大宮さんのラブラブ物語。
「あなたが望むなら」の続編です。
毎日20時の更新予定です。
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俺が・・・全部見終わっても。
智は。
まだ最初の方の絵を見ている。
もう夢中なのがわかる。
俺が。
入れない領域。
智だけの世界。
智のとこまで戻って。
わざと。
ちょっとぶつかるようにして隣に立つけど。
俺にはまったく見向きもしないで。
軽く・・・アゴに指をあてて。
ぐん・・・とある1点にフォーカスさせて近寄ってみたりしている。
そして微動だにしない。
・・・ほらね。
この人が本気になると。
俺はいつも置いてけぼりになる。
すいっと。
離れて。
邪魔にならないように静かに椅子に座る。
いつもなら。
すぐに・・・スマホを出してゲームでもする俺なんだけど。
なんだろう。
ここは・・・そういう空間じゃなくて。
・・・。
・・・。
別に我慢してるわけでもなく。
絵を見ながら。
なんて言うか・・・頭を休ませるっていうか。
解放するっていうか・・・そんな感覚。
この部屋は・・・まるで異次元の世界みたいで。
1つ1つの絵の中にトリップしていく感じ。
時間の流れが。
少し違うように感じる。
俺は。
それこそ・・・絵みたいにほとんど動かない智の。
その後ろ姿を見つつ。
頬杖つきながら・・・智越しに絵を眺めていた。
どれくらいそうしていたか。
ゆっくりと絵を見ていた智が。
急に・・・くるんと振り向くと俺を見た。
ただじっと。
俺を見ている。
何も・・・言わないんだけど・・・ね。
わかるのよ。
呼ばれてるって。
目がね・・・もう。
こっち来いって言ってるのよ。
俺は。
よいしょ・・・と小さな声で言い立ちあがると。
すっと・・・早足で智の隣に並んだ。
向き直って一緒に見た絵。
目の前にあるのは。
さっきの。
コンサートの・・・俺たちの絵だった。
「俺さ。」
「・・・ん。」
「こういうタッチの感じ・・・好き。」
「・・・へぇ・・・。」
「好きなんだよなぁ・・・。」
独り言みたいに言うくせに。
とん・・・と俺にくっつく智。
なんか・・・ね。
甘えてるみたい。
かまってほしい感じ。
俺にさ。
理解してほしそうなんだよね。
こういう時って・・・あんまりなくて。
だからすごく貴重で新鮮。
くすぐったく感じるんだけど。
素直に優しくしたくなる。
「どういうとこが好きなの?」
「・・・ん・・・ここんとこ。」
「・・・へぇ・・・。」
「なかなか上手く描けないんだよ。こういうのって。」
「ふ~ん・・・。」
「いいんだよなぁ・・・こういうの。」
「・・・好きなんだね。」
「・・・ん。好きだな。」
「俺たち五人だね。」
「・・・ん。これ俺だろ?」
「違うよ///それ俺だよ。」
「ぇ///違う?」
「よく見てよ///あなたこっちでしょ。」
「ぁ・・・ホントだ///俺こっちだ。」
「もぉ///何見てんのよ///。」
「フフ・・・間違えたんだよ///。」
「作者さんに失礼だからね。」
「だな。ごめん。」
「絵に謝っても・・・///。」
「なぁ・・・こっち・・・。」
くいっと。
手首をつかまれてて。
引っ張られる。
どうやら。
一緒に絵を。
見たいみたい。
そこから・・・二人。
一緒に並んで。
絵を見た。
1枚の絵を一緒に見る。
海に・・・雪が降っていて。
船の上に人がいる絵だった。
「これさ。」
「・・・ぅん。」
「俺なんだぜ。」
「・・・ぇ・・・そうなの?」
「そう。」
「へぇ・・・。」
言われてみると・・・そう見える。
うん。
まぎれもなく・・・これは智だ。
なんで。
この絵が智なのか。
どうしてそれを智が知っているのか・・・わからなかったけどでも。
鼻の穴をぷくっとふくらませて。
俺を見る智が。
自慢げで嬉しそうだからもう///。
詳しく聞くのは止めて。
ただただ・・・智が描かれたその絵を。
じっと見つめていた。
つづく
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