大宮さんBL前提のお話です。
苦手な方はご注意を///。
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「わかった。」
あきらめたように言う櫻井先生。
でも・・・と言いながら大野先生に近づく。
「でもさ・・・せめて・・・院長に了解を取って欲しい。」
「・・・。」
「患者さんのご家族に話す前に・・・院長に・・・。」
「・・・。」
「経緯の説明と報告を・・・」
「わかった。」
大野先生は。
奥の・・・静かな部屋へと向かって行った。
そこで電話をかけるつもりなんだろう。
残された僕と櫻井先生。
見つめられているのがわかった・・・けど。
僕は目を合わせなかった。
「ねぇ。」
「・・・。」
「ねえ・・・ってばさぁ。」
ツン・・・と腕をつつかれる。
僕は。
たいして痛くもなかったけど。
ちょっと痛がるようにして・・・ツンされた腕をさすった。
まだ・・・目は合わさない。
「なんですか。」
「わかってるでしょ。」
「・・・なにがですか。」
「・・・。」
「智君。」
「だからなにが・・・」
「あれじゃぁさぁ・・・。」
「・・・。」
「生きにくいよ?」
意外にも優しい声。
僕は・・・顔を上げ櫻井先生の顔を見つめた。
その声と同じで穏やかな顔をしている。
「間違ってないよ・・・智君は。」
「・・・。」
「いや立派だよ・・・すごく。」
「・・・。」
「でもあれじゃぁ・・・敵を作りやすい。」
「・・・。」
「もっと上手く生きる方法・・・あるでしょ。」
「・・・。」
「ニノも・・・さぁ。」
「・・・。」
「何でもかんでも賛成することが・・・智君を守るってことにはならないよ?」
「・・・。」
「智君を守りたいなら・・・時には・・・」
「僕は・・・。」
「・・・。」
「あの人を守ろうなんて・・・そんな大それたこと思ってません。」
「・・・。」
「僕はただ・・・あの人の進む道を尊重するだけです。」
「・・・言い切ったねぇ。」
眉を上げ。
僕の瞳を覗き込む櫻井先生。
その言葉と仕草は。
まるで僕を子供扱いしているみたいなのに。
不思議と。
不快感はなくて。
その瞳からは・・・大野先生と同じ温かさを感じる。
「それだけ言い切れるのに・・・。」
「・・・。」
「なんで自分の気持ちには・・・」
「翔君。」
大野先生が戻ってきた。
櫻井先生が言う。
「智君・・・院長・・・なんて?」
「お前に任せるって・・・言ってくれた。」
「そう・・・。」
「ニノ・・・同席して。」
「はい。」
櫻井先生の・・・眉根の寄った心配顔が目に入ったけど。
僕はそのまま。
大野先生と一緒に患者さんのご家族が待つ部屋へと向かった。
静かな廊下を進む。
角を曲り・・・部屋の前に立つと。
大野先生が僕の方を向いて静かに話始めた。
「ニノ。」
「はい」
「・・・俺は・・・。」
「・・・。」
「間違ってないよな?」
「はい。」
間髪入れずに答えた僕を。
真剣な瞳で見つめる大野先生。
一瞬・・・時が止まったかのように見つめ合う。
・・・と。
突然その手がすっと伸びて来て。
さらっと僕の髪をなでると。
そのまま僕は。
・・・。
・・・。
抱き寄せられた。
その胸元に・・・くいっと。
抱え込まれる。
耳元で聞こえたのは・・・「ありがとう。」・・・の言葉。
僕は。
その不意打ちに・・・ちょっとドキッとしてしまって。
全身が棒になったように固まってしまった。
自分の腕が・・・どこにあるのか・・・ちょっとわからない。
抱き寄せられた腕の力は・・・たいした強さでもないのに。
一瞬呼吸が止まる。
でも。
すぐに・・・僕から離れた大野先生が僕に背を向け。
入ろう・・・と言った。
僕は。
なぜか・・・固まってしまった事が恥ずかしくなって。
ただのハグなのに・・・と。
恥ずかしくなって。
大きく・・・深呼吸をして。
そして・・・大野先生と共に部屋へと入った。
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つづく