大宮さんBL前提のお話です。
苦手な方はご注意を///。
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「お・・・俺と同じコーヒー。」
「たまたまです。」
「たまたまでもさ・・・ニノと俺・・・同じ好みって事だよね。」
「・・・大野先生どれにしますか?」
翔君の問いかけを無視して。
俺に話かけるニノ。
イラついているのか・・・目がきつい。
翔君は苦笑いしている。
俺は。
怒らせないように・・・と急いで小銭を入れて。
ブラックのコーヒーを買った。
すぐに歩き出すニノ。
俺はその後をついて歩き始めた・・・けど。
翔君も一緒に歩き始め。
ニノに話しかけた。
翔君。
メンタル強いよね。
「ニノ・・・今日夜勤?」
「・・・はい。」
「俺はさ・・・今日はもう勤務終わったんだけど・・・。」
「・・・。」
「しばらく救急にいてもい・・・」
翔君の言葉の途中で。
ブルル・・・と俺とニノのピッチが同時に震える。
一瞬顔を見あわせたけど・・・すぐに電話に出て。
俺達二人はもう・・・走りだしていた。
救急に着く。
強烈な腹痛を訴えている60代の男性。
その患者がもうすぐ運ばれてくるらしい。
うちの病院の診察券を持っているらしいので。
診察券のナンバーからカルテを引き出し。
その内容を見る。
「・・・。」
「・・・え。」
多分・・・同じところを見ているであろうニノが。
俺の隣で・・・小さく声をあげた。
「大野先生。」
「・・・ん・・・。」
カルテに書かれていた事実。
それは・・・今日の午前中にうちの病院に外来で来ていた・・・ということ。
腹痛を訴えての来院。
診断は食当たりで・・・必要な薬が処方されていた。
触診と問診だけで。
何か検査したような形跡はない。
担当医は。
「優君だね。」
横から・・・カルテを覗き込んでいた翔君が。
さらっと言った。
走る俺達の後を・・・ついてきたらしかった。
そう・・・優君。
カルテの担当医のところには。
俺と翔君のいとこ・・・院長の甥である「須山優一」の名前が書き記されていた。
『誤診』
頭に浮かんだのはその二文字だった。
多分ニノも翔君も同じことを思っただろう。
でも・・・そう。
まだ・・患者の様子がわからないし。
とにかく患者を救う事が先だ。
俺は・・・患者を迎えに搬入口へと走った。
痛がっている患者への問診と。
家族からの証言。
そして・・・エコーと血液検査の結果から導き出された答えは。
急性虫垂炎・・・・いわゆる盲腸だった。
よくある病気だけど。
でも・・・かなり悪化している様子で。
腹膜炎を起こしている可能性もある。
早急なオペが必要だ。
「ニノ。」
「入れます。」
「松本先生は?」
「他の患者さんの検査中です。」
「・・・誰か医者は・・・。」
「・・・。」
すっと。
俺の前に現れる満面の笑みの翔君。
「必要でしょ・・・助手。」
「・・・。」
ちらっとニノを見ると。
露骨に嫌そうな顔をしている。
・・・でも。
今ここにいる医者は俺と翔君だけで。
いや・・・少し待てば他の救急の医者の手があくとは思うし。
病棟にお願いすればきっと手を貸してくれる医者はいるだろうけど・・・でも。
多少の時間はかかる。
やはり早いにこしたことはない。
さらには・・・眼の前に脳外科の名医がいるのに。
それを断わって他の医者に頼む理由がない。
それを・・・ニノも。
わかっているんだと思う。
表情は嫌な顔をしているけど・・・でも。
受け入れるようで・・・もうオペ室へと走って行ってしまった。
俺は翔君に言う。
「じゃあ・・・いい?お願いしても。」
「もちろん・・・智君のためなら・・・」
「違うよ。患者さんのためだよ。」
「・・・ん・・・だね。」
「その・・・入ってくれるのはありがたいんだけど・・・。」
「『ニノを怒らさないように』・・・でしょ?わかってるって。」
「・・・ん。」
「俺もそんなつもりはないんだけどさ・・・。」
「・・・。」
ちょっと哀しそうな顔をする翔君。
八の字になった眉が。
やっぱり子供のときみたいな顔してて。
笑いそうになった。
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つづく