大宮さんBL前提のお話です。
苦手な方はご注意を///。
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「ハサミ。」
「はい。」
「お・・・ナイスタイミングだねぇ。」
大野先生の「ハサミ」の声に・・・僕が渡すと。
櫻井先生が・・・軽い感じで言う。
それが・・・なんだか。
また子供扱いされているみたいで。
ちゃかされたみたいで。
いい気がしない。
「翔君・・・。」
「・・・ん?」
「ニノを怒らせないで。」
「こんな事で怒らないよね?」
「怒ります。」
「わ・・・それは・・・ごめんごめん。」
「・・・。」
全然ごめんなんて思ってない櫻井先生。
その言葉の軽さからわかる。
でも・・・もう。
いい加減・・慣れたほうがいいのかもしれない。
この櫻井先生の軽口に。
いちいち突っかかっては。
僕の方が疲れちゃうかも。
って言うか・・・大野先生。
僕がむっとしたの・・・わかったんだ。
なんか・・・うん。
そんなことで・・・少しだけ気持ちが上向きになる。
それにしても。
大野先生と櫻井先生。
縫合のコンビネーションの早さに・・・驚く。
多分二人・・・一緒に手術をしたのは初めてのはず。
なのに。
二人・・・絶妙なコンビネーションだった。
また・・・ザワつく心。
なぜなのか・・・はわからないけど・・・でも。
僕は看護師だから・・・と。
そんな言葉が頭をよぎる。
やっぱりこう言う時に頼りにされるのは。
同じ医者なんだろうな・・・と思った。
どんなに僕が経験をつんで頑張ったとしても。
僕は一生櫻井先生の位置には立てない気がして。
ううん・・・絶対立てないから。
うん・・・そんな事はわかっていたけど。
どうしてか。
初めて・・・そんな事に。
モヤモヤを感じて。
オペは最善最短で終わったのに。
僕の気持ちは・・・晴れ晴れ・・とはなぜかいかなかった。
手術が無事に終わり。
オペ室から出る。
大野先生と並んで歩いている・・・と。
後ろから櫻井先生に声をかけられた。
「智君・・・ニノ・・・おつかれ。」
「ありがとね・・・翔君。」
「いや・・・智君と組むなんてそうないからね。いい経験できたよ。」
「・・・。」
「・・・智君の瞳の温かさも見れたし。」
「・・・温かさ?」
「櫻井先生。大野先生は忙しいんでお話が特にないならもう。」
あわてた僕は櫻井先生の腕をとって・・・その体を向こうへと押した。
ちょっとだけあせる。
あの日・・・車の中で僕が言ったこと。
本人に言われるのはちょっと・・・照れくさい。
「いやいや・・・あるって話。」
言いながら僕の手をきゅっと握り。
動きを制する櫻井先生。
そのままくいっと腰を抱かれ引き寄せられると。
耳元で小さく囁かれた。
「本人に聞かれたくないの?ん?」
「・・・。」
その言い方が。
また・・・子供扱いされたように聞こえてむっとなり。
ぱしっと・・・その手を払い櫻井先生から飛びのいた。
「べ・・・別に聞かれたくないとかそういうのは・・・」
「声大きいよ。」
櫻井先生に妙に冷静な声で言われ。
余計にむっとする。
「言わないから安心して。」
こそっと僕に・・・早口でそう言ってから。
「智君・・・ちょっと。」
僕の後ろにいる大野先生に声をかけ。
向こうの部屋へと大野先生を促した。
行きかけて・・・すっと戻ると大野先生が僕に言う。
ニノも来て・・・と。
僕は・・・手術着を脱ぎながら。
大野先生と櫻井先生の後を追った。
患者さんのご家族を廊下の角を曲った奥の部屋に待たせたまま。
大野先生と櫻井先生は救急の隣の部屋で。
二人・・・カルテを見て難しい顔をしている。
多分・・・気になっているのはあのこと。
今日の午前中に須山先生がこの患者さんを診たことについて・・・なんだろう。
「誤診」・・・とは簡単には言えないけど・・・でも。
午前中のその須山先生の見立てが違っていたのはあきらかだ。
「智君・・・どうする?」
「・・・ん・・・。」
「ちょっとさ・・・デリケートな問題だよ?」
「・・・ん。」
大野先生には・・・ニノも来て・・・と言われたけど。
僕は。
席を外した方がいいかもしれない・・・と思い。
その場を離れようとした・・・と。
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つづく