大宮さんBL前提のお話です。
苦手な方はご注意を///。
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「自分が診た患者がさ・・・。」
「・・・。」
「一人でその・・・最期を迎えるっていうのも・・・。」
「・・・。」
「初めてで・・・。」
「・・・。」
「だから・・・。」
だから。
どうにも心が落ち着かなかった。
人が一人死ぬ。
そんな一大事が。
ひっそりとこうして行われるなんて。
命を救う方の立場にいる者としては。
どうにも。
心が落ち着かなかったんだ。
「ホントは・・・さ。」
「・・・。」
「こんな事してたら・・・。」
「・・・。」
「体がもたないんだろうけど・・・でも・・・。」
「・・・。」
「俺は・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「それは・・・。」
「・・・。」
「体がもたなくなったら考えればいいんじゃないですか?」
「・・・。」
「今は・・・。」
「・・・。」
「できるのなら・・・できる限りは・・・。」
「・・・。」
「大野先生の思うままに・・・。」
「・・・。」
「これでいいと・・・僕は思います。」
「・・・。」
まっすぐに俺を見るニノ。
ほら。
ニノはこうしていつも俺の気持ちを軽くしてくれる。
決して否定しない。
なんでも・・・うん。
受け止めてくれるんだ。
だから俺はこうして。
思いのままに・・・行動できるのかもしれない。
俺を思ってくれるニノ。
その思いが・・・例え俺の思いとは違っていたとしても。
それでもいい。
そのニノの俺への思い。
信じたい・・・と思った。
何があっても。
「呼吸が・・・。」
「・・・。」
「ゆっくりになりましたね。」
「・・・。」
ニノが言う。
脳が酸素を取り込もうとして・・・顎が動き始める。
源さんの。
命の灯が。
消えようとしている。
俺は・・・そっと。
その手を握った。
まだ生きている源さんのその手。
それを・・・せめて俺が記憶する。
ざらついた大きな手。
この手で。
あの娘さんを抱きしめた事もあったんだろう。
お疲れ様でした。
他に言葉が見つからないから。
そう・・・心でつぶやいた。
ニノは。
まるで寄り添うように・・・俺の隣にいる。
触れてもいないのに・・・その体温を感じる。
俺は・・・望んでいたのかもしれない。
ニノに。
こうして。
今・・・隣にいてくれることを。
一緒に源さんを見送ることを。
無意識のうちに俺は。
ニノに望んでいたのかも・・・な。
・・・。
・・・。
どれだけ甘えてるんだ・・・俺は。
最期の一呼吸。
源さんが・・・ゆっくりとして。
そして。
止まる。
心停止を確認して。
そして・・・瞳を見た。
一人。
この世から。
旅立った瞬間だった。
大きく息を吐くと。
隣でニノが手を合わせている。
俺も・・・ならって手を合わせ。
そして。
お辞儀をした。
二人で看取った一人の生。
医者として正しい行いなのかどうなのか・・・はわからないけど・・・でも。
俺は医者の前に人として。
患者さんには接したい・・・と。
そう・・・強く思った。
食堂で朝食を食べる。
ニノは・・・初めて食べます・・・と言いながら。
なぜか俺と同じフレンチトーストを食べた。
おいしいですね・・・と笑うニノが。
まぶしくて目を細める。
死と向き合うと必ず感じる生の鼓動。
それは・・・自分の鼓動の時もあるけど。
ニノを好きになってからはもうずっと。
ニノの鼓動を感じたくなる。
どうしても救えなかった命があって。
自分の力のなさに打ちのめされそうになった時も。
寄り添うように俺のそばにいてくれたニノ。
今は・・・一緒にフレンチトーストを食べている。
甘くてフワフワのフレンチトースト。
まさに・・・ニノみたいだ・・・と思った。
いつの日か俺が・・・この生を終える時。
願わくば・・・ニノ。
君が・・・俺の隣に。
・・・。
・・・。
そんな事思いながら。
俺は・・・フレンチトーストを。
口いっぱいに頬張った。
.
つづく