大宮さんBL前提のお話です。
苦手な方はご注意を///。
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って言うか。
味方にならなくちゃいけないんだとしたら。
僕は。
櫻井先生じゃなくて大野先生の味方になるつもりだけど。
「意味がよく・・・わからないんですけど。」
「だからさ・・・俺の味方に・・・」
「なんでそれ・・・僕なんですか?」
「・・・。」
「僕の力なんて別に・・・」
「智君の・・・いわゆる側近的なニノがさ。」
「・・・。」
「俺を院長に推してくれれば・・・。」
「・・・。」
「それはさ・・・周りの人が見たら・・・おぉ!ってなるんだよ。」
「・・・。」
なんとなく。
意味はわかった・・・けど。
側近って。
僕・・・そんな風に思われてるの?
お弁当を食べ終わった櫻井先生がゴミを捨て。
そばにあったウェットティッシュで丁寧に中をぬぐう。
そして・・・テーブルの上にあったカゴから。
銀紙に包まれた・・・多分チョコかな・・・それを3粒とって。
お弁当箱の中に入れ・・・ふたをした。
相葉先生が言っていた・・・女性の扱いが上手い・・・という言葉を。
急に思いだす。
「だから俺が院長になるには・・・」
「あの・・・。」
「・・・ん?」
「直接大野先生に言えばいいんじゃないでしょうか。」
「・・・。」
「『俺院長になりたいんだけど』って・・・。」
「・・・。」
「大野先生と櫻井先生なら・・・話し合いで解決しそうですけど。」
「・・・。」
それはホント。
あの・・・虫垂炎のオペの二人を思い出す。
息の合った二人。
互いを尊重しつつ絶対の信頼をおいている。
僕があの時感じた疎外感は。
今でも忘れられない。
置いていかれた感覚。
思い出すと・・・今でも少し胸が痛むくらいだ。
「う~ん・・・いやほら・・・あの優君の誤診の時にさ。」
「・・・。」
「考え方がちょっと違ってたでしょ?俺と智君。」
「・・・はぁ。」
「だから・・・なんか・・・さ・・・。」
「・・・。」
「いや・・・本音を言うとね。」
「・・・。」
「そういう・・・借りみたいなのは作りたくないんだよ俺・・・例え智君でも。」
「・・・。」
「譲ってもらうとか・・・そういうのは・・・。」
「・・・。」
「やなんだよね。」
「・・・。」
「だから俺は正々堂々と・・・」
「僕に味方についてって言うのは・・・正々堂々と・・・なんですか?」
「これは戦略だから。」
「・・・。」
戦略。
根回し・・・的なこと?
そう言われれば。
そう・・・かもしれないけど。
でも。
「大野先生は・・・もしかしたら院長とか・・・興味ないかもしれませんけど。」
「・・・そう・・・かな。」
「・・・。」
「男ならさ・・・それくらいの野心あるでしょ。」
「・・・。」
あるのかな・・・野心。
って言うか大野先生は。
現場が好きなんじゃないかって・・・そう思うんだけど。
違うのかな。
「それに・・・ニノはさ・・・きっと俺につくと思うよ。」
「ぇ・・・。」
「まあさ・・・ちょっと考えてよ。今返事しなくていいから。」
「・・・。」
「ごめん・・・呼んで置いて悪いんだけど・・・来客があるんだ。」
「・・・わかりました・・・。」
さっと立ち上がりコーヒーの入っていたコップを片付けた。
ついでにささっと・・・テーブルの上を片付ける。
「この部屋に来客があるんですか?」
「そうだよ。この部屋だよ。」
「・・・もう少し片付けたほうが・・・」
「じゃあニノ片付けてくれる?」
「自分でしてください。」
「残念///。」
屈託なく笑うから。
なんだか憎めなくなる。
笑顔が少し相葉先生に似てるな・・・なんて。
そんな事思った。
「返事・・・待ってるから。」
失礼します・・・と言って部屋を出た僕の背に。
櫻井先生が言葉を投げた。
味方になるかどうかって事・・・だよね。
って言うか大野先生は。
どう思ってるんだろう。
院長になりたいのか・・・聞いてみたい。
そんな事思いながら・・・廊下を進んだ。
エレベーター前で・・・降りてきた人とすれ違う。
スーツの男性。
来客用の名札。
重そうな大きなカバン。
・・・。
・・・。
製薬会社の人かな・・・と見当をつける。
とにかく。
返事しなくちゃいけないのか・・・なんて。
少し僕は憂鬱になりながら。
エレベーターに乗りこんだ。
答えはまあ・・・決まっていたけど。
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つづく