大宮さんBL前提のお話です。
苦手な方はご注意を///。
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Side.N
早い。
とにかく・・・早いオペだった。
そして。
思う。
大野先生と櫻井先生は・・・すごいコンビだって。
「そこ・・・。」
「切る?」
「いや。」
「じゃあ広げる。」
「ん。」
言葉は少ないのに。
コミュニケーションが一瞬で取れている。
驚くのは。
櫻井先生が大野先生の様子をすごく見ているってこと。
もちろん自分の手元も見ているんだけど・・・でも。
それ以上に大野先生の目を見たりして。
気配を探っていることに驚いた。
全然自分の存在を・・・主張しない。
脳外科のスペシャリストでありながら。
助手に徹している。
さらには・・・大野先生への尊敬みたいなモノも見えて。
だって・・・大野先生のリズムを大事にしてくれているようだから。
だから・・・少しだけ意外に思った。
櫻井先生のオペをした時に感じたあのグイグイ行く感じが。
全然・・・感じられなくて。
静かに進むオペ。
大野先生と・・・櫻井先生の間に少しだけ感じる・・・血の絆。
二人の間に流れる同じ血が。
目に見えた様な気がした。
「やっぱり・・・腹膜炎だ。」
「ちょっと洗おう。」
つぶやくような大野先生の声に反応する櫻井先生。
すぐに生理食塩水が入れられ洗浄される。
その素早い動きに。
まるで・・・大野先生の手が四本あるような錯覚を起こす。
さらには。
「そっち・・・。」
「これね。」
「そう。」
「引っ張るよ。」
「ん。」
大野先生から感じる少しの甘え。
そして・・・二人のテンポの良さに。
突然感じる疎外感。
僕からは患部がちゃんと見えなくて。
それはいつもの事なんだけど。
だって大野先生はあまり患部を大きく切らないから。
だから・・・よく手元が見えないことがある。
って言うか・・・僕がちゃんと見える必要はないんだけど。
でも・・・それを。
いつもは感じないのに。
なぜか疎外感として今日は強く感じる。
間違いなく今。
大野先生のパートナーは櫻井先生だ。
当たり前だけど僕じゃない。
今までもこうして・・・大野先生のいわゆる前立ちの助手の先生はいたけど。
こんなにもスムーズにオペが進んだ先生はいない。
って言うか・・・大野先生の態度が全然違う。
多分・・・絶対的な信頼。
お互いの間に・・・それがあるんだと思う。
「鉗子。」
「はい。」
「俺も鉗子。」
「はい。」
次々とオーダーされる手術器具。
僕は・・・少しだけ沸き起こった心のザワザワを心にしまい。
気を引き締めて。
なんとかこの二人について行かなくちゃ・・・と。
そう・・・思った。
あっという間に患部の切除が終わり。
再びの念入りな洗浄。
そして縫合が始まる。
緊張が緩み・・・櫻井先生が話し始めた。
「智君さ・・・。」
「ん。」
「ホント昔から手先が器用でさ・・・。」
「・・・。」
「ほら・・・みち子ちゃんの人形の髪の毛・・・。」
「・・・。」
「絡まっちゃったヤツさ・・・。」
「・・・。」
「延々ずっと解いてたの・・・覚えてる?」
「・・・覚えてない。」
「隣でずっとさ・・・みち子ちゃんもそれ見てて・・・。」
「・・・。」
「あ~あ・・・みち子ちゃん取られちゃったって俺思ったもん。」
「いつの話してるの・・・。」
「正月。小学生かな・・・4年生か5年生くらいの時の。」
「・・・全然覚えてないよ。」
「智君っていつもそうだから・・・。」
「・・・。」
「ホントもてたよね。」
僕の知らない話。
また・・・感じる疎外感。
ちらっと僕を見る櫻井先生。
目が合う。
そう言えば・・・この間もそんな話をしていた。
大野先生がもてるって。
どういうつもりで。
何が言いたくて・・・そんな話・・・。
って言うか。
みち子ちゃんって。
誰。
.
.
つづく