大宮さんBL前提のお話です。
苦手な方はご注意を///。
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「役所には警察の方から伝えておきますので・・・。」
「・・・。」
「亡くなったら連絡してください・・・引き取りに来ますから。」
「・・・。」
警察官がそう言う。
こういう方が亡くなると。
自治体・・・役所の方が公費で火葬し。
しばらくはあちこちの警察を通じて問い合わせをしてみるんだけど。
結局は身元が判明せず。
判明しても受け取り拒否とかされてしまって。
最終的に無縁仏として埋葬されることが多い。
この人もきっと・・・そうなるんだろう。
手がかりが少なすぎて。
身元の判明は難しいような気がする。
大野先生は。
警察の方が帰った後も。
その・・・源さんの事を考えているようで。
勤務が終わった後に。
ちょっと気になるから・・・とそう言って。
源さんが運ばれた個室へと向かった。
なんだか・・・僕は。
大野先生を一人にしておけなくて。
一緒について行った。
病室は静かで。
なぜか・・・ひんやりと感じる。
何もない部屋。
ただ機械音がピ・・・ピ・・・と聞こえている。
足音を響かせベッドに近付くと。
大野先生は・・・源さんのその首元に指をやり。
時計を見ながら脈を確認した。
指先にはめられた装置から伸びたケーブルが邪魔で。
少し・・・動かす。
じっと。
上から源さんを見下ろす大野先生。
首を軽くひねり・・・顔を同じ角度にする。
「どんな人生を・・・。」
「ぇ?」
「この人はさ・・・。」
「・・・。」
「どんな人生を送ってきたんだろうな。」
「・・・。」
「一人で逝く・・・なんて・・・。」
「・・・。」
「寂しすぎるよな。」
「・・・。」
そう言うと。
「行こう。」
そう言って・・・僕を促し。
大野先生が部屋を出て行った。
僕は・・・源さんの布団・・・首元のところを少し直してから。
先生に続いて部屋を出た。
髪から滴が腕に落ち・・・その冷たさに我に返る。
濡れた髪をタオルで拭くと。
そのタオルが大野先生の髪の毛をかすめたようで。
ふいっと・・・隣の大野先生が僕の方を向いた。
見ているようで見ていない感じで。
ぼんやりと見つめられ。
拭いた手が止まる。
僕も・・・大野先生が何を考えているのか知りたくて。
その瞳を覗きこむ。
優しすぎるくらいの先生。
きっと今・・・胸を痛めているはず。
もしかして・・・こういう状況。
本当に初めてなのかもしれない。
隣合って座ったまま・・・見つめ合う僕と大野先生。
テレビでは・・・小さな音で。
明日は雪が降る・・・と伝えている。
明日は雪。
明日は雪。
そんなフレーズをただ頭の中で繰り返し。
大野先生を見つめる。
・・・と。
急に・・・テレビの音が大きくなり。
二人で同時にテレビを見た。
CMになったみたいで。
画面には・・・炭酸飲料のはじける映像が映し出されていた。
大野先生は僕を見たまま・・・苦笑いした。
「ごめんな。」
「・・・なんで謝るんですか。」
「・・・いや・・・。」
「・・・。」
「ちょっと・・・ぼんやりしちゃって。」
「・・・。」
結局そのまま。
もう寝ようってことになって。
僕も大野先生も寝室に向かった。
なんとなく僕は。
大野先生の心の傷を癒してあげられないまま・・・なのが。
ちょっと気になってしまって。
思った事を吐き出させてあげることもできなくて。
でもじゃあどうしたらいいのかもわからなくて。
ただただ。
その悲しみを・・・乗り越えて欲しいな・・・と。
その手助けができればいいのに・・・と。
そう思いながら・・・まだかなり早い時間だけど眠りについた。
.
つづく