大宮さんの腐のお話です。
苦手な方はご注意を///。
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そして・・・突然言われる。
寂しい?
・・・と。
その・・・声に。
いつもと違う距離の近さを感じて不思議に思い。
顔を上げ。
社長を見つめた。
「智がいなくなると・・・寂しい?」
「・・・。」
まっすぐに俺を見つめる社長。
専務に・・・よく似たその瞳が。
なおさら俺を混乱させる。
俺はその・・・質問の真意がわからなくて。
でも。
ここは・・・普通はどう答えるのが正しいのか・・・を。
酔った頭で素早く考えて。
そして・・・言った。
「そうですね・・・寂しくなり・・・ます。」
「・・・。」
あまり。
思いがこもらないように。
そこを気を付けて・・・言った。
寂しくなります・・・と言う答えは。
間違っていないはず。
動揺と。
胸のドキドキを隠して。
俺は・・・そう言った。
少しの沈黙。
・・・。
・・・。
気まずい・・・と感じていると。
す・・・っと。
首元に伸びてくるその社長の・・・しなやかな指が。
本当に専務によく似ているな・・・と思う俺の。
その・・・シャツの襟を押し下げた。
何をされているのかわからず・・・社長を見上げる俺に。
小さな声で社長が囁いた。
「これ。」
「・・・。」
「智がつけたの?」
「・・・っ。」
驚いて。
社長から飛びのいた。
多分・・・見られたのは。
ルージュ。
昨夜・・・専務がつけた紅い痕だ。
ギリギリ・・・シャツの襟に隠れるから・・・と。
安心していたけど。
見えていた・・・なんて。
って言うかどうして。
専務がつけた・・・って思われた?
何か俺・・・言った・・・?
襟元を抑え。
黙ったままの俺に。
社長が。
優しく。
とっても・・・優しく俺に言った。
「責めてるんじゃない。」
「・・・。」
「智と君は・・・そういう関係なの?」
「・・・。」
「答えなさい。」
優しいけど。
ハッキリと俺に言う社長。
ごまかせない。
嘘はつけないな・・・と。
そう・・・判断して。
俺は。
言った。
隠し通そうと思っていた。
大事な大事な事を。
俺は。
社長に・・・言った。
「そう・・・です。」
「・・・。」
「でも・・・その・・・体だけの関係で・・・。」
「・・・。」
「すいません・・・ふしだらで・・・。。」
「・・・。」
「でも誘ったのは俺で・・・。」
「・・・。」
「その・・・例えば愛し合ってるとか・・・。」
「・・・。」
「互いに好き・・・とか・・・。」
「・・・。」
「そういう関係では・・・ない・・・です・・・。」
「・・・。」
「だから・・・」
「智の事は・・・。」
「・・・。」
「何とも思ってないってこと?」
「・・・。」
あまりにも確信をついた問いに。
一瞬・・・言葉につまった。
嘘はつきたくない・・・けど・・・でも。
本当の事を言っても。
何にもならない。
イイコトなんて。
何もない。
俺は。
ちょっとだけ大きく息を吸って。
そして・・・言った。
「はい。」
「・・・。」
「そこに・・・心は・・・ないです・・・。」
「・・・。」
「お互いに・・・欲求不満の解消で・・・。」
「・・・。」
「でもホントに・・・誘ったのは俺のほうですし・・・。」
「・・・。」
「専務は・・・ただ・・・つられて・・・。」
「・・・。」
「だから・・・体だけの関係で・・・」
「じゃあ。」
「・・・。」
「なんで・・・。」
「・・・。」
「泣いてるの?」
言われて。
頬をなでられて。
気付いた。
泣いてる・・・って。
気付いたらもう。
ごまかせなくて。
思いが・・・次から次へとあふれた。
それでも。
「すいません。」
かろうじてそう言って。
俺は。
涙を止めようとした。
目の奥が熱くなるのを。
顔を手でぎゅっと抑えることで。
押しとどめる。
ここは道端で。
社長と一緒なんだから・・・と。
そう言い聞かせ。
一度。
ずず・・・と鼻をすすると。
大きく・・・熱い息を吐いて。
そして。
涙を止めた。
なんとか止めた。
それでも気まずくて。
顔をあげられない俺。
立ち尽くしていると。
・・・と。
突然。
ふわっと。
囲われる。
その・・・温かい温度に。
抱きしめられている・・・と。
そう気づいたのは・・・少し経ってから・・・だった。
つづく
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