大宮さんBL前提のお話です。
苦手な方はご注意を///。
〜* 〜* 〜* 〜* 〜* 〜* 〜*~
思ったよりも遅くて。
何かあったのか・・・と心配し始めた時に。
静かな中・・・向こうの暗闇から車のヘッドライトが見え。
どんどん近づいてきた。
ベランダから真下を見ると。
黒のセダンがゆっくりとマンション前に停まった。
翔君の車だろう・・・と。
そう見当を付けて見ていた・・・けど。
いっこうにニノが降りてこない。
運転席からも助手席からも。
誰も降りてこず動きがない。
いったい・・・中で。
何を話しているのか。
何をしているのか。
焦れったいほど焦れて。
電話をかけてしまおうか・・・いや・・・そうだ。
迎えに行けばいい。
そう思って・・・ベランダから離れようとした瞬間。
助手席からニノが・・・降りてきた。
真上から見ている俺からは。
顔は見えなかったけど。
その見慣れた黒髪とダウンで。
すぐにニノだとわかった。
やっと帰ってきた。
自分でも驚くくらい安堵する。
そう思ったのもつかの間。
また・・・車に戻るニノ。
何してる。
早く・・・戻って来い。
・・・。
・・・。
・・・と突然。
中から引っ張られたのか。
身体が車へと吸い込まれ。
片足がピョンと跳ねた。
何・・・してる。
二人。
・・・。
・・・。
ベランダの柵を握り込む。
冷たい・・・けど離せなくて。
俺は・・・力いっぱいその柵を握りしめていた。
しばらくして。
ゆっくりと車から上半身を出してくるニノ。
すぐに車は発進したのに。
それをずっと見送っているニノ。
・・・。
・・・。
俺は・・・もう。
そんなニノを見ていられなくて。
ベランダから部屋の中へと入った。
「大野先生?」
「・・・ん?」
「食べないですか?それ・・・全然減りませんけど。」
「・・・ぁ・・・ああ・・・。」
「具合でも・・・悪いんですか?」
話しかけられ我に帰る。
俺を覗き込むまん丸の瞳。
その瞳は・・・以前と何も変わらなくて。
逆に俺が瞳を覗き込んでも・・・そらさないニノに。
俺の方から・・・目をそらした。
「いや・・・全然大丈夫。」
「・・・それならいいんですけど・・・。」
そう言うと。
まだ少し納得しない様子で。
口をとがらせていたけど。
また・・・大きな一口で。
フレンチトーストを口に入れたニノ。
あの日。
家に帰ってきたニノは。
いつもと何も変わらなくて。
遅かったね・・・と言う俺に。
道を間違えちゃって・・・と言った。
その言葉に偽りは感じなくて。
取り繕う様子も感じられず。
でも・・・じゃあ。
マンションの下・・・車の中で。
何を話していたのか・・・は聞けなくて。
でも。
ニノが・・・言っていた。
やっぱり櫻井先生とは合わない・・・と。
相性が悪い・・・というよりは苦手なのかもしれません・・・と言った。
その言葉にも。
偽りは感じなくて。
櫻井先生には内緒にしてくださいね・・・と俺に言うニノが。
やっぱりいつものニノで。
だから・・・ちょっとだけ安心したのを・・・思い出していた。
救急に戻る。
外来が終わった時間から・・・いつもはこっちが忙しくなってくるけど。
そんな中でも今日は比較的落ち着いていて。
今のところまだ・・・救急で運ばれてくる患者はいなかった。
しばらくはカルテを見たり。
器具のチェックをしたり。
この間発表されたばかりの論文に目を通したりしていた。
「大野先生。」
「・・・ん?」
「コーヒー飲みますか?」
「・・・ぅん。」
「買ってきます。医局と食堂の自販機・・・どっちがいいですか?」
医局と食堂は違う自販機が置いてある。
正直・・・俺は医局の自販機の方が。
好みのコーヒーがあるんだけど・・・でも。
俺は知っている。
ニノが好きなのは・・・食堂の自販機のコーヒーだって事。
「食堂の方のが・・・飲みたいな。」
「じゃあ行ってきます。」
「ああ・・・俺も行くよ。」
「・・・ぇ・・・。」
「ずっと座ってばかりだから・・・ちょっと歩きたい。」
「フフ・・・はい。」
可愛く笑うニノ。
俺の小さな嘘を信じたようだ。
本当は違うんだよ。
体を動かしたい訳じゃないんだ。
たとえ短い間でもニノと一緒にいたいし。
たとえ院内でもニノと散歩したいんだ。
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つづく