大宮さんBL前提のお話です。
苦手な方はご注意を///。
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「智君がさ・・・女性の方を向いて。」
「・・・。」
「あのキレイな指でその人を引き寄せてさ。」
「・・・。」
「・・・頬とか触れて・・・。」
「・・・。」
「愛おしそうに見つめてさ・・・。」
「・・・。」
「で・・・。」
「・・・。」
「キスするの。」
きゅっと。
眉根が寄ったのが。
自分でわかった。
全身の肌が・・・鳥肌が立ったみたいに泡立つ。
「痛いよ・・・手。」
その声で気づく。
櫻井先生の手を。
ぎゅっと握り込んでいた事に。
「すいません。」
ぱっとその手を離した。
じっと見られているのがわかった・・・けど。
僕は。
その目を見れなかった。
だって必死だったから。
今・・・自分の脳内に浮かんだ大野先生と女性を。
頭から追い出す事に必死だったから。
何か・・違う事を考えたい。
むやみやたらに・・・体を動かしてみる。
手で口を覆う。
どんな顔しているのか。
全然自分でわからなくて。
もっと言うと。
どうしてこんなに必死になるのか・・・も。
よく・・・わからなかった。
「返事・・・保留にしておくから。」
優しい声。
すっと肩を抱かれる。
「もう一度・・・よーく考えて。」
くしゃっと。
髪の毛を・・・つかまれ。
そしてそのまま・・・なでられた。
少しだけ落ち着く心。
大きくて温かい手だな・・・と感じて。
なぜか。
あんなに苦手だと思っていた櫻井先生が。
今・・・すごく近くに感じた。
救急へと・・・帰る。
歩きながら・・・少しずつだけど呼吸が整ってくる。
呼吸が整ってくると。
脳内がクールダウンして冷静に考えられるようになってくる。
僕が大野先生を愛してる?
そんな事・・・あるんだろうか。
さっきは・・・うん。
変な想像させられて。
なんか・・・魔法にかかったかのように。
心が勝手な方向へと飛んで行ってしまったけど。
でも・・・今は。
落ち着いてきた。
うん。
好きは好き。
でも。
それはやっぱり・・・尊敬とか憧れとか。
そういうのじゃないのかって・・・そう・・・思う。
・・・。
・・・。
やっぱり。
櫻井先生の勘違いなんじゃないかって。
そう・・・思った。
けど。
救急に戻る。
もう外来は終わった時間だったけど。
忙しい様子はなかった。
でも・・・大野先生の姿が見えない。
大野先生を・・・無意識に探している自分に気づいて。
そんな自分にとまどう。
いつも大野先生が作業をするデスクに行く。
メモやペンが乱雑に置いてるのを。
ささっと片付ける。
片付けながら・・・見つけた。
メモに書かれた大野先生のキレイな文字を。
走り書きのはずなのに。
キレイ。
大野先生は字もキレイだ。
書道の・・・何段だかを持っているみたいで。
多分・・・指先全般がすごく器用な人。
だから医者としても・・・
「ニノ。」
後ろから声を掛けられ。
小さく跳ねた僕。
振り向くと。
そこには・・・大野先生。
「お帰り。」
「ぁ・・・戻りました・・・。」
「遅かったね。」
「・・・ぁ・・・え・・・っと・・・。」
「どうだった?」
「・・・ぇ・・・?」
「患者さん・・・この間のオペの。」
「ぁ・・・ぁあ・・・は・・・い・・・良好だったみたいです。」
「・・・そう。よかったね。」
そうだった。
櫻井先生のところへ行ってきます・・・と言った僕は。
何しに行くの?って聞かれて返事につまり。
少し前に僕がオペに入った脳外科の患者さんの様子が気になって・・・と。
嘘をついたんだった。
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つづく