大宮さんBL前提のお話です。
苦手な方はご注意を///。
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「でも・・・。」
思い浮かべる。
ニノの事を。
今隣にいるのに・・・見つめることができないから・・・だから。
脳内で思い浮かべ・・・そして。
「俺は・・・笑顔の似合う子が・・・いいな。」
・・・と言った。
そう。
俺はニノの笑顔が好きだ。
俺を安心させたり・・・穏やかにさせたり。
少し・・・ドキドキもさせるそのニノの笑顔。
その笑顔が。
俺だけのモノになればいいのに。
・・・。
・・・。
・・・と。
カシャン
音が響き。
下を見ると・・・床にハサミが落ちていた。
え。
・・・。
・・・。
ニノ・・・？
まさか・・・ニノが落としたのか・・・と。
未だかつてそんな事・・・一度もなかったから。
本当にまさかと思ったけど。
ゆっくりと・・・ニノを見ると。
落したハサミを見たまま。
固まっていた。
「・・・ニノ・・・？」
そう言ったのは・・・松本先生だった。
俺は・・・うん。
あまりの事に声も出ず。
縫合している手も止まってしまった。
「・・・すいま・・・せん・・・。」
小さな声でそう言うと。
落したハサミを脚で蹴り・・・向こうへとやると。
ニノはすぐに新しいハサミを用意した。
動きは素早いのに。
その間ずっと・・・顔をあげないニノ。
俺は・・・どうしても俯くニノから目が離せなかった。
ニノ。
・・・。
・・・。
ニノ？
・・・。
・・・。
いったい・・・どうしたんだよ。
もう・・・ずっとずっと。
何を・・・考えてる？
「大野先生・・・縫合を。」
「ぁ・・・ああ・・・うん。」
いつまでも動きを止めている俺に。
松本先生の声がかかり・・・あわてて縫合をし始めた俺。
手は・・・無意識に動く。
幾度となくしてきた縫合だから。
でも・・・心は。
まったく・・・ザワザワしていて。
終わったら。
手術が終わったら・・・なんて聞こうか。
家についたら・・・なんて言おうか。
そんな事ばかり考えていた。
無事に手術が終わる。
逃げるように手術室を出て行くニノ。
患者さんのご家族に・・・状況を説明して。
救急に戻って来ると。
「ニノ・・・帰っちゃいましたよ。」
と松本先生が言った。
帰った？
ニノ・・・が？
「どうしたんだろう・・・あいつ。」
「・・・。」
「具合でも悪いのかなぁ。」
「・・・。」
「昨日も元気なかったし・・・。」
「・・・。」
「なんか知ってます？」
「・・・いや・・・知らない。」
そう。
俺は。
何も知らないんだ。
ニノの事・・・何も。
もうすぐ終わるとはいえ。
仕事途中で帰る・・・なんて初めての事で。
相当な何か・・・が。
ニノの中であったんだと知る。
胸が痛む。
ニノ。
何があった？
俺は。
どうしたらいい？
ニノの笑顔が見たい。
ニノを笑顔にしたい。
俺に・・・何ができる？
俺は・・・とにかく考えた。
ニノが何を考えているのか知りたい。
でも・・・その前に。
笑顔を。
ニノに笑顔を取り戻したい。
どうしたらいい？
俺は。
しばらく・・・考えていた。
.
.
.
つづく