい。
今日の俺はあきらかにダメダメで。
ニノが昨日言っていたような。
恋人同士のフリをするどころか。
逆に意識しすぎて全然挙動不審で。
だから。
先手を打って・・・謝った方がいいのかもしれない・・・と。
そんなこと思いながら部屋に入ったら。
ぐいっと・・・無言で腕をひかれ。
ソファに座らせられ。
そして・・・言われた。
「ねぇおーのさん。無理・・・?」
「無理じゃない。」
即答。
なんなら・・・ちょっと。
かぶせ気味の言葉。
自分でも・・・これほどの瞬発力があるのか・・・と。
ちょっと驚くほどだった。
「///なんの話かわかるの?」
「・・・わかるよ///。」
「・・・なんか今日。大変そうだったから。」
「・・・ごめん。」
「おーのさん悪くないし。恋人同士・・・っていうのが難しかったんでしょ?」
「・・・いや・・・。」
「なんか意識させちゃったよね・・・。」
「・・・。」
「やっぱりやめ・・・」
「やめないっ。」
驚くほど。
きっぱり言い切った俺に。
驚いた顔をするニノ。
って言うか・・・俺自身が。
一番驚いてるんだけど・・・///。
緊張してドキドキして。
映画の撮影にも・・・少なからず影響を及ぼしているのに。
俺。
やめたくはないのか。
ニノと。
恋人同士になりたいのか。
たとえそれが
偽りでも
「わかった。じゃあ・・・ちょっと整理してみよ?何がダメなの?恥ずかしいの?」
「いや・・・あ・・・ぅん・・・ちょっと・・・。」
「照れるの?」
「・・・ぅん・・・。」
「それだけ?」
「・・・。」
「あとは何か。理由ある?」
「・・・。」
大ありなんだけど。
好きだから。
ガチで好きだから。
だから照れるし。
意識するし。
程度がわからず。
緊張するんだよ。
でも。
それは言えない。
ぜったいに言えない・・・から。
もっともらしい理由を。
恋人同士のフリをできなかった理由を。
探さなくちゃいけない。
恥かしい・・・照れる・・・は今言ったけど。
どうも・・・それだけで押しきれそうにない感じだった。
ニノが。
真剣に向き合ってくれている。
それは・・・嬉しいんだけど・・・。
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つづく