大宮さんの腐のお話です。
苦手な方はご注意を///。
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「悪かったね。」
「・・・社・・・長・・・?」
「そこまで二宮君を苦しめていたなんて・・・。」
「・・・。」
「わからなかったよ・・。」
「・・・どういう・・・意味・・・」
「俺が言った言葉が・・・。」
「・・・。」
「枷になっていたんだろ?」
「・・・。」
「智の嫁と子供を楽しみにしている・・・って・・。」
「・・・。」
「その俺の言葉・・・。」
「・・・。」
「大事にしてくれたんだろ?」
「・・・。」
「もういいから。」
ぎゅっと抱きしめられる。
その強さに。
社長の温かさを感じて。
俺の・・・心が。
じわじわと溶けて行った。
もういいから。
そう言ってくれる社長。
もう・・・いい?
思いを口に出しても。
いいの?・・・と。
俺の頑なな心が。
溶けた。
って言うかもう・・・言いたい。
全部・・・全部吐き出したかった。
「社長・・・。」
「・・・ん・・・。」
「専務の事が・・・。」
「・・・。」
「智さんの事が・・・。」
「・・・。」
「好きです。」
「・・・ん。」
「でも・・・。」
「・・・。」
「思いを伝える事は・・・ない・・・です・・・。」
「どうして?」
抱きしめられた腕が緩む。
俺は。
するっと・・・そこから抜け出て。
そして。
まっすぐに専務を見て・・・言った。
「どうして・・・って・・・。」
「・・・。」
「あと三カ月しか一緒にはいられませんし・・・。」
「・・・。」
「男同士ですから・・・。」
「・・・。」
「それに・・・専務には・・・。」
「・・・。」
「その気はきっと・・・ない・・・から・・・。」
本当は・・・ある・・・と思いたい。
今朝のあの。
朝の光の中で。
二人で食事したあの風景が蘇る・・・けどでも。
そこまで自惚れられない。
いや・・・例え専務に俺への想いがあったとしても。
専務の幸せが。
本当にそこにあるのか・・・がわからない。
「だから俺は・・・」
「思いを伝えてみたらいい。」
「・・・。」
「思い悩むのは・・・それからにすればいい。」
「・・・。」
「あと三カ月で離れてしまう事も。」
「・・・。」
「男同士だという事も。」
「・・・。」
「悩むのはそれからでよくない?」
「・・・。」
「決めるのは智だ。」
「・・・。」
「泣くほど好きなら・・・。」
「・・・。」
「伝えたほうがいい。」
泣くほど好きなら。
・・・うん・・・そう。
泣くほど好き・・・なんだ。
そんな・・・自分の強い思いに。
こんな状況なのに少し笑いそうになる。
ある意味・・・社長を裏切った俺なのに。
そんな・・・優しい事を言ってくれて。
本当にこの人は。
温かくて。
優しい人だ。
「言えるように・・・。」
「・・・。」
「おまじないをしてあげるから。」
「・・・。」
おまじない?
そんな・・・子供にするみたいな事。
何を?・・・と思っていたら。
ふっと・・・頬を両手で包まれ。
そして。
額に・・・触れるだけのキスが落ちて来た。
そして。
もう一度。
軽く抱きしめられる。
「これで大丈夫。」
「・・・。」
「明日・・・二宮君は・・・。」
「・・・。」
「智に愛してる・・・と言えるよ。」
「・・・ありがとうございます。」
小さな声で。
社長の腕の中で。
そう・・・お礼を言った。
おまじないのキス・・・にはびっくりしたけど・・・でも。
海外暮らしの長い社長だから。
これくらいのキスは。
日常的なんだろう。
これは・・・もう。
明日。
言おう・・・と。
あと三カ月しかないし。
社長がそう言ってくれるなら。
思いを伝えるくらいは・・・いいんじゃないかって。
そう・・・思った。
それからの事は。
社長が言うように。
それから考えればいい。
そう・・・思った。
大きなハードルが一つなくなった俺。
もう一つの・・・やがて訪れる遠距離・・・も。
もしかしたら。
思いが通じ合っていれば。
克服できるのかもしれない。
そんな・・・前向きなこと。
考えられるようになっていた。
つづく
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