大宮さんBL前提のお話です。
苦手な方はご注意を///。
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「大野先生?」
「・・・ん?」
「僕は行きません。」
「・・・。」
「どこにも。」
「・・・。」
ふっと。
大野先生の目が・・・まぶしそうに僕を見る。
眉根が寄って・・・口がへの字になる。
まるで・・・泣くのを我慢しているかのようなその無防備な表情に。
ちょっとドキッとして。
目をそらす。
こんな子供みたいな顔・・・見たことなくて。
慌てた。
「降ります。」
「・・・ん。」
車から降りて・・・深呼吸をする。
一緒のタイミングで車から降りた大野先生は。
もう・・・いつもの顔で。
大人の・・・大野先生の顔だったから。
ちょっと安心して。
車から離れた。
僕は店の入り口へと向かって歩き始めた。
足早に・・・僕の隣に並ぶ大野先生。
そして・・・僕に言った。
「棚置く隙間の長さ・・・測ってくんの忘れた。」
「え・・・。」
「多分これくらいだったと思うんだけど・・・。」
「じゃあそれより狭い棚にすれば大丈夫ですか?」
「多分・・・あ・・・もうちょっと狭かったかも。」
「・・・。」
「・・・。」
「じゃあ・・・今日は下見にしましょうか。」
「・・・。」
「慌てて買うと失敗しますし。」
「せっかく来たのに?」
「また来ましょうよ。」
「・・・ん。」
若干納得していない顔してたけど。
幅とかは大事だから。
それはしかたない。
昨夜もう一度・・・大野先生に測るように言えばよかった・・・と。
ちょっと後悔しながら・・・僕は。
少し背が丸まっている大野先生と一緒に店内へと入った。
優秀な脳外科の大野先生。
なのに・・・私生活では時々ぬけているところもあって。
でも僕は・・・そんな人間っぽい大野先生に。
とても好意を持っている。
僕でできることならなんでもしてあげたいし。
役に立ちたい。
医者としても人としても尊敬できる大野先生。
昔・・・高校の担任教師が。
人との出会いは宝だ・・・って言ってたけど。
まさにそう。
大野先生と・・・この病院で出会えたことは。
僕にとっては大きな宝だ。
「これ・・・どう?」
「いいですね・・・色はこれでいんですか?」
「いやもうちょっと暗い方が・・・。」
「ぁ・・・これ・・・パンフレットありますね。」
「ああ。」
二人で。
パンフレットを覗きこむ。
ページをめくる大野先生の指が・・・キレイで見惚れる。
爪は短く切ってあり。
清潔感がある。
ささくれとかなくて。
手荒れもない。
節があまり太くなくてすらっと伸びた指。
パンフレットに添えた自分の指とのあまりの違いに。
少しだけ恥ずかしくなって。
さっと・・・手を降ろした。
眉根を寄せ。
難しい顔をしてパンフレットを覗きこんでいる大野先生。
口も少しとがっている。
大体・・・わかってきている。
こういう顔をしている時は。
迷っている時。
きっと・・・色がたくさんありすぎて。
困ってるんだと思う。
目がキョロキョロ動いていて・・・落ち着かない。
ホントにこの人は。
・・・。
・・・。
かわいらしい人だ。
ついついこうしてお世話をやいてしまうのも。
大野先生の魅力の一つなんだろうな・・・と。
そんな事思いながら・・・僕は声をかけた。
「茶色系統がいいんじゃないですか?本棚も確か茶色ですよね。」
「ん・・・ああ・・・そうだね。」
「濃い茶色なら・・・これか・・・これ・・・ですね。」
「・・・ん。」
「現物見てみます?」
「ん・・・そうする。」
「すいませーん。」
僕は店員さんに現物を見せてもらおうと声をかけた。
大野先生は静かに周りを見回している。
この・・・時間がゆっくり流れる感じも。
大野先生の魅力の一つだな・・・なんて思いながら。
僕は・・・店員さんに話かけた。
.
つづく